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22.孤児拐かし

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 孤児院へ到着すると、夜半というのに、院長や職員が慌てて出迎えてくれた。

 ロイが帰って来ないので探していたのだろうか?

 それとも、公爵家の援助で成り立っている孤児院であるから、護衛ふたりを引き連れての突然の訪問に驚いたのだろうか。


「エリオット様、こんな時間にどうかされましたか?」

 前回顔を合わせた壮年の院長だ。


「問題が起こった。

 詳しい経緯を確認したい」

「問題、ですか。

 わかりました。中へどうぞお入りください」


 ジョンさんとブラッドさんに囲まれて中に案内され、院長室に入る。


 小さな応接セットに向かい合わせで座ると、エリオットが話を切り出した。


「先程こちらのロイくんが邸にやって来ましてね」

「えっ!ロイがですか?」

 院長は慌てて立ち上がり、後ろに控えていた職員に確認するよう指示をすると彼は慌てて院長室を駆け出す。


「丁度見廻りの時間なのです。

 もしロイがそちらにお邪魔したとの事なら、就寝時の見廻りの後に抜け出したのでしょう。

 それでロイは、今どこに?」

 院長は蒼い顔をして言葉を紡ぎ出す。


「邸で預かっているから心配せずとも大丈夫だ」

 院長はああ、と息を吐き俯いた。


「そうなるとルーの養子の件ですよね。

 ロイは最後まで納得しなかった。

 私どもも出来れば兄妹を引き離したくなかったのですが、その…」


 そこへ先程の職員が慌てて舞い戻って来た。

「院長、大変です!

 ロイが居ません!風呂場にも、食堂にも!」


「大丈夫だ。エリオット様が保護してくださっていた」

 職員はあからさまにホッとした表情で頽れた。

「だから反対したんですよ。

 ロイとルーは双子。固い絆で結ばれているんです。

 いくら次期公爵夫人の斡旋とは言え、お断りするべきでした!」

 職員が些か声を荒げる。


「次期公爵夫人の斡旋とは?

 ここにいるロージーからの指示だったと」

 エリオットが眼光鋭く院長と職員に問う。


「それが、その…」

 口籠もる院長を尻目に職員がわたしを睨み付けた。


「ロージー様、貴女のご紹介でルーの養子縁組が決まりました。

 次期公爵夫人の斡旋と言う事で私どもは逆らえませんでした。

 養子先をご紹介いただくのは大変ありがたい事ですが、もう少し子どもたちと触れ合い、それぞれの事情を汲み入れてからご紹介いただきたかったのです」


 やはりわたしが斡旋した事になっている。


「ロージーはそのような養子縁組の斡旋などしていないぞ」

 エリオットの一言で院長と職員が戦慄する。


「そ、そんな馬鹿な。

 私どもはロージー様のご指示と伺って」

「誰から聞いたのですか?」

 わたしは凛として尋ねる。


「へ、ヘルミナ様です!

 ゴーレイ子爵令嬢がロージー様から承ったと。

 まさか、違うのですか?

 そ、それではルーは!

 それに、ミリーとジェシカは!」

 院長は顔面蒼白で冷や汗をダラダラ流し始めた。


「残念ですが、わたしは一切指示しておりません。

 そもそもゴーレイ子爵令嬢とは此方に初めて伺った日以来お会いした事もお見かけした事すらありません」


「そ、そんな。

 ヘルミナ様はロージー様とは懇意になり、直接指示されたと言っていたのです。

 正直ここ数日で次々と三人も決まり、事が動くのが早すぎるとは感じてはいましたが、

 やはり次期公爵夫人のお力なのかと思っておりました。

 で、でも確かにミリーとジェシカの養親に縁組後連絡が取れなくて困惑してはいたのですが、まさかこんな」


 エリオットはフゥーと息を吐いた。


「先に連れて行かれた子達の養親と連絡が取れていないなら何故すぐ動かなかったのです!

 ゴーレイ子爵令嬢の言葉を鵜呑みにした貴方方の責任については後ほど詮議するとして、ルーは何時誰に連れて行かれたのですか」


「今日です!今日の夕方にヘルミナ様が連れてきた若い夫婦連れに引き渡しました。

 名前と住所など養子縁組の必要書類はここに」

 院長が机の引き出しから数枚の書類をエリオットに渡す。

 エリオットはそれをパラパラと見て言った。


「気付かれないように字体を崩してはいるが3件とも同じ筆跡だな。

 おそらく皆、偽名で身分も詐称しているだろうが、調べてみよう。

 ますます拐かしの線が強くなったな。

 夫婦連れは馬車で来たのか?」

「そうです。商人と言っており、貸し馬車のようでした」

「貸し馬車の捜索はスタンリーに頼もう」


 エリオットは院長に近づくと何かを確認をしていたがその顔は苦々しさを隠しきれていない。


 その時院長室へバタバタとデュランが入室して来た。

「殿下に30人程騎士を出して頂いた。

 まだ全員揃ってはいないが先行で10人ほど連れて来た」


 30人の王宮騎士とはただの孤児拐かしでは無いのだと直感する。

 王宮騎士団には3000人程の騎士がいると聞いていたが、こんな夜半に30人も出してくださるとは、この事件の闇の深さを知った様な気がした。


 エリオットはデュランに事の次第を手短に伝えている。


「そういう訳でデュラン、スタンリーに連絡を取り今日の貸し馬車を調べてくれ。

 あと、連れて行った夫婦の人相を聞いて足取りを追ってくれ。

 養子縁組の書類を渡すから、手分けして先に連れて行かれた子どもたちについても調べてくれ」


 デュランは頷くと廊下に控えていた騎士達にテキパキと指示を出し、院長と職員に聞き取りを始めた。



「俺達はまずはゴーレイ子爵令嬢を取り調べねばならないな」


 ルーちゃん達が無事でいてくれますようにと祈りながら、わたし達は急ぎゴーレイ子爵の邸に向かう事となった。




お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あるある設定かと思って読んでいくと 刺激的な事件が!! ぬるい嫌がらせではない、犯罪に立ち向かう主人公らが面白いです ヒロインが花畑電波ヒロインじゃなさそうなのもいい サイコだよ。本当に前…
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