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50章 警告―――六百七十五年・十月五日(六)



 冷蔵庫に食材を並べ終わり、早速リビングに戻って電話機を確認。着信は六回、全て同じ見慣れた携帯番号から。早速リダイヤルする。


 プルルル、ガチャッ。『やっとお帰りかよ。何処ほっつき歩いてたんだ?』


 やや御機嫌斜めな様子の親友。どうやら相当やきもきしていたらしい。

「半日ずっと連絡を待ってたの?ひょっとして、学校で何かあった?」

『無えよ、全校集会だけして解散。一応明日から普通に授業するらしいぜ。アンダースン先公の後任は初等部から来るってさ』

「そう。―――ねえ、ロウは『呪われた子供達』って知ってる?」

 バリバリ。携帯が拾うぐらい掻くな、禿げるぞ。

『お前、ぜってーヤバい事に首突っ込んでるだろ。今日一日何があった?言え』

「うん、長い話になるけど―――」

 自分で言うのも何だが、本当に長かった。何せ一時間で終わらなくて一度切り、階上でカレーを食べ終えてから再開したぐらいだ。二度目の通話を始めると、向こうは向こうでカップ麺を啜っている最中だった。

「―――まぁ、大体こんな所かな。で、最初の質問の答えだけど」

 ずるずる、ずずっ。

「スープは飲んでもいいけど残しなよ。太っても知らないぞ」

『彼女かよお前は。因みにとんこつ味だぞ、いいだろー』

「何の報告だよ。いいから知ってるの?知らないの?どっち?」

 カタン、カップを置く音。


『―――お前、馬鹿だろ?そこまで知られちゃ、とても生かしておけないな』「へ?」


 藪から棒に何を言い出すんだ、こいつは。

『実は俺、お前の部屋の前から掛けてるんだよ。いひひ。アンダースンの野郎の血をたっぷり吸ったこのスパナで、今からその軽いおつむを叩き割ってやるぜ』

「は?え、ちょっとロウ」

 いや、持っているのはどう考えても箸だろ。悪巫山戯が過ぎ、


 コンコン。「ぎゃああああっっっ!!!」


 タイミング良くノックの音がし、反射的に絶叫。……が、よく耳を澄ますと、音は受話器の向こうから聞こえてきていた。悪戯の証拠に、仕掛けた張本人もゲラゲラ笑っている。

「ブラックジョークが過ぎるよ、ロウ!あー、本当に吃驚した!!」

『ハッ。でもこれで分かっただろ?下手に聞き込んでみろ―――相手は俺達なんかの手に負えない犯罪者だ。確実に消されるぞ?』 

「でもそれじゃ、キュー先生の行方は分からないままだよ。ロウ、君は」

『大体何だ、その厨二臭えネーミング。誰が付けたんだ?』

「そんなの知らないよ。大方捜査していた政府員の誰かじゃない?話を逸らさないで。僕は真剣に犯人を」


『―――止めとけ、ハイネ。先公の事は残念だが……後は大人達に任せろ、いいな?』ガチャッ。ツー、ツー……。


 呆然と受話器を握り締めつつ、僕は虚空に向けて一人呟いた。


「お前に言われなくたって分かってるよ、そんなのは……」





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