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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第5章 闇魔法と不死者な少女

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第49話 怯える0歳児


『闇魔法は対象の精神に作用するものが多い。これは司る力が負のものであり、精神の負に強く呼応して――』


 ミレイと会った数日後。

 僕は改めて闇魔法についての本を読んでいるところである。

 彼女の記憶、その先を見るためのヒントが隠されていないか探るため。

 まだマリンが起こしに来る前、ようやく太陽が顔を覗かせ始めた時間だ。


「ふむふむ、『魔法を使える者、その適正属性の特徴は体に現れやすいとされる。火属性などは赤い髪になる場合が多く――』」


 闇魔法だけでなく、魔法に関しての本当に基本的なところだ。

 マリンも恐らく水の魔法が使えるのではと思っている。

 ロロップは魔法が使えないから黒とピンクなのだろうか。


「『闇の場合は、陰気な性格をしている者が多い――』やかましいわ!」


 思わず本を投げつける。

 いかんいかん、本は貴重なものだ。

 しかし誤った情報が載っている本が貴重な物と言えるだろうか。

 僕はこんなに朗らかで明朗で快活だというのに。


「…………」


 窓際まで飛んだ本を取りに立ち上がる。

 しかし、闇魔法か。

 そろそろ現実を見ようか。

 なぜ僕が闇魔法を使えるのか。聖女――聖なる魔法の使い手は聖魔法しか使えない。

 だというのに、いやそういえば――。


「おや、あれは……」


 窓の外をチラリと見ると、例の少女が仕事をしているところが見えた。

 街灯を灯す仕事をしている、たしかクゥと言ったか。

 ボサボサ赤髪に、褐色肌の元気娘。

 日が昇る際に、消灯する役目もあるようだ。


 ちょうどはしごを使って街灯の火を消すところで目が合った。


「あ、こっち見――あぶないっ!」


 こちらに気が付いた少女は、あろうことか手を振り出した。両手で。

 そしてはしごがバランスを崩し、転倒してしまった。

 彼女は高さ3メートル近いところから落ちてしまったのだ。


「バカ……! 治してやるからな……!」


 しかし遠い。

 『オーラ』で視力を底上げして様子を見る。

 首の骨が折れている。

 届くか?


「届け……『聖なる癒し』!」


 僕の手から少女に向かって光が飛ぶ。

 やがて光に包まれた少女が起き上がり、再びこちらに手を振るのが見えた。


「……ふぅ、全く……」


 少女は不思議そうに首を傾げつつ、しかし何事もなかったかのように作業を再開し始めた。

 呑気なものだ。こちらは汗でびっしょりだというのに。


「……ふふ。仕事が遅れたら怒られるからな。主よ、母様よ、あの子が楽しく過ごせますように」


 誰にも、本人にも知られていないならそれでいい。

 ただ1人の、明朗で快活そして慈悲深い子どもが焦っただけだ。


「さて、続きを――いや、別の本を読もう。いややはり、執筆の続きをしようかな」


 母様の、僕による、世界のための、本。伝記。偉人伝。

 『史上最高最かわ聖女フルルーチェの慈愛に満ち溢れた尊き人生とその最も愛した子ども』。

 母様の素晴らしい人柄を紹介する前書きだけで100ページを超えている、超大作だ。


「今日こそ本文にたどり着くか――否、まだ母様を形容する文章が足りない――」




 ◇◇◇◇◇◇ 

 

 その夜。


「母様、おやすみなさい。主よ、今日こそ母様と夢で会わせてください」


 いつものように、母様と一緒のベッドに入る。

 今日も結局、闇魔法の収穫はなかった。

 母様の伝記も本文にたどり着かなかった。


「難しい……」


 寝ながらいろいろなことを考える。

 だめだ、目が冴えて眠れない。

 どれくらい時間が経っただろうか。

 既に夜に鳴く鳥の鳴き声も聞こえない――。


「――ッ!」


 突然、何者かが廊下を歩く音がと聞こえた。

 みし、みしと……静かにしかし確実にこちらに向かって進んでいるように、音が大きくなっている気がする。


「……こんな時間に……しかも見張りの目を()い潜れるなんて……! か、母様……!」


 何者だろうと、必ず守ります。

 だけど、僕も守ってください。

 もしかしたら、幽霊かもしれません……!


「――っ!?」


 そして、足音の主は僕らの部屋の前で動きを止めた。

 僕の心臓も止まりそうだ。


「かかか、母様……!」


 震える体を、カチカチと鳴る歯を食いしばり、扉を見つめる。

 永遠に感じる一瞬の後、ついにドアノブが回った。


「ア、アア、アァァ…………」


 姿を現したのは、小さい少女だった。

 首から上はない――いや、少女が両手で抱えていた。自身の頭を。


「んぎゃああああああ!!!」

「あ、ちょっ!」

「かあさまあああああ!!!」

「しーっ! しーっ!」


 布団に潜り込む。

 母様に抱き着く。

 これは母様を守るため。

 この身を(てい)して守るため。


「静かにしてってば! 聖子様!」

「ああああ――あ?」


 布団をめくられ、その隙間に差し出された頭。

 それは……今朝治療した少女のものだった。


「どもどもっ! 首が取れちゃったんで! 治してもらいにきましたっー☆」

「は……へ……?」

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は10時10分頃と20時10分頃に投稿します!

よろしくお願いします!

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