77.皆んなのチカラ
騎士たちは全員何事も無かったかのように立ち上がり、お互いの無事を喜び合っている。
「ギルは?デュラン、ロイくん!」
我に返り、ギル、デュラン、ロイくんを探す。
「ロージー!」
気付くと3人は泣きそうな顔で駆け寄って来た。
ロイくんはわたしの胸に飛び込んで来る。
「ロージーさま、もうだめかとおもった。
もうあえないかと」
辛そうに話すロイくんをぎゅうぎゅうと抱きしめると、ホッとした。
そんなわたしとロイくんに、ギルとデュランまで抱きついて来る。
「ロージー」
「ギル、デュラン、ロイくん。
無事で良かった」
三人が一瞬震えた様に感じた。
「いや、もう少しで命を落とすところだった。
あの癒しの雨が優しく降り注いでくれなければ、助からなかった。
あれは君の力だろう、ロージー」
ギルは大切な宝物の様にわたしの頭を撫でた。
「あ、違うよ、確かにわたしも必死に祈ったけど、魔力が尽きかけて、そうしたらエリオットが魔力を分けてくれたの。
ジェンキンスのおじさまも、魔法師の皆さんも。
あの時、魔力の無い騎士さんたちの祈りも感じたよ?
だから、わたし一人のチカラじゃないの。
皆んなの願いだったの。
皆んなの祈り、だった。
……助かって本当に良かった」
ギルはエリオットやジェンキンスのおじさま、魔法師の皆さん、騎士の皆さんへ向かって言った。
「皆んな、ありがとう!
君達のおかげで我々は助けられた。
本当にありがとう!」
皆さんから一斉にオーと言う声と拍手が起きる。
「でも、やはり君に礼を言おう、ロージー、いや
ジェンキンスの薔薇よ。
いやそれも違うな、我が王国の薔薇ロージー」
そう言ってギルはわたしの額に唇を落とした。
「⁈」
「ギル!何してる!」
「ギル、俺の婚約者に何を!」
「おうたいしさま、どさくさにまぎれてロージーさまにてをだすのはやめてください」
ギルを責め出すエリオットやデュランを尻目に冷静にギルを正すロイくんが物凄く賢く見える。
「兎も角、皆無事で良かったです。
しかし殿下、戦いはこれからですよ」
ジェンキンスのおじさまの声にハッとして前方を見れば、スタンリーの造ってくれた土壁から大量の粉塵が舞っていた。
「土壁を突破されるのも間も無いな。
皆、陣形を整えよ。
先程の砂でまだダメージのある者は、後退し、後ろを守れ」
王太子の号令により、騎士団は一斉に臨戦態勢に入った。
「魔法師団は当初の打ち合わせ通り、二陣に分かれ対応せよ」
「はい」
二陣?
思わず首を傾げて、まだわたしをエリオットと取り合って抱きしめているデュランに聞いた。
「二陣って?
二手に分かれるの?」
「ロージーはまだ聞いていなかったか。
そうだよ、ギッテンス公爵の取り巻き達と催眠魔法に掛けられた民衆は分けて対応するんだ」
デュランは砂糖菓子でも見る様な甘い笑顔で答えた、ま、眩しい。
「つまり、罪なき民衆は正気に戻し」
エリオットはわたしをデュランから奪い返してぎゅうと抱きしめて言う。
「そうそう、そしてギッテンスの野郎はギタギタに刻んでやる!」
エリオットからわたしを奪いぎゅうぎゅうと抱きしめてデュランが高らかに言った。
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