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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第5章 闇魔法と不死者な少女

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第46話 覚悟する0歳児


 今日は特に予定もない。

 いわゆる休暇である。

 そして僕はいよいよ覚悟を決める。


「母様、同意もなくあなたの中に入ることをお許しください」


 ついにこの日が来たのだ。

 ドキドキする。

 背徳感に包まれる。

 そして――。


「怖い……」


 自分に持てる力を出し切っても、届かなかったとしたら。

 もう無理なんじゃないかと諦めてしまうんじゃないか。


「だけど、先日教えてもらったのです。『あなたと共になれない未来があるのなら、全てを賭けてそれを阻止する』のだそうです」


 ひと月前まではどこか虚ろな目をしていた少女が、力強い目でそう宣言した。

 何があっても諦めない、逃げ出さない、掴み取る。

 そんな決意を滲ませて。

 美しいと思った。

 素敵だった。


「僕もああなりたい。だから、勇気を出します」


 今まで避けていた、母様の“聖癒(せいゆ)”。

 大丈夫、僕ならできる。


「細胞、注入」


 細い細い管を伝い、丁寧に丁寧に送り出す。

 何も傷つけないように、そっと解析する。


「心臓は動いている。血は巡っている」


 肺も動いている。筋肉も動いている。

 その他内臓にも動いている。


「……異常なし」


 どこも何も、異常は見当たらない。

 自分の知識、経験から得た人の体の構造。他の人との相違、なし。


「……もう1度」


 異常なし。


「……まだだ」


 異常なし。


「……これ以上……」


 異常なし。

 母様は全くの健康体。

 つまり――。


「…………」


 治しようがない。


「……母様」


 こうなることを恐れていた。

 だから、怖かったんだ。


「…………」

「…………」


 すぅすぅと、安らかな寝息を立てて眠り続ける母様。

 まるで、ここだけ時が止まったかのように……。


「……絶対に諦めません」


 目覚めないのが肉体的な理由なのか、それとも精神的なものなのだろうか。

 はたまた脳に損傷があるのか。

 まったく見当がつかないが、諦めないことだけは確定している。

 必ず手繰り寄せる。


「……もう1度、行ってみるか。あいつのところに……」




 ◇◇◇◇◇◇


 ゴレイヌを連れ、教会の地下へと向かう。

 松明がないととても歩けないような、薄暗い場所。

 湿気のような、かび臭いような、陰気な空間が広がっている。

 そこは地下牢。

 神や教会に(あだ)なした罪人をとらえている場所。


「久しぶりだな」


 とある鉄格子の前で、その女性に声をかける。

 目隠しをされ、(くつわ)を噛まされ、両腕を胸の前で交差したまま縛られている女性。

 壁と首を繋げる鎖をカチリと鳴らし、女性はこちらを見る。


「元聖女専属メイド、ミレイ」

「……坊ちゃん、ですか」


 弱々しく、かすれた声。

 それでも懐かしい記憶が思い出され、泣きそうになる。

 母様を殺そうとする前の、懐かしい記憶。


「ゴレイヌ、すまないが……」

「御意に」


 ゴレイヌにも闇魔法のことは秘密にしている。

 そのため、見張りもかねて看守に怪しまれないような場所へと離れてもらう。

 移動を見届けた後、改めて口を開く。


「久しぶりだな」

「……言うべきことは、既に嘘偽りなく申しております。坊ちゃん、殺してください」

「断る。お前は……手がかりだ」


 かつては凛とした、とても強い女性だった。

 その彼女が殺してという。

 牢に繋がれ精神を摩耗(まもう)、だけではない。


「フルルーチェ様を手にかけようとしてしまった。それだけで万死に値します」

「母様は死んでいない。故にお前にも生きながらえてもらう」


 嘘だ。

 本当は即刻処刑すべしとの声が圧倒的だった。

 それでも生かされているのは、僕が大教皇に強く懇願(こんがん)したためだ。

 理由は1つ。


「……本当に……なぜ私は……フルルーチェ様……」

「…………」


 ミレイが自ら母様を殺そうとしたとは考えられないからだ。

 恐らく誰かに操られたのだと思う。

 その犯人を探し出すため、彼女をこうして生かしている。


「……今からお前に、嘘が付けないように魔法をかける。僕の話に相違があれば言え」

「……かしこまり、ました……」


 それでは……思い出そうか。


 忌まわしき、あの日を――。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も21時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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