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54.三層散策

イベントが終わると同時に僕の夏休みも終わった。

いよいよ仕事が始まるのである。

僕の仕事は不動産屋さん。

人の人生に大きく関われる仕事でやりがいも感じている。


だけどよりいい条件の物件を見つけるためにひたすらパソコンとにらめっこになって肩がこる。


「ふぅー、終わった、終わった」


仕事を全て終わらし家に帰る。

いつもならそのまま無意味に三時間ぐらい起きているのだが今は違う。


「プレイスタート」


そう言いゲームを起動させる。

目を開けるとそこはまるで異世界。

コンクリートジャングルの現実では考えられない光景が目の前に写し出されている。


レトロなレンガの建物、石の道、そして美味しそうな匂い。


今僕がいるのは三層、生産者の街だ。

昨日イベント終了後にりゅーさんたちに手伝ってもらって三層へときた。


りゅーさん曰く当初は至って普通の街だったらしいが今は一層と二層とはまた違った賑わいを見せている。


これは一層も二層も同様だったようで自然のうちに職業ごとで拠点にする町が別れたらしい。


一層は東西南北の全てにつながっていることから情報屋の街に。


二層は初心者のためのスキル獲得スポットと称号獲得スポットが多いから冒険者の街に。


三層は希少鉱石や食材が本格的に出始めるから生産者の街になった。


そしてこのゲームのすごいところがNPCたちも環境に合わせて変化することだった。

一層は貴重な情報を教えてくれるNPCが増え、情報屋NPCも増えた。


二層は雇われ冒険者NPCが増え、一人でもギルド依頼を楽にこなせるようになり、三層では生産系のNPCが増えたらしい。


そしてここ生産者の街は他の街に比べかなりすごいところになっている。

今までの層もすごい風景だったが、ここはそれをはるかに超えていた。


一つ一つの建物がすごいのだ。

まるで本当に中世ヨーロッパに来たような(ヨーロッパ行ったことないけど)レンガ造りの家、道が続いているのだ。


これも元々はこんな風景だったという訳ではなく、生産者が一軒一軒作り上げたらしい。

自らの家を自分の手で作ることが出来るのも三層だけというのでここが生産者の街と言われる理由もわかる気がする。


僕は歩きながらこの街を見て楽しんでいた。

そして早くフェンにも見してあげたいと思った。


残念なことに今回は宿に泊まったことでフェンは一層のホームへ強制送還されてしまった。


宿はログアウトする時にセーブする場所なだけでテイムモンスターを留めておくことは出来ない。

けど安宿ではなく高級宿に泊まればテイムモンスターも一緒にセーブされるらしいのでちょっと気になる。


けど高級宿は一層で普通のホームが買えるぐらいするらしいので相当頭のおかしい人しか泊まらないとか。


それを解消してくれる契約の指輪があればいつでもどこでも呼び出せるのだがそれが手に入るのは四層なのでまだフェンを連れてくることは出来ない。


三層でホームを買うなら別の話だが今はそんなお金を持っていない。

それに一層のホームも大きくしたいし。

でもまたいつか買うのもいいな。

自分の好きな家にできるのは不動産屋をしている僕にとっては夢みたいだ。


今まで売れないと思ってたが最近大富豪が買っていった豪邸を真似て作るのもいいな。


ということで目指すは四層と言いたいところだがとりあえずは一層でまったりスキル探しをしようと思う。


ということで僕は三層の東広場から一層のホームへと転移装置を使い移動した。


補足

一層はゲームの世界のど真ん中に存在しています。

二層や三層は東西南北にひとつずつ街があり、全部含めて冒険者の街や生産者の街と言われています。


一度行けば転移陣が出現し、好きに移動できます。

今主人公がいるのは東の町です。

二層の東の町が冒険者の街で1番栄えており、三層の東の町は3番目に栄えています。


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