24.記憶
ブクマ、評価、いいねをありがとうございます。
とても励みになります。
これからもよろしくお願い致します。
わたしが狙われている?
エリオットの言葉に一瞬反応出来ずに固まる。
暫し無言のままエリオットの晴れた海の色の瞳を見つめていると、エリオットは辛そうに顔を歪めた。
その仕草に我に返る。
「だって、わたし魔力無いじゃない」
おかしい、おかしい、魔力が無かったから捨てられたんじゃ無かったの?
マチルダより可愛く無かったから捨てられたのでしょう?
今さら、今さら魔力が有るとか容姿が整っているとか、そんな事で狙われたと言うのか。
それでは何のために捨てられ放置されていたのか。
「おかしいよ。
それならどうして」
エリオットにそっと抱きしめられて、わたしは初めて自分が体を震わせ滝の様な涙を流していた事に気付いたのだった。
「大丈夫だ、ロージー。
俺がいる。スタンリーもデュランもいる。
シモンズ子爵も夫人も俺の両親も、みんなみんな君を愛している。
いつでも側にいるから」
エリオットはそう言って優しくわたしの背中を摩ってくれる。
そうか、ロージーとしてのわたしは傷ついていたのか。
シモンズ子爵家もジェンキンス公爵家もみんなロージーを愛して大切にしてくれていて。
こんなに恵まれているのに、それでもわたしは親に見捨てられ放置された事に深く傷ついていたのか。
ずっと気づかなかった心の奥底を覗き見てしまい体から力が抜ける。
「ロージー」
エリオットの温かい抱擁に身を委ねていると
次第に落ち着いてくる。
「ロージー?」
はっと我に返り慌ててエリオットの腕を振り解く。
やだ、今何してたの。
すっかり甘えて恥ずかしい。
穴があったら入りたい。
いやもう、穴を掘って隠れたいレベル。
思わず赤くなりワタワタしていると、エリオットがくっくっと忍び笑いを始める。
「え、エリオット、失礼過ぎ!」
「ロージー、かわいすぎ」
もうそう言う破壊力抜群の口説き文句はやめてほしい。
エリオットの口説き文句なんて魔法をかけられた様なものだ。
其処ではっと思い出した!
「そうだ、エリオット。
さっきの話だけど、わたしには魔力無いのに
何故狙われているの?」
肝心なところを確認しないと。
エリオットは噛んで含めるように言った。
「ロージー、君には魔力がある。
それも強大な魔力が」
意味がわからない。
だってわたしの中に魔力なんてこれっぽっちも感じない。
魔力があれば身体の中を駆け巡るのが感じられる筈なのに。
………。
あれ、何でそんな感覚を覚えているのだろう。
「ロージーには魔力がある。
あの日覚醒した。あの魔物の森で」
あの日?あの魔物の森で?
あれはわたしが5歳くらいの頃だったと思う。
魔物の森の近くでかくれんぼをしていたわたし達の前に魔物が現れた。
それは猪の魔物ワイルドボア。
三銃士はもう簡単な魔法は使えたが何せ皆子ども、ワイルドボアとて倒すのは難儀。
三銃士が剣や魔法で攻撃をしているとワイルドボアが急に向きを変えてわたしに突進して来る、そしてわたしは恐怖で気を失った、らしい。
らしい、と言うのは実はわたしにはその時の記憶がすっぽり抜け落ちているのだ。
ワイルドボアを見た記憶もない。
だから覚えているのは、後からシモンズの叔父さまや叔母さま三銃士から聞いた話だ。
いや、待って?
あの時の魔物はワイルドボアだった?
あの頃三銃士はワイルドボアくらい倒していたはず。
三銃士?側にいたのは3人だった?
いや、もうひとり誰かいなかった?
エリオットの先程の言葉がリフレインされる。
『あの日覚醒した。あの魔物の森で』
途端にダムが決壊したかの様にあの日の記憶が甦った。
お読みいただきありがとうございます。
ブクマや下記↓⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★評価で応援していただけると、とても頑張れますので
宜しくお願い致します。




