33.地下へ
「階段だ!」
そこには階下へと繋がる階段。
階下は暗くよく見えない。
「誰か灯りを!」
騎士のひとりが手燭を持ってくる。
「俺の後ろから足元を照らしてくれ」
デュランが階段を降りようとする。
「デュラン、危ないから気をつけて」
幾らデュランでも何人潜んで居るかわからない地下へ先陣を切って降りていくのは心配だ。
「ロージーが心配してくれてる」
デュランがにへらと笑い、緊張感が吹っ飛ぶ。
「気をつけて!
ケガなんてしたら口利かないからね」
デュランには無視攻撃が非常に有効なのだ。
「えっ!
わ、わかった。
絶対ケガしない」
デュランを先頭に騎士たちが狭い階段を降りて行く。
何人かは手燭を持っている。
わたしも手燭を貰い、後へ続こうとする。
「ロージー、君は危険だからここに居よう」
エリオットに言われるが頭を振る。
「わたしが降りなければ、漏れなくエリオットもジョンさんもブラッドさんも降りないって事でしょう?
これだけの精鋭をわたしの所為で此処に留め置けないよ。
敵が下に何人居るかもわからないのに」
わたしの訴えにエリオットは溜息を吐く。
ごめん、エリオット。
わたし溜息を吐かせてばかりだね。
そのうち、愛想も尽かされそう。
「わかった。
ロージーは手燭で俺たちの足元を照らす役。
俺たちから絶対に離れないと約束してくれ」
「はい!」
エリオットはまたフゥーと溜息を吐いた。
そんなに溜息を吐くと幸せ逃げるよ?
ってわたしの所為か。
「約束を破ったらお仕置きだからな」
「えっ!」
エリオットのお仕置き!
やだ、それだけは絶対にヤダ!
震え上がるわたしにエリオットはニコリと笑う。
「わかってるなら宜しい」
エリオットを先頭にわたし、ジョンさん、ブラッドさんの順番で階段を降りて行く。
ガタイの良い3人の所為か、はたまた老朽化の所為か、階段がギシギシと鳴る。
「今にも壊れそうですね」
確かに。
壊れたら上がるのに一苦労しそうだ。
階下からは音がしない。
先行したデュランたちはどうしたのだろうか。
階下に着くと左側から僅かに声が聞こえた。
「居たか?」
「いえ、見つかりません」
エリオットは声と反対方向の右側へと歩き始める。
「俺たちはこっちだ」
小さな足音を立てながら右側へ向かう。
地下と言ってもかなり広く、階上と同じ広さはありそうだ。
「エリオット、待って」
先に進もうとするエリオットを制しわたしは壁へ近寄る。
「どうした?」
壁を手燭で翳すと其処には手燭台があった。
蝋燭もある。
さっと火をつけると辺りがポゥと明るくなる。
「手燭台か。
蝋燭は大分減っているが、古い物では無いな。奴等が使っていたのだろう」
少し先の壁を手燭で翳すと其処にも手燭台があった。
「手燭台に火をつけながら移動しよう」
ひとつ、ふたつと手燭台に火を灯すとかなり明るくなる。
「奥に何かある」
エリオットが声を顰め注意を促す。
カーン!
途端にエリオットに斬りかかる破落戸。
エリオットは華麗に受け止めて跳ね飛ばす。
「俺から離れるな」
頷きながらも足手纏いな自分に情け無くなる。多少は剣も使えるが、丸腰でこのドレス姿。
歯痒いが今はせめてエリオットたちの邪魔にならないようにしなくては。
数人の破落戸が斬りかかり、エリオットたちが応戦している。
カーン、カーンと剣戟が鳴り響く。
後方からバタバタと足音がして振り向くと、先行したデュランたちが駆け付ける音だった。
「手燭台があったのか」
呟きながらデュランが参戦するとあっという間に破落戸たちをのした。
騎士たちが縄をかけている間にわたしたちは手燭台に火をつけながら奥へ進む。
すると、其処には大きな牢があった。
手燭を翳しじっと目を凝らすと、中には猿轡を嵌められた子どもたち。
そしてその子どものひとりの喉元にナイフを突きつけている女がひとり。
「ヘルミナ!」
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