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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第1章 ここは私の楽しい異世界
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1-1 ハローワールド

 子供の頃からゲームが大好きだった。

 小学生の時、友達に対戦ゲームで勝ち誇っていたのに、大きくなるにつれてそれが井の中の蛙でしかないと気づいた時の、私に襲ったとてつもない高揚感。


 ――まだこの世界には私より強い人達がいる!!


 そう気づいた瞬間からわくわくが止まらなくなり、私はありとあらゆる対戦ゲームに没頭した。

 大学卒業後にプロゲーマーとして大会にも出て、それなりに成績を残せた。

 だけど、この世界はそんなに甘くない。

 どんどん若手に抜かされて行く焦燥感と、女と言うだけで心配される結婚と子供。別にずっと1人でもゲームさえあれば大丈夫なのに……。

 

 結果、親にいつまで遊んでるんだと言われた事がきっかけになってプロゲーマーを辞めて、就活と言う世間の厳しさに挫折して、24歳になった今でも働かず一人暮らしでストリーマーとして細々と生計を立てている……。


 そんなある日、いつものようにバトロワ系FPSゲームを実況していた時のこと。


「へぇ、乙女ゲームなのに死にゲーバトル要素があると……。ちょっと待って、接敵した!」

 

 コメント欄に「乙女ゲームなのに死にゲーバトル」という気になる話題が流れたが、それどころじゃない。

 残る敵は3部隊。集中して敵の出方を見ていたら、焦げた臭いがしてきた。


「ん……何か臭う?」


 気のせいかと思って、再び画面に集中する。しかし、背中が次第に熱くなってきた。


「あっつ!?」


 背後に感じた熱気に、思わず立ち上がって後ろを振り返ると――燃え盛る炎が部屋の半分を覆っていた。


「ちょ、なんで!? 火事!? うえぇぇぇ!?」


 思わず叫んだその瞬間、天井に漂っていた熱い空気が喉に入り込み、視界がぼやけた。

 意識がどんどん遠のいていく……。


 

 ♢


 

 熱い……。

 苦しい……。


 暗かった視界に光が入ってきた。

 その瞬間、思いっきりむせた。

 

「ケホッ! ケホッ!」

 

 熱いお粥のようなものが気管に入ったみたいだった。


「少し熱かったかしら……」


 喋れないし言葉もわからない。

 これはあれか、赤ちゃんに転生した……?

 

 死んだのだってかなり悔しい。

 だってさっきの試合、あともうちょっとで勝てたのに!


「ぶー! ぶー!」

「ほらほら、泣かないでください姫さま。」


 侍女が絹のハンカチでほっぺたを拭ってくれた。

 

 私の今までの苦労とか、登録者数とか、全部なくなっちゃった……。

 こんなのってないよ!


「うぇーん! うぇーん!」

「あらあら、抱っこしましょうね」


 侍女が私を抱き上げて揺らしてくる。


 そんなんじゃ、泣き止まないんだからね!

 と言うか、さっきからおしめが湿っていてかなり不快なんだけど!

 転生ものには魔法がつきものだけど、この世界には魔法があるのかな?

 試しにやってみよう。

 

 綺麗にな〜れ〜! おしめの水分なくなれ〜!


 頭の中で強く念じると次第に体が熱くなり、なんとおしめが光り始めた。


「お~~!」


 すごい! すごい!

 思わず手足をバタバタさせて感動する。

 

「アリアーデ様!?」


 それを見て侍女は青ざめた顔をしながら、慌てて私の額に手を当ててきた。

 すると体の熱が引いていくような感じがして、眠気がやってきた。

 眠気に抗おうと頑張ったけれど、結局寝てしまった。


 その日から排泄をすると発光する現象を繰り返していたら、侍女がすぐオムツを替えてくれるようになった。

 もれなく青い顔をした侍女が額に手を当ててきて、私が眠くなるのもセットなので、もしかしたらいけないことをしているのかもしれない。


 けど魔法の世界の定番と言ったら、スタートダッシュでしょ!

 頑張って足上げの筋トレと発音練習の日々を過ごしていたら、とても嬉しい事が起きた。

 この世界の人は察する力が強すぎじゃないだろうか?

 そう、紙をくれたよ!

 もらった紙は走り書きの文字が書いてあって、侍女が険しい顔で見せつけてきた。


 することが無くて退屈だから言葉を覚えたかったんだよね。

 「わかってるじゃん! これが欲しかったんだよ!」って言いたくて、興奮して紙を抱きしめてたらいつの間にか寝てしまった。

 起きた時には握りしめてた紙が文字表にすり替わっていたりしたけど、頑張れば意思は伝わるもんだね!

 

 

 さらに数日経つと侍女は厳つい男の人を連れてきた。


「陛下。どう致しましょうか……。アリアーデ様が浄化の魔法を使っているようです」

「ふむ、報告は聞いている。やはり……可愛いな」


 どことなく偉そうだ。と言うか王冠をしているからほぼ100%アレだ。

 この人が私の父親だとしたら色々面倒だな……。


「ごほんっ……その、憑き物でしょうか?」

「レガリウス卿を呼べ」


 しばらく経って、美形な黒髪金眼の少年がやってきた。

 どこか冷めた目をしているけど、もしかしたら遊び友達がいないのかもしれない。


「どう思う?」

「綺麗な魂を宿しています。彼女は魔王に魅入られた人間ではないでしょう。どちらかと言うと、私のように早熟なだけかと」

「そうか……。だとしたら教育は早い方がいい。クレバンス伯爵にそう伝えてくれ」

「はい」


 少年はまるで新しいオモチャを見つけたように、嬉しそうに去っていった。

 その日からたまに少年が私の元に来て、花を一輪置いて行くようになった。


 何の苦もなく、少年の細い指から魔法の花が形作られていくの凝視する。


 すごい。

 花の筋まで再現されたそれは、魔法と言うよりもはや本物の花そのものだった。

 香りもわずかに漂ってくる。


 作ってくれたのは、白い紫陽花だった。

 あの細かい花を再現するなんて、すごすぎる。

 もしかしたら、魔法は極めると何でもできるのかもしれない……!


 私もやりたい!

 そう思って、その日から隙を見て少年がくれたお花と同じものを作る練習を始めた。


 数日経つと、歪な形だけどいくつかまともなのが出来てきた。

 その様子を一通り眺めた少年は、その日からぱったりと尋ねてこなくなった。


 そして、侍女のエレナが魔法を使うのを邪魔をしてくるようになったので、さらにこっそりと魔法を使うことになった。


 この頃にはもう言葉もわかって、ハイハイもできるようになっていたのて、空いた部屋に潜り込んでは魔法を使う。


「ふぁいやぁ〜」


 私は両手を前に出して小さな炎を作る。


「あちっ」


 火の粉が床に落ちてしまったので、慌てて水を生み出して消火する。しかし、黒ずみは残ってしまった。


「むむむ」


 失敗は成功のもと。

 よし、どんどんやろう!


 次はぬいぐるみを目の前に置く。


「えありある、すらっしゅ!!」


 適当に名前をつけて、ぬいぐるみを切るイメージを作る。

 ジュパッ!


「おぉ〜!!」


 やっぱり、この世界の魔法はイメージが全てらしい。

 綺麗に切断されたぬいぐるみを掴んで、中綿を押し込んでいると固い物が中に入っているのが見えた。


「ん?」


 水晶だろうか。

 丸くてつるつるして飴玉みたいだった。

 口の中にでも入れようかと悩んでいたら、人が近づいてくる音がした。

 慌てて中綿と水晶を押し込めて、ぬいぐるみを繋げるイメージをする。

 ぐにぐにと指でなぞると糸同士が繋がっていく。

 よかった。くっついたみたい。


「アリアーデ様、お食事のじかん……!?」


 エレナは運悪く黒焦げの床を見てしまったようだ。

 魔法の練習を禁止されるわけにはいかない。

 ここは逃げる!


 最近思いついた身体強化魔法(高速ハイハイ)で部屋を飛び出した。まだ立って走るよりも速いのである。


「まぁ! アリアーデ様お待ちください!!」


 エレナの叫び声が聞こえたけど、聞こえなかったことにしよう。私はこの国の姫様らしいけど、そんなのは関係ないのだ。うん。

 


 そんなこんなで私が1歳になる誕生日に予想外のプレゼントがやってきた。

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