営業だよ!ドナルド店長!
戦闘の合間を縫って、ドナルド=マクドナルドは広島支店へと足を運んでいた。
ディスコ ディスコ
ワンルーム・ディスコ
ディスコ ディスコ
ワンルーム・ディスコ
店内で、赤アフロの白塗り道化師を歓迎する歌がたった今終わったところだった。椅子に腰を下ろしたまま脚を組んで、ドナルドは披露した三人娘へと拍手を送る。
このガールズユニットは、広島が生み出した任侠魂の溢れる頼もしい三人娘であった。
「アヤノでっす」
「ユカでっす」
「アヤカでっす」
順当に右から自己紹介していったのちに、一斉に愛らしく名乗り出る。
「私たち、『香水娘』でっす。よろしくねっ」
「てか、さっきからおんし《お前》黙ってばかりじゃの。別に何も恥ずかしがることありゃせんのと違うかの? のぉ」
「アヤノの云う通りじゃけ。今もそうじゃがの、儂ら、餓鬼の時分からこん《この》バーガー屋に長いこと通っとるんよ。じゃから、おんしの顔とは馴染み深いんじゃき。のぉ」
「そうじゃそうじゃ。何を今さら照れとるのかいの? のぉ」
これまた順当に右から語ってゆく『香水娘』たち。
次はその逆から訊いてゆく『香水娘』。
「ひょっとして、おんしゃー、ピッチピチな娘の儂らを目の前にして緊張しとるんでないの」
「アヤカ、違うき。ドナルドはどっちか云うたら男がええと聞いたんじゃが? のぉ、ほんに《本当に》おんしはどっちがええんじゃ?」
「そら青年好き云うんわ違うじゃろーー。確か、少年の方がええと儂、噂で聞いたんじゃがの。ドナルドさん、どないかの? のぉ」
「んーーーー」
再び順当に訊いてゆく娘たちの言葉が、道化師を促していった。
「勿体ぶらんでええじゃろ。すっきりとカミングアウトしなさいや。のぉ」
「やっぱ、少年が好きがか?」
「少年が一番じゃろ?」
「もちろんさ」
答えはいつも、爽やか一番。
スマイル、0¥。
ただし、今日は気分的に少年が好きなドナルドであった。