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揉みたいおっPがソコにあるのに!  作者: 可燃物
プロトタイプ

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 次のフィッティングは、図書委員が似合いそうな先輩だ。


 彼女は採寸をする前に、指導をしなければならないくらいに酷い。

 先程の先輩の、トンデモ具合が可愛く見えるくらいに、酷過ぎる。



「先輩は採寸の前に、どうして欲しいのか、どうなりたいのか、要望をおっしゃって下さい。

 ただ僕が測ってサイズを伝えるだけでは、解決できない所が多過ぎます」


「……え? え??」


 始まらない採寸と、僕の真面目な声に、困惑したのだろう。

 キョロキョロと視線を彷徨わせ、首を傾げる。



 自分の身に着けている下着のどこがどう悪いのか、サイズが合わない以外に何が問題なのかが、分からないらしい。

 ワンチャン、ウケ狙いかとも思ったのだが……そうか、本気なのか。



 体育の授業で着替える時とか、修学旅行の大浴場でとか、これまで友達に指摘される機会は、幾らでもあっただろう。


 野郎連中なんかは、隙あらば誰がデカい小さいの話で盛り上がると言うのに。

 おかしいな。


 まさか……女性が更衣室でお互いのおっぱいを触り合いっこして、キャッキャと戯れながらガールズトークに花を咲かせるのは、幻想だったとでも言うのか!?



「先に謝罪しておきます。

 言葉が悪くなったら、済みません。


 先程の先輩も、スポブラではなくナイトブラを普段から使用している、と言うツッコミ所満載な下着を身に着けていましたが、貴女のは……ちょっと、酷すぎます。


 アンダーもあっていない。

 着ける位置が違う。

 カップも合っていないし、その上寄せることすらしていない。

 肩紐の長さ調整も出来ていないし、何より、ジュニアものであることが許せな……!


 ……コホン。


 先輩くらい乳房が発育している場合は、大人用を身に着けなければ。

 形が崩れるし、それでは着けていて苦しいでしょう」


 途中からヒートアップし過ぎて、本音がだだ洩れる所だった。

 危ない、危ない。


 怖がられて、逃げられたら大変だ。

 僕の観点で許す、許せない、の問題ではないのだから。



 これは、先輩のおっぱい存続の危機なのですよ……!?


 いや、マジでね。

 冗談ではなく。


 至極真面目な話だ。

 本当に。



 なんで真面目な話かと言うと、全くサイズの合っていないこんなブラジャーでは、過度の外部刺激が加わる。

 そのせいで、乳癌のリスクが高くなるのだ。


 ステージによっては全摘をしなくても良いし、今は手術前と遜色劣らない見た目に出来る、おっぱいの再建手術だってある。


 だけど……病気なんて、ならない方が良いに決まってる。



 病気になったおかげで気付けることがある、と言うのは一理あるのだろう。


 しかし個人的意見を言うなら、それは病気を美談にし、自分の精神状態を保つための自己防衛本能の一種に過ぎない。

 僕はそう思う。


 病気になんて、ならない方がいい。

 絶対にいい。



 そんな御託、どうでもよろしい。

 横に置いておこう。


 それよりも今は、先輩のおっぱい救出が何より優先されるべきことだ!



「えぇっと……

 わたし、女家族、誰もいなくて。

 安売してるのをつけてるから、何がどうダメなのかも、わからないの。

 おっぱい王子には悪いんだけど、何がどうだめなのか、教えてほしいな」


「それは……

 事情も知らず、申し訳ありませんでした」


 言って先ほどポニーテールの先輩にさせた格好よりも、更に深く、頭を下げた。


 今のセリフから、色々察することが出来る。

 両親共に揃っている上、家計の心配をしなくていい僕には、表面上の理解は出来ても、心情的なものを汲んで、寄り添うことはできない。


 暴走して、暴言を吐かなくて良かった。

 彼女の心の傷をえぐるか、新たに傷を作る所だった。



 ……ただね、サラッとあだ名で呼ぶのは、辞めて欲しいな。

 呼ばれるたび、僕の心が傷付くから。


 このお年頃の男の子は、とっても繊細なんだよ。

 影でコソコソ言われたり、からかわれるように言われたりするのは、一万歩くらい譲ればスルー出来るけど、真正面から、何の悪気もなく言われると、さすがに傷付く。


 ……ちょっと、泣いてもいいですか?



 僕のあだ名は自分の行動が招いた結果なので、ある意味仕方ないと受け入れてやらなくもないが、彼女の問題は、家庭の事情だ。

 初対面の一後輩が、踏み込んでいい領域じゃない。



「それでは、後輩さん。

 貴女も共通して学ぶべき所でしょうし、少々お時間をください」


 年齢によって適したブラジャーが違うことを知らない人が多いので、プリントを用意してある。

 使い回しているそれを、五人に配る。


 あって悪い知識じゃないしね。



 女性は子供を産むための準備をするべく、二次性徴期になると肉体が変化していく。

 初潮を迎えたり、つくべき所に脂肪がつきやすくなったり、そういう逃れようのない変化だ。


 乳房が膨らみ始めるのも、この時期になる。



 そして乳房がみんなが大好きなおっぱいへと進化するにあたり、いくつかの段階を経なければならない。


 ちなみに‘’みんな‘’の中からは、幼児のつるぺたイカ腹愛好家の少数派は、今回は除外させて頂こう。

 未発達や発展途上のそれも悪くはないが、それを語り出したら逮捕されてしまうリスクがある。


 やだよ、僕は。

 この歳に限らず、前科持ちになんてなりたくない。


 ただでさえ、ギリギリの綱渡りをしている状態なんだから。

 これ以上の危険は犯したくない。



 二次性徴を迎える際、まず胸が膨らむための前段階として、非常に刺激に敏感になる時期がある。


 揉むなんてもってのほか。

 衣服が擦れるだけで、ピリピリヒリヒリと、むず痒いような、痛いような、妙な感覚に耐えねばならない。


 その刺激をなるべく和らげるため、また刺激と共に硬くなり、前へと出てきた乳首を隠すため、胸の部分が柔らかい生地の二重になっている肌着を着る。


 これが第一段階。



 胸が膨らみ始めるのは、乳首を中心とする。

 大人のおっぱいはお碗型が美しいとされるが、発展途上中のそれは円錐に近い。

 その上、固い。


 脂肪がまだほとんど付いていないのだ。

 当然である。



 あのマシュマロを比喩される独特の柔らかさは、最初から女性の胸に付いているわけではない。


 女性が痛みに耐え、丹精込めて成長させた結果なのだ。



 敬意を込めて、五体投地で拝まなければならない存在。

 触れる時には細心の注意を払わなければならない、尊ぶべき聖域(サンクチュアリ)


 それが、おっぱいなのである。

おっぱい進化論は次回に続きます。

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