第15話 波乱の神族会議。
あれから数日がたつと、遠方からやってくる氏族長もそろったようで今日の朝からさっそく会議が行われた。
会議は和やかに行われているようだ。
「ねぇ、ユウラ。ここに来ているたくさんの人たちは、神族の人たちなんでしょう?」
確信を持った目でこちらに問いかける。
何だ、もうばれてしまっているのか。なら話は早い。あとからばれてどうこう言うよりかはだいぶましだ。
「そうだよ。だから、ジュノには会ってほしくない。もしあちらに魔族だとばれれば、面倒なことになる。」
「厄介払い…ですか……?」
「違う。厄介払いするならとっくに追い出している。」
即答した自分に驚きつつも冷静に今の状況を考え、次の行動を導き出す。
うん。いいこと思いついちゃった…。波乱の予感。いいじゃん。楽しそうだしさ。
そんなあたしの表情を見て、こっそりと逃げ出そうとするジュノをいつもの何倍もの速さで捕まえる。そして、強制連行!!
「放してください!!僕今放してもらえなかったら、死にそうな気がしますぅ~~~!!」
ハッハッハッ
今のあたしにそんなことを言って通じるわけもない。
「何言ってるんの。誰もあんたを殺しやしないって。いいから黙って連行される!!」
そんなことを言って連行されてくれるわけもないけど、「瞬間移動」と一言唱えるだけであっという間に、神族会議の行われている部屋へ。
皆驚いて声も出ないって感じの表情。
いいよね、こういう表情。あたし的には、もっと残酷さを知ったような、諦めたような、恐怖におののいてるような表情のほうが好きだけど……。
まあこの人たちにそんなことを求めても仕方ないわけで、この状況を楽しんでるあたしと困惑している神族たち、そして神族を睨むジュノとそれを見て嘆息するアリア。
面白くなりそう…。ますます、そう思ってしまう。
「ユウラ様、今は会議中なのですが…。」
「うん、知ってるよ。悪いけど、ちょっと邪魔するよ。」
ワクワクしながら言っているあたしを見て諦めたように苦笑した。
「おい!!今は会議中だぞ!!」
「だ、か、ら、わかってるって言ってるだろ。あたしは水鏡由来。アリアに勇者にされたんだよ。」
「勇者」の名を口にすると、その場の氏族長が唖然とする。
「それは本当か?アリア。」
「はい、お兄様。この人しかいないと思い、勢いでつい……。」
へー、あたしって「勢いでつい」勇者にされたのか…。なんか複雑~~。
……今アリア、不思議な言葉を口にしたよね?一人の氏族長に向かって「お兄様」って言ってたよね?!
「アリアに兄がいるの?」
「はい。後ほどご紹介します。」
「ユウラ、僕を連れてきておいて放っておくのはひどいと思うんですが、僕だけでしょうか?」
捨てられた子犬を思わせるようなうるんだ瞳であたしを見つめる。
あぁ~、ごめん。素で忘れてたわ。
ジュノの一言で、注目があたしからジュノに移る。
「あたしの隣にいるのは、ジュノ。先代魔王。今はあたしが魔王になったけど…。」
「え、ちょっと、ユウラ?!」
慌てているジュノをよそに、神族を見るとまたも唖然としている者、ジュノとあたしを敵視している者、あたしが魔王だと言ったことにたいし困惑している者、すべて受け入れ何か考えている者と様々だった。
「それで、言いたいことは何だ?今は会議中だと言ったはずだ。さっさと言いたいこと言って出て行ってくれ。」
アリアの兄が、鋭い視線を向けてそう言い放った。
こんなやつもいるのか。
「勇者」と聞いても素知らぬ顔で言えるやつがいることに驚きながら、言いたいことだけ言うことにした。
「言いたいことは2つ。1つは、魔族を敵視するなってこと。神族も魔族もいい力ってるんだから、協力してこの世界をもっとよくしていったほうがいいよ 。今後のためにも…。もう1つは、四種族でバラバラに過ごしてないで、まとまりをもつこと。この2つだけ。特に前者はしっかりと考えといて。それだけ。あ、あと、ここにいる間ジュノに何かしたら容赦しないからね?」
最後の言葉に怯えた者がほとんどだったが、神族長とアリアの兄だけはあたしに鋭い視線を浴びせた。
わかってくれそうな人が1人でもいたから、今日のところはいいとしよう。
ジュノが危ないから、当分はあたしの部屋にいてもらうとして……うーん、ちょっとやりすぎた?
どうせ起こることなら、まとめてのほうがいいからどっちでもいいか。
明日は何をしようかな?




