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舞浜さんと話すようになったきっかけは家からは電車一駅分くらい離れた公園でだった。
塾からの帰りに通りかかったその公園で、舞浜さんは制服姿のままブランコに乗っていた。
夜中の公園でブランコに乗っている舞浜ちゃんの姿は異様で、僕は舞浜さんの姿をジッと見つめていた。
中学三年になって公園でブランコ乗ってるだけでもおかしいのに、夜中にひとりでブランコに乗っているなんてもっとおかしかったし、何よりおかしかったのは電灯に照らされる舞浜さんの顔が無表情だったことだった。
僕が見てると舞浜ちゃんはブランコをしばらく乗ったあと、今度はすべり台を何度もすべった。すべってはまた登り、すべってはまた登り機械のように淡々と何度もすべり台をすべる舞浜さんから僕は目を離せずジッと見てたら舞浜さんがこちらに気づいた。
舞浜さんとは中学一年の時だけ同じクラスでその時ちょこっと話したことはあるけど、中学二年からはクラスがいっしょになったこともないので話したこともないし、しかもなんだか見てはいけない光景を声もかけずに盗み見てしまったことが後ろめたいしで、気まずいと思ったけどそれはどうやら相手も同じみたいで、さっきまで無表情な顔つきだった舞浜さんは恥ずかしそうな顔をしていた。
「舞浜さんだよね。こんなところで何してるの?」
気まずい雰囲気の中、僕が舞浜さんに話しかけると「遊んで」と舞浜さん。
「遊んでたってこんな時間に?」
「うん、私公園で遊ぶの好きなんだ。城田君は塾の帰り?」
公園で遊ぶのが好きだとしても、何もこんな夜遅くに遊ぶってどうなのと思ったけど、それは言わなかった。
「そうだよ」
「そうなんだ。塾大変?」
「大変っていうかめんどくさいな」
「まぁ今が頑張りどころだからね」
「そういや舞浜さんはどこの高校行くの?」
「わたしは推薦でもう高校決まってるんだ」
そう言い舞浜さんは有名な公立高校の名前を口にした。
「すごいね」
「そんなことないよ」
それから話題が尽きて再び沈黙。何か話そうと思うんだけど、何も話すことが思いつかなく、一生懸命に何か話そうとしてたら「それじゃあ私帰るね」と舞浜さんは公園を出て帰って行った。




