第19話 アリアの兄貴のご登場。
翌日、あたしは昼前に起きた。
昨日の慣れない外出で気づかないうちに、疲れがたまっていたようだ。
テーブルには朝食と紅茶、読みかけている本がしっかりと用意されていた。
今日の朝食は、ご飯と野菜、お味噌汁(あたしが自分で研究して作った)ものだ。
ゆっくりと起き上がり、ぼぉーっとした頭でテーブルまで行き「いただきます」とつぶやいて独りもそもそと食べ始めた。
半分食べ終わり頭がはっきりしてきたのでコノルを呼ぼうとした。だが迷惑な邪魔が入ってしまった。
「おい!!まだなのか?!遅すぎるだろう!!」
やけにうるさい声だ。まったく迷惑だ。きっと今日話す予定のアリアとアリアの兄貴が来たのだろう。
「お兄様、うるさいです。言いましたよね?ユウラ様の朝は遅いのです。ユウラ様にも迷惑ですし周りの方にも迷惑です。そして、恥を知ってください!!」
うーん、ここからでもわかるほど怒りのオーラがすっごい出ている。
怖いからそっとしておこうか?とも思ったが、もう一つアリアよりも怖い人が現れた。
「失礼ですがアキ様。まだユウラ様は朝食のお時間です。時間になれば私がお伝えしに行きますと今朝言ったはずですが?」
この屋敷で一番怖いのはコノルなのかもしれないと思ったのは秘密だ。
ゆっくりしていることがなんとなく悪く思えてきたので、ドアから少しだけ顔をのぞかせる。するとちょうどコノルから目を背けていたアリアの兄とばっちり目が合ってしまった。
そしてコノルとアリアにも気づかれた。
「ユウラ様!!まだお食事中の途中ではありませんか!!こんな礼儀知らずな人のことなんて放っておいてどうぞご自分の時間を大切にしてください。」
なんか、何にもしてないのに怒られた気分だ……。
「いや、まぁ昼からって言ってたほうがよかったなぁと思って。悪かったね。自分でも今日はこんなに遅く起きるとは思ってなから。」
「ごめんなさい、ユウラ様。気が利かなくて……ユウラ様に気を利かしてしまうなど……!!」
「こんなどこの馬の骨ともわからないやつに、気なんか利かせなくていい。」
なんかこいつすっごいむかつくな…。
あたしにとってはこいつのほうがどこの馬の骨とも知らないやつだが……。
そんなことはアリアの手前言えないが、睨まれているみたいなので睨み返す。そこで怖気づかないだけまだましというものだ。ひどい奴は睨むだけで怖気づいて目線をそらすのに。まぁ少しは骨のあるやつみたいなので許すとしよう(何をとはあえて言わないでおこう)。
「散らかってるけど、入るかい?それとも隣のジュノの部屋で話す?」
「ジュノとは誰だ?」
う~ん見当違い。こいつやっぱだめだわ。人の紹介した人忘れるなんて、普通に考えてありえない。しかも元魔王ってちゃんと言ったのに……。
「お兄様!!いい加減覚えてください。まったく。……ですから、会議の途中にユウラ様と一緒に乱入してきた青年だと言っているでしょう!」
「人の顔覚えるの苦手なんだよ………。」
「そんなの言い訳にもなりません。」
ピシャリと言い放つアリアに首をすくめる兄。さっきコノルが「アキ様」って言ってたからこいつの名前は「アキ」なのだろう。
しかし、妹に弱い兄とは何ともふがいないのだろう。こんなので氏族長が務まっているらしいからすごいと思う。しかも妹が女神リリーヌの加護を受けてるんだし、相当な力を持っているんだろうな。
「すまない。だがそれよりも俺にとっては、お前が「魔王」だと言うことのほうが大事なんだ。それしか頭になかったんだ。」
単純に仕事馬鹿なだけのようだ。どんなやつかと構えていた自分がばからしくなった。
「とりあえず、ジュノの部屋に行こう。話はそれからだ。」
アリアの兄もアリアも納得しているようなので、ジュノの部屋へ行った。




