第18話 幼馴染について。
自分の部屋へ帰るとさっそくコノルが、今日あったことをあたしに教えてくれた。
「アリアの兄があたしに会いたい?!」
「はい。アリア様が来てそうおっしゃられました。出来れば明日にでもお会いしてお話がしたいと。」
「そっか。わかった。じゃあ、明日午前一番に……と言っても読書が終わってからだけど、アリアたち呼んでくれる?」
「わかりました。ではいつもの時間にお呼びいたします。」
「ありがとう。」
コノルは言い終わると、夜の紅茶の準備をしに隣の部屋へ行った。
ジュノと2人になり、話すこともないので自然と沈黙が部屋に流れる。
嫌だというわけでもないが、なんとなくそわそわする。
きっとジュノがなんとなく幼馴染に似ているからだと思う。
彼はジュノみたいに敬語なんか使わなかったが、でも仲間のために何かしたいというところは似ていると思った。だからこんな風に沈黙が流れても平気なのかもしれない。でも根本的に違うところがある。それは、心の中にある影だ。
ジュノはまだいい。仲間と呼べるものたちは生き残り、いろんなところに散らばっただけだから。いつでも会おうと思えば会えるから。だから、自分の民である者たちを殺したという恨みしかない。
でも彼は違う。彼は仲間も仲間以外のジュノにとって民のような人たちも死んでしまった。殺された、というほうが正しいのかどうかわからないが、死んでしまったから。会いたくても会えない。今いる友達は仮の仲間。本当の仲間が恋しいのだろうかと思う。
逃げたのだ。彼は。自分たちの仲間の死から。
あたしは逃げなかった。
彼の仲間はあたしの仲間でもあった。みんなが死んでこの世のすべてが終わったと思った。
殺されたとしても、犯人たちも一緒に死んでしまったから誰を恨むことも出来ず、ただただ自分を責めた。そして一時期は仲間の死から逃げた彼を責めたこともあった。無駄なことだと分かっていたからそんなことはすぐに終わったが……。
そして、あちらの世界にいたあのころのあたしは失う悲しみはもう味わいたくなかったしあんな表面だけの仲間なんていらないから独りになった。
最初のうちは彼もよく話かけてきたが、最近になってから全然話かけて来なくなった。諦めたのだろう。でも、仲間だとは思っていてくれてるようで、時々あたしの家に来ていた。
玄関先で一言二言かわすだけだったが、死んだ仲間を思い出した。
思い出したくなかったから避けていたのに、彼はそんなあたしの気持ちを無視して話かけてきた。
「ユウラ?ユ~ウ~ラ?」
「ごめん。ちょっとぼぉーっとしてた。」
首を横に振り、今まで考えていたことを頭の隅に追いやった。
「ねぇユウラ。僕そろそろ自分の部屋で寝たいんですけど、駄目ですか?」
「そっか。それもそうだよねぇ。よく考えたら、あたし瞬間移動使えるしな。こっちにベルつなげればいいことか………。」
まだ、再会議までは時間があるから、その間ずっとあたしの部屋にいるのもちょっと……。
うん。コノルに頼んで今すぐベルを取り付けてもらおう。どうせなら電話のほうがいいか…。
「コノル。ジュノの部屋に僕の部屋につながる電話つけて。できるだけ早く。」
「今日中にできますが?」
「じゃ今すぐできる?」
「はい。頼んできますね。」
「ありがとう。」
コノルに頼んだ30分後、「できました」とすました顔で伝えてきた。
恐るべし神族の力……
ジュノは「すごいなぁ」なんて言いながらニコニコしている。
まぁ、魔法のほうがいろいろできるみたいだけど、慣れてない僕がやったら力が暴発してしまう可能性があるから前にジュノに止められた。
ジュノとの連絡手段が取れたので、僕の瞬間移動でジュノを部屋に戻した。
本当に似てるな。
いつも笑顔が絶えないとことか、時々無性に腹が立つ。
でも、そんなイライラを誰にぶつけることなくため込む。そしてそのせいでイライラに拍車がかかる。
悪循環だなんてとっくに知っているけど、こればかりはどうしようもないから仕方ない。
とりあえず今日は寝よう。
ベッドに入るとすぐに眠りにつけた。




