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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第3章 少しずつ狂う世界
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7-10 ハンナちゃん

 私は知りたくなかった。

 この世界の時間の流れがおかしいと感じた時には遅かった。


「もう1ヶ月経ったよね……?」


「え? まだですよ?」


 ハンスに膝枕をされながら、私はハンスの微笑みをただただ身に受けるしかなかった。


「そっか……」


「もう少しだけこうしていてもいいですか?」


 私は今日の勝負に負けていた。


「聞かなくても今日1日はハンスの言う通りにするって」


 毎日勝負を仕掛けて、今では無人島に豪邸が建っている。

 最近の勝負は物資じゃなくて、尊厳だとか権利だとかそう言うものになっていた。


「ここで子作りをしたらどうなるか知っていますか?」


「な、何言ってんの!?」


 私は飛び起きようとするも、ハンスに押さえつけられる。

 嫌でもハンスの笑顔が視界に飛び込んできて、思わず目を逸らす。


「ここでの生命維持システムは、そういうの対応してないから子どもは出来ないから!」


「それはいいですね」


「な、何もよくないからね!?」


 顔が熱くなるのを感じる。


「可愛らしいですねぇ」


 ハンスは舌舐めずりをして左手で私の目を隠した。

 右手の親指が私の唇に触れる。


「ちょ、ちょっと待った! ハンス1日使用権をここに発動します!!」


 いつぞやの魔法使用料は、ここぞの時に取っておこうと思ってたのに……。


「はぁ、ようやく使ってくれましたか」


「え、何その反応」


「いえ。なんでもありませんよ」


 もしかして、これを使わせるために今のは演技ってこと!?


「て、撤回! こんな貴重な権利をこんなところで消費したくないよ!」


「いいんですか?」


 そう言って、ハンスは私を抱き上げて豪邸の中に入っていく。

 ハンスから笑顔が消えた。

 

「えっと……?」


 そのままハンスの私室まで連れて行かれた。

 ずっと今まで寝室は別々で、プライベート空間が確保されていた。

 ハンスの部屋は本棚に囲まれていて、きちんと整頓されている。

 今まで立ち入り禁止だったのに……。


「あの……ハンスさん?」


 私をベッドに乱暴に降ろすと、パチンとハンスが指を鳴らした。

 鎖が手足に現れて、動けなくなってしまった。

 ……ベッドからハンスの匂いがする。


「私は婚前交渉はしない主義ですが、色々とやり方はあるんですよ?」


「ほ、本気……?」


 演技なのか本気なのかわからない。

 

「どこで根を上げるか試してみましょうか」


 ど、どうしよう……!?

 こう言う時の対処法がわからない。


 そうこうしているうちに、ハンスは様々な道具を魔法で作っていた。


「あの……それは……?」


「なんだと思いますか?」


 うーん。

 うねうねしてるね。

 しかもぬるぬるしてる。


「ウミウシとか……?」


 ハンスは得体の知れない物を見た時のように眉を顰めて私を見た。


「……リアは物を知らないようですね。いいでしょう。まずは授業から始めましょうか」


 パチン。

 指を鳴らすと、ハンスがいつもの授業スタイルに変身した。


 1時間後――。


「ごめんなさい。ハンスさん1日使用権を使います……」


「わかればいいんですよ」


 満足げなハンスを尻目に、私は恥ずかしさで顔をあげられなかった。


「ところで、このウミウシさんをリアにプレゼントしましょう」


「いや、いらないです……」


「ウミウシさんが寂しそうですよ?」


「もうやめて! それ、ウミウシさんじゃないから!!」


 ハンスにからかわれて死にたくなる。

 

 せっかくの1日使用権だから贅沢に使ってやる……。


「そうだなぁ……」


 あ、そうだ!


「ハンスがメイドさんになって1日奉仕する」


 これだ!!

 女装させてこき使ってやる!!


「ふむ……でしたら」


 パチン。とハンスが指を鳴らすと、そこにはメイド姿の女の子がいた。


 腰まである長い黒髪と、金色の瞳。お人形さんみたいな佇まいで身長も低い。


「か、可愛い……!!」

「お嬢様。本日お世話になります、ハンナと申します。以後お見知りおきを」


 声まで女の子になった!

 スカートの端をちょんと摘んだカーテシーは、初めて女の子をやる人物とは思えない、もはや女の子そのものだった。


「ハ、ハンナちゃん、ちょっとこっち来て!」


 あまりの可愛さに思わず抱きしめようとして、ハッと気づく。

 危ない、中身が誰か忘れてた。


「じゃ、じゃあ、マッサージをお願い……?」

「かしこまりました」


 ここ最近の疲れを癒すにはやっぱりマッサージだよね。

 

 うつ伏せになって様子を伺っていると、ハンナちゃんは手品のように道具を並べていく。


 ……マッサージに道具っているのかな?

 もしかしたら、本格的なマッサージかもしれない。

 前世であんまり受けたことがないから、よくわからないけど。


「それでは、失礼いたします」


 ハンナちゃんが私の背中に指を這わせると、服が綺麗に真っ二つになった。


「えっ」


 流れるような動作で片手に液体を垂らして、私の背中に塗り込んでいく。


 呆気にとられているうちに、オイルマッサージが始まった。

 服を裂かれて出来た警戒心が、魔法のような施術で解けていく。


「しゅ、しゅごい……」


 油断するとよだれが垂れそうなくらい気持ちが良い。

 そしてとても眠い。


 こんなに凄腕なら、お金払ってでもしてほしいな……。

 でも、あのハンスならきっと望外な値段を提示してきそう……でも……今はハンナちゃんだしな……。


 …………。

 ……。

 


「ひゃ!?」


 寝ちゃってた!?

 な、何か変な感じがしたかもしれない。

 気持ちいい以外の気持ち良さを確かに感じたような……?

 もしかして夢?


「こちらをお飲みください」

「うん……」


 渡されたのは、果実水。

 一口飲むと爽やかな味が口の中に広がって、さっぱりした。けど後味がなんか変。


「ちょっと暑いね……」

「では、こちらを」


 いつのまにか薄着になっていたハンナちゃんが、ぎゅっと私を抱きしめる。


 ハンナちゃんの体温が低くて、私のほてった体にちょうど良い。これもマッサージだろうか……なんだかよくわからないけど、とても居心地が良い。


「こちらもどうぞ」

「……」


 ハンナちゃんの柔らかい唇が、私の唇に合わさって、ふわふわしてきた。

 そうか、これは食べ物だ。

 ふわふわの食べ物だったのか……。

 すごい。世紀の大発見をしたと思う。

 私はきっと、これを全部食べないといけない!!


「ふふ。可愛らしい私のリア? たくさん食べてくださいね」

「気持ちいいね! ハンナちゃん大好きっ」


 ――数時間後。


「う……うん?」


 心地よい疲労感を感じる。

 マッサージってこんなに気持ち良いものなんだなぁ。


「いかがでしたか?」

「寝ちゃってた……って何これ……」


 よく見ると私は裸になっていて、ハンナちゃんも裸になっていて、しぼんだウミウシくんが近くに置いてあって、体には赤いアザがある。


「????」

「お気に召されませんでしたか……?」


 ベッドに横たわる泣きそうなハンナちゃんを見て、首をふるふる振る。


「も、もしかして、その……」

 

 人生における初体験がレズセッ……。


「いや、なんでもない……」

 

 ――そうして約束の1ヶ月が経過した。

お話追加、編集しました。

1話目にキャラクター紹介を置きました。

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