表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/122

10-1 学院生活の始まり

 アリアーデの人生で初めての学校生活が始まる。

 もうさすがにドキドキワクワクはしない。

 色んな意味で私は子供ではないのだ!


 恋を知って、愛を知った私に不覚はない!

 ……あれ? 教師と恋愛してるのはダメじゃないか?


「うわぁ! ハンスロリコン!?」


 今気づいた。

 私の精神年齢はハンスより上だけど、肉体年齢は下なのだ。

 まぁ魔力があるおかげでアンチエイジングし放題なのだから、あまり肉体年齢は関係ないか……。


「アリア様……急にどうしたんですか?」


 今回学院には侍女としてリーンがついてきている。

 レイは、皇城で私の分身とお留守番……もとい政務を手伝ってくれている。


「16歳に手を出すのは教師としてどうかと思って」


 一応婚約者になるのだろうか?

 左手に指輪してるし……。


「えっ、アリア様もう卒業したんですか?」


「え? 入学したばっかりだよ?」


 リーンが首を振ってため息をついた。


「ハンス様が可哀想です」


「な、なんで……?」


 リーンは答えてくれない。

 そうこうしているうちに、馬車が学院についた。


「私は学院の中に入れませんので、アリア様は青春してきてくださいね!」


「青春はしないよ……」


 私が学院に入った理由は、クランツェフトの戦闘力を示すためだ。

 レガリウスなしでも十分に強いことを私が証明する。

 ハンスはハンスで別行動をするらしいが、詳しく教えてくれない。

 絶対悪巧みだね。


 馬車から降りて正門をくぐる。

 この学院は、貴族の中でもエリートが集まる学院だ。

 だからこそ、ここを卒業できれば箔がつくのだが……。


「まじか……」


 入って早々に男子生徒が乱闘騒ぎを起こしていた。

 私は初めて見る、猫耳を付けた獣人族の男子と、褐色の肌の男子が魔法戦を繰り広げていた。


 前言撤回しよう。

 私はワクワクしている!!


「先生を! 呼びに! 行く前に乱入!」


 バチバチ! っと小規模な雷を2人の間に落として、獣人の子の横に転移して足を引っ掛けてこかしたあと、褐色の子の額に小石を飛ばしてやった。


「いってぇ!」

「なんだてめぇ!」


 なんでエリートのはずなのに言葉遣いが悪いんだ……。


「私、入学する学院間違えた?」


 獣人の子が動こうとしたので、脇腹を蹴って肩のあたりを足で押さえる。

 褐色の子が私に向かって拳を振り上げてきたので、私も拳を上に振り上げた。空間を割いて私の拳は褐色の子の顎に届く。


「ぐわ!!」

「ぐぇ!!」


 2人とも地面が大好きなようだ。


「よし、逃げるか」


 人の気配を感じたので、私は転移で城のような校舎の屋根へ飛んだ。

 危なかったぁ……。

 ハンスにバレたら殺される。


 いや、でもあんなところで戦ってる方が悪いんだよ。

 ……屋根の下を覗いてみたら、知らない先生が2人を連れて行くのが見えた。


 教室はどこだ?

 そう言えば、案内してくれる生徒が待ってるとか言われてた気がする。

 ……え、もしかしてあの2人か?


 まだ朝の早い時間だから生徒も少ない。

 とりあえず、正門に再び転移した。


「アリアーデ様、お待ちしておりました」


 振り返ると、そこには黒髪ロングで金色の瞳を持った女の子がいた。


「ハンナちゃん……?」


「どなたですか?」


 きょとんとした可愛い顔で私を見つめる。


「ごめんなさい、人違いでした。もしかしてあなたが案内をして下さるお方ですか?」


「はい。私はレミリア・フォルテと申します」


 可愛い。

 優雅なお辞儀はやっぱりどこかハンナちゃんを彷彿とさせる。


「本日はよろしくお願いしますね」


「ところで、あちらにアリアーデ様の魔力の残滓が残っておりますが、どなたかと戦われたのですか?」


 ぎくぅ!

 って、レガリウスの魔眼……?


「い、いえ! そんなことありませんわ! それよりレミリアさんは、レガリウスの家系なのですか?」


「はい。私の母はレガリウス皇妃の妹でした。今はユーリス王国で暮らしています」


 つ、つまり……?

 ハンスのいとこってこと?

 え、亡命者がいたの?


「そ、そうなのですね……」


 聞いてないよ!

 26年前、レガリウス帝国がなくなったとき、大半の貴族はクランツェフトの傘下に入って、レガリウスの裏切り者は、禍根が残らないように処刑したはず。

 後でハンスを問いたださないと!


「それではご案内致しますね」


 レミリアは私を連れて食堂や講義室などの施設を案内してくれた。


 そして、最後に私のクラスである魔術クラスの教室に入った。


「お前!」

「まてよ、今日入学するやつって……」


 クラスに入っての第一声が、朝に聞いた声達だった。


「……皆様ごきげんよう、わたくしクランツェフト帝国第二皇女、アリアーデ・クランツェフトと申しますわ。以後お見知りおきを」


 早口で言った。

 絡むな。そして絡むな。


 歩いて空いている席に座った。

 私の隣の席にレミリアが座った。


 今朝のやつらが私たちに近付いてくる。


「俺の名前はグラン・トニオ。亜人国家ミニオンの第三王子だ!」

「俺はタイニー・フィレッツィオだ。海洋国家セイロン公国の公爵子息だぜ」


 グランが猫耳で、タイニーが褐色ね。覚えた。


「今朝はどうして戦っていたんですの?」


「グランが俺の故郷の料理を馬鹿にしやがったんだぜ? どっちが優れた魔術師なのか決めれば、解決するだろ?」

「それなのに、横槍入れやがって!」


 すごくどうでもいい喧嘩だった。

 ……レミリアの視線が痛い。


「わたくしが1番と言うことで、問題は解決いたしました。学院の格式を下げないでくださいまし」


「お前……猫被りすぎだろ」


 グランは痛い所を突いてくるやつだ。

 ふんっと無視したら、先生がやってきた。

 今朝2人を連れて行った先生だ。


「編入生はいるなー? いるならよし。もう問題を起こさないでくれよ……。俺の名前はトニー・レバーだ。得意な魔法は透明化だが、ここには魔眼持ちがいるからな……まぁ困った時は相談してくれ。よろしく」


 とてもやつれた先生だ。

 まぁこのお調子者2人がいたらそれはもう大変だろう。


「もうすぐ学年対抗戦があるから、明日はそれに向けての選抜を開催するぞー。用意しとけよ」


 ほぉ。学年対抗戦か……。

 この学院には魔術クラス、魔具クラス、戦術クラスの3クラスがあって、私のいる魔術クラスは魔力が多くて戦闘できる人が入る花形だ。

 お姉さまみたいな戦えない人は大体魔具クラスと戦術クラスに多くいる。


「話は以上だ」


 ホームルームが終わったみたいだ。

 この学院は選択授業式なので、みんなバラバラに受けたい先生のところへいく。

 期末テストで合計で5人の先生からの合格がもらえれば、進級できる。

 先生によって課題やテストも違うので、人気講師のところはすぐに席が埋まるらしい。


「アリアーデさんは、どなたの講義を受ける予定ですか?」


 レミリアが聞いてきた。


「2名は決めていますけど、残りの3名はまだ決まっておりませんわ」


「だったら、俺たちと一緒に行こうぜ!」

「おい、グラン。勝手に決めるな」


 まぁ、誰でもいいしな……。


「アリアーデさんは、私と一緒です」


 レミリアが私の腕をひっぱる。


「では、お一人ずつおすすめの先生の所に行きますわね」





 講義が終わり、私は急いで教師の準備室がある別棟の所に向かった。

 レミリアのことをちゃんと聞かねば。


 ガチャ。


「ノアール先生! どうなってるんですか!? あ、ごめんなさい」


 扉を開けると、天使みたいな青年がいた。

 やばい、来客中だった。


「アリアーデ君、扉はノックして下さい。いつもいつもなぜ私の言うことを聞かないのですか? 愛玩動物に成り下がりたいのですか? それはそれで構いませんが」


 ガチギレだ。

 話を逸らさないと。


「この方はどなたですの?」


 ハンスと同じ金色の瞳。

 もしかして、また亡命した人とか……?


「お初にお目にかかります。僕は魔術クラス3年、ラファニエル・ユーリス。アリアーデさんとお呼びしてもいいですか?」

 

 笑顔が眩しい。

 ハンスが闇としたらこの人は光だ。

 と言うか……。


「ゆ、ユーリス……皇太子殿下……」


 1番会っちゃいけない人だよ!

 そりゃハンスもキレるわけだ。


「申し訳ございません。わたくしったら、オホホホ! 失礼致します!」

 

 扉を閉めて、はしたなくないぐらいの早歩きで逃げる。

 転移するか? でも今は人も多いし……。

 長い廊下を抜けて、中庭に差し掛かった時。


「待ってください」


 私を引き止める声がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ