最終章 ココア
僕は過去への旅を終え、再び現在に戻ってきた。
いや、彼女が僕にくれた【未来】に。
気が付けば周りにいた何組かのカップルは、今はすっかりいなく、辺りは静寂に包まれ、海岸に押し寄せる波の音しか聞こえなくなっていた。
僕は冬の寒い風を浴びながら、ただっ広い浜辺に腰を落とした。
真っ黒な天球に星を探しながら見つめていると、不思議と自分もその闇の中の一部になったような気がした。
それは決して、恐れとかではなく、むしろ安心感に包まれていくような感じだった。
僕はその無限に広がる闇の中に落ちて、あの時、彼女が星にかけた願いがなんだったのか、わかったような気がした。涙が自然と溢れ出した。
星たちは突然、フィルターをかけたようにぼんやりと輝いていた。
空が滲んで見え、よくわからなかったが、しかし確かに僕はこのときとても長い尾を引いた流れ星をみた。
僕はその流れ星に願いをかけた。
あのときかけられなかった願いを・・。
空に瞬く星達が尾を引いて一斉に流れ出した。
夜空を切って走る星達はあまりに鋭く、まるで夢の世界に迷い込んだように美しかった。
僕はどこからか砂浜を歩く音に気が付き、人が近づいてくる気配を感じた。
その足音は僕の真後ろでとまった。
「わっ」
突然、うしろから少し小さな手が僕の身体を包んだ。
「やっぱりここだったね。」
それは彼女だった。
あのころと変わらない笑顔を僕に見せれくれていた。
「もぅ、なにしてるのー?」
僕は彼女の手をとりぬくもりを感じた。
「もう、こんなにつめたくなっちゃてぇ、しょうがないなぁ」
彼女はそういうと、バックから魔法瓶を取り出し、あったかいココアを僕に注いでくれた。
それを受け取って僕はゆっくりと口にした。
優しい気持ちになっていった。
「ごめんな、僕がわるかった。」
「あはは、もういいって。私もわるかったし、ね、もう仲直りね。」
そういって彼女は僕にやさしくキスをした
。そのキスは僕に安らぎを与えてくれた。
今度は僕から彼女にキスをした。
長くやさしいキスを。
「それにしてもさぁ、普通、家をとびだすかなぁ?びっくりしちゃったよ、もう。」
「いやぁ、ごめん、なんかつい。ごめんな。」
「いいけどね。どうせここにきてるんだろうなって思ったから。」
「そっか。」
「さ、早く帰ってケーキだべよ?もう、おなかすいちゃったよ〜」
「夕飯ちゃんと食ってたじゃんか。」
「えへへ、ケーキは別バラなの〜」
「ふ〜ん、まぁ、いいけどさぁ、・・・あのさ、ひとつ聞いていい?」
「なぁに?」
「あのさ、前から聞きたかったんだけど、なんでいっつもココア持ってんの?魔法瓶って・・普通もちあるかねーだろ?」
「うそ?そう??もう!いいじゃない、そんなこと〜。はやくかえろっ」
そういって笑顔で彼女は僕の腕をつかんだ。
僕は彼女にせかされ、この海をあとにした。
彼女の温もりを腕に、そして肌には海風を感じながら・・。
終わり。。。
ヘタですいません。これが処女作です。表現力がまるでないですが。読んでくださった方、なんでもいいんでコメントくださいwおねがいします〜