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【完結】ルカが幸せになる時〜銀髪の魔法使いは学園で恋と自分を知る〜  作者: 波音叶
二年生

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26/40

26. 陽の季・終(8月)25日②


セルジュと話したお陰で、気持ちがだいぶ軽くなった。


そろそろ部屋に戻る、という彼にお礼を言って廊下まで見送る。その背が遠ざかった後で、窓際の壁に掲示された紙が目に映った。寮父のモンドさんが貼ったのかな。


==============================

星夜祭開催のお知らせ

日時:彩の季・中の14日

会場:中央中庭


出店、出演希望の場合:

彩の季・始までに届け出てください

==============================


星夜祭……それは一夜限定で開かれる、夜のマーケット。学園の生徒やその関係者が集って楽しむ一大イベントだと聞いたことがある。


――これだ、と思った。


星夜祭を一緒に廻ろうと、レオンに言おう。ちゃんと謝ってそのうえで誘うのなら、これからも仲良くしたい気持ちが伝わるんじゃないかな。


そう考えたら先ほどまでとは打って変わって、早くレオンに会いたくなった。このチャンスを逃すまいと、部屋から出ずに彼の戻りを待つ。


しばらくして部屋の扉が開き、大して頭に入っていない本から顔を上げた。やっぱり視線は合わない。


ここはもう、勢いだ。「レオン」と名前を呼びながら、逃げないように手を伸ばした。


「あの、さ……!」


その腕を掴んでから、こうして触れるのは初めてだと気付く。けど、今更離せない。彼は振り払わなかった。


今ならきっと聞いてくれる。


「星夜祭、なんだけど……」


先に謝るべきなのに、緊張のせいか順番を間違えた。それでももう止められない。


「一緒に……行きたくて。」


言葉にした瞬間、その琥珀色の瞳が久しぶりに見つめてくる。望んでいたはずなのに、気恥ずかしさで今度はこちらが目を逸らしてしまった。


「えっと……その、この間はごめん。レオンにとって嫌なことを言ってしまって。」

「………。」

「負担を掛けたくなくて、空気を和らげたくて言ったんだ。でも……後悔してる。」


そこまで言って、ようやく彼の方を見た。


――待って。その顔は反則じゃない?


安心したように力を抜いた表情は、これまで見たことがないくらいに柔らかかった。鼓動がドクンと波打つ。


ゆっくりと唇を開いたレオンは、ひと言ずつ選ぶように言った。


「ルカ。避けてて、悪かった。お前のせいじゃない。」

「そんなこと……。」

「いや、そうなんだ。俺が勝手に……。」

 

そこで言葉を止める。


「……とにかく、もう気に病むな。歩み寄ってくれて、ありがとう。」

「……うん。」


一度紡ぎかけたその先が気になるも、それ以上に嬉しかった。セルジュの言う通りだ。素直に伝えられたら、絡まった糸はすっとほどけた。


「あと、星夜祭。」


そう続けた声は優しく、和らいだ目元から視線が外せない。レオンは照れたように笑った。


「俺も……誘おうと、思ってた。」


その瞬間、どうしようもなく胸がときめいてしまう――いやいや違うよ、お互いそんなつもりじゃないって。


彼は大切な友人で、そしてこれは仲直りだ。返事に不自然な間を空けてしまったけれど、なんとか取り繕った。


「そう、なんだね。よかった。じゃあ……よろしく。」

「ああ。……楽しみにしてる。」


その返しすら、やけに甘く届いてしまう。


ああだめだ、なんだか調子が狂ってるみたい。曖昧に笑い返してそっと距離を取った。


「お腹……空いたね。食堂行く?」

「そうするか。」


並んで食事に向かうのも久しぶりだ。離れていたのは10日程なのに、毎日のように一緒だったからかそう感じてしまう。


揃った自分たちを見て、テオとセルジュはどんな顔をするだろう。想像すると少しくすぐったくて笑みがこぼれた。


そして、星夜祭まではあとひと月半ほど。


楽しみなようでなんだか恥ずかしくもあり、でもやっぱり待ち遠しかった。

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