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決してバレてくれるなよ。
そう内心でビビりながら、先ほど後輩ちゃんに渡したものと同じ紙を取り出す。
学校でフィッティングをする許可が降りた時に、母さんが作ってくれた、僕の名刺だ。
表面に僕の名前と、母さんの会社の名前、問い合わせ先のメールアドレスが記載されている。
裏面が先程記入したカウンセリング用紙の、簡易版になっている。
採寸した数値と我が家のブランドなら適応サイズがいくつなのか。
肌の色味から、似合う色が何色なのかを書き込んでお渡しした。
因みに、割引券になる旨も記載されている。
僕の技術が上がることは、家にとって利益になる。
しかも学生時代から愛用してくれるなら、長い付き合いになる超お得意様となる可能性を秘めている。
一割引程度、すぐにペイできる。
失礼をしでかした後輩ちゃんに渡した名刺には、使用の際には三割引にするように書き込んでおいた。
差額は多分、僕の小遣いから引かれることとなる。
「先輩の採寸は、これで終了です。
もう着替えて結構ですよ。
他の方が終わるまでお暇でしたら、こちらのカタログの十ニページ目、もしくは四七ページ目からご覧になって、お待ち下さい」
当然ウチの宣伝を、ガッツリさせて貰う。
ガンちゃんに預けている仕事道具には、先程のニップレスシールも含め、両親から借り受けている、様々な商売道具が入っている。
正確に言えば、僕はあくまで女生徒の皆さんを、母のブランドへと橋渡しをする機会を与えているだけなので、稼いでいる訳ではない。
だから商売道具と言うと、ちょっと違うか。
この道具袋の中に、ウチで扱っている商品や、過去扱っていた商品、全てを掲載している特別仕様のカタログがある。
今先輩に渡したものだ。
現行で扱っている商品のカタログは、当然テイクフリーで誰にでも配れるのだが、これは僕が学校で使うために、父さんが作ってくれた特別仕様となっているので、完全な一点物だ。
若い女の子の要望をリアルに聞ける立場にあるから、と言うことで過去に作っていた商品の写真や、草案の段階で止まっている企画のイラストまで、全て載っている。
後者なんて、本来外に出すべきものではない。
父さんが僕を信用してくれているからなのか、ただ単に最近おっぱいの神様がご降臨しないから、少しでもヒントになりそうな言葉が欲しいのか。
いずれにせよ、僕も勉強になるから、フィッティングをした人たちの言葉は、なるべく心のメモに漏らさず記入をするよう心がけている。
そんな些細な言葉から、ちゃんと商品として需要のあるデザインを起こせるのだから、プロって凄いなと尊敬する。
カタログは、一〇ページ目まで会社創立の経緯や、社長とデザイナーの説明。
どういう環境で作られているか、会社の理念などがダラダラと書かれてある。
そんなものは興味は無いだろうし、すっ飛ばして構わない。
家の中と家族の写真が載っているんだもの。
正直、あまり見られたくない。
十二ページ目以降が、本命となる商品紹介ページなので、そこから見てもらう。
カタログの最初の方はアンダー六〇~九〇、A~Fカップまでのサイズに対応しているブラジャーと、セットのショーツのデザインがずらりと並んでいる。
四七ページ以降は、種類は少ないがスポーツブラも一応載っている。
他の人の採寸は、そこまで時間はかからないと思われる。
流石に八〇ページ以降に目を通すことは無いだろうと考えたから、敢えて言わなかったのだが、八〇ページ目以降は、大人向けの商品の紹介がされている。
いわゆるビスチェとかファウンデーションとか。
ベビードールやガーターなんかも載っている。
ファウンデーションって言うのは、いわゆる補整下着ね。
古典の和田先生が買ってくれたやつ。
ボディースーツ・ウエストニッパー・ガードルの三点セットでの購入を勧めているが、単品でも一応購入できる。
一個一個が高いからね。
予算と自分の体型と相談して、どうするのか決めれば良いと思う。
まぁ、僕がフィッティングをすると、大抵はフルセットで買ってくれるけどね。
腹部から全部胸へと脂肪を寄せるから。
ソレを可能にするのは、フルセット購入しか道が無いじゃない。
当然だよね。
ウチではワンピースタイプのボディースーツは扱っていない。
上半身と下半身、それぞれ別のアイテムで補整した方が、より綺麗に身体のラインを整える事が出来るからだそうだ。
個人差はあるから、一概には言い切れないが。
更に後半の方に載っているベビードールとかガーターとかってさ、男のロマンだよね。
ベビードールの可愛らしいデザインも良いけれど、特にガーターベルトは、おっぱい大好きな僕でも惹かれてやまない。
正しいつけ方を知らなくて、パートナーにショーツを伸ばされたとか、ガーター紐を千切られたとか、修羅の愚痴を聞かされたことがあるので、女性は正しい知識を持って身に付けようね。
そして脱がす立場の方は、もし相手が正しく着けていなかったら、優しくガーター紐外してあげようね。
ガーター紐でストッキングやロングソックスを留めた後に、ショーツをはく。
それが正しいつけ方だ。
写真映えの為に、ショーツの上からガーターを身に着けた写真を載せていることが多いせいで、勘違いをする人がいるらしい。
姉なんかは撮影で着ることが多いから、余計に勘違いしやすかったのだろう。
便所に行った時、不便だろうに。
気付こうよ。
引きちぎられるガーター達が可哀相だ。
ついでに父さんのような、デザイナーもね。




