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58.悪魔の元凶

カスタードの店で水着も買い、準備万端である僕とフェンは貰ったおやつを食べながらソウリン湖へと向かっていた。


「やっぱ美味しいな。あの子のクッキーは」

「クーー」

「フェンも大好きか。あ、そういえばあの子の名前まだ聞いてなかったよね??依頼終わったら聞こうね」

「クーー?」


「なんでって?そりゃー仲良くなるには名前を知っておかないとダメじゃない?フェンもフェニックスよりフェンと言われた方が嬉しいでしょ?」

「クーーー!!!!!」


「そんなに飛び回って。まぁ、そういうことだよ。わかってくれた??」

「クーー!!」


そんな雑談をしながら歩いているうちにソウリン湖に着いた。

そしてなぜだかソウリン湖でデートしている人達は僕に視線を向けている。


なんとなく原因は分かるのだがそんなに珍しいことなのだろうか。

確かに今周りに水着を装備している人はいない。


けど今回のクエストで僕は水の中に入らないといけないためソウリン湖は泳げる場所のはずだ。

いや、そんなことは今はどうでもいい。

ただただめちゃめちゃ恥ずかしい。


そんな凝視しなくてもいいのに…

だって仕方がないじゃないか。装備変更するのは自分のホームと防具店でしか出来ないのだから。


多分どこでも装備変更できるアイテムとかあるかもしれないけどそんなアイテム僕知らないし。

情報屋のりゅーさんも今日居ないんだから仕方がないだろ!!


誰も聞いていない脳内で僕は盛大な言い訳をする。

そして恥ずかしい気持ちを抑えるため急いで湖に飛び込む。


前回とは違い見えない壁があることはなく、スムーズに飛び込みを成功させる。


そして水の中に入ると、とてつもなく美しい景色が広がっていた。

湖に生息している魚はどれも見たことのない種類で現実の魚よりも幻想的な雰囲気を醸し出している。


そして一際大きい魚?が目の前を通りすぎていく。

どうやら敵対モンスターという様子もなく目を一瞬こちらに向けるだけで目の前を通り過ぎていく。


「うわー、綺麗だなフェン」

「クーー!!」


驚くことに水の中で呼吸もできるし、話すことも出来る。

これがエンチャントの効果か。

エンチャントの効果はテイムしているモンスターにも反映されるらしく、フェンも平然としている。


もうひとつのエンチャント水中歩行もすごい。

水の中にいるのに普通に地面を歩けるのだ。

いや、普通にというのは言い過ぎでちょっとした浮遊感はある。


多分月に行ったらこんな感じなんだろうなという感覚だ。重力が弱くなっていると言ったらいいのか、浮力を受けていると言えばいいのか分からないがふわふわしている。


しばらく湖の底を歩いていると変化が起きる。

湖の中に住む魚たちがあるところから一匹も現れなくなったのだ。


その変化に気づいてからまたしばらくすると今度は透き通っていた水が徐々に濁ってくる。

これは間違いなく悪魔を出現させる石に近づいているのだろう。

そして水が濁っている方へと突き進みついに元凶だと思われる真っ黒の石を発見した。


ここまでにかかった時間およそ二時間。

かなり長い時間探してようやく発見した石は僕にとっては悪魔を出現させる石ではなく希望の石へと変化していた。


これに聖なる炎をやれば終了だ。

そう思い僕はフェンにお願いをする。


「フェン、これに聖なる炎を使ってくれ」

「クーーー!!!!!」


フェンは鳴きながらスキルを発動する。

すると真っ黒だった石が表面が剥がれて真っ白の石へと変化していく。


そして真っ白になった石は濁っている水の濁りを全て吸い上げてパリンと砕けてそのまま光となり消えてった。


それはもうあっという間で静かに終わったので僕は少しの間固まる。

別に大したことをしていた感じもないが透明になった水を見て少し感動してしまう。


さっきまで石の周りは1寸先も見えなかったと言っても誰も信じないだろう。

そしてしばらくその場に留まっている間に魚たちもここまで来るようになった。


みんな喜んでいるようだ。

最初に見た一際大きい魚もいる。


「よし、じゃー僕達はあの子のところに行こうか」

「クーー」


そして僕は上に向かって泳ぐ。

数分してようやく水面に上がることが出来た。

どうやらいつの間にかかなり深い所まで来ていたらしい。


周りを見渡すと観光地として有名なソウリン湖周辺ではなく、最も近い沖は森だった。

仕方がないので僕は森の方へと泳ぎ出す。


ようやく沖にたどり着くとそこには少女がたっていた。

そう、依頼主の子である。


「ユートさん、ありがとう。おかげでこの湖は平和を取り戻すことが出来たの。報酬は50万ゴールドとスキルを」

「え、そんなにいいんですか???」


「ユートさんはそれだけの事をしてくれたのだから当然。ではまずお金を」


そういうと僕の手の甲に表示されている数字が5万から55万へと増える。


「次にスキルを」


『スキル 精霊召喚(水)を獲得しました』

『称号 大精霊を使役する者を獲得しました』


ピコン


『特殊クエスト大精霊の依頼がクリアされました。

精霊クエストが新たに解放されます。

精霊使いギルドが20層に設立されました』


「私の名前はソウリン。このソウリン湖を守護し観察する者。本日からあなたの使い精霊とならさせていただきます。よろしくね!」




ユーヤ

憤怒、会心の一撃、連撃、料理Ⅱ、回避、集中、モンスター強化、精霊召喚


フェン

フェニックスの羽衣、聖なる炎、突きIII、引っかきIII

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