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ファイティングガール!  作者: Jack…
大学二年
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何もなかったけどね

うえーい、葵です。


結局、街コンのあと、二次会に行ったというだけで、特段何もありませんでした。


トシちゃんは良くも悪くも普通の独身男性。割と最近建て直した自宅、もちろん自分の土地、も、あれば普通に資産もあるけど、大金持ちってわけじゃない。


見た目も普通。30代後半の175cmくらいの男性、世間では小さいほう、って言われることは無いだろうけど、目立ってデカいってほどじゃない。


両親は健在で同居。これがこの街ではあまり結婚に有利に働かない。

理由は両親の介護ってのが嫁の肩に乗っかってくるから。


その理由は分かる分からないで言えば分かる。

なんで、クギは刺しといた。


           ・・・


トシちゃん、いちおー、言っておくけど。


「なんですか?葵さん」


あなたはアタシと付き合ったり結婚したりしたいの?


「えっ・・・それは・・・したい、ですが・・・」


まあ、酒はガブガブ飲むってのはバレたし、取り繕うのはヤメておくけど・・・


「最初から取り繕ってないと思いますけど」


そうかもね。でね?重要なことを一点言っておくと、


「はい。伺います」


結婚しても、今の仕事はヤメないことを前提にしてくれないと、あなたと付き合うことはできない。


「まあ、ウチは旧家でもなんでもないんで・・・特に問題ないと思いますよ。親も、もう引退しましたが、共働きのサラリーマンだったんで・・・」


それはよかった。でね、一応、今の会社で昇進・・・なのかな?・・・管理職にならないかって話をもらってるのよ。


「すごいですね。あの会社で管理職ですか・・・課長ですか、部長ですか?」


部長。で、ウチの部長はほぼ副社長なのよ。実質社長代理。

今の部長も執行役員だしね。

だから、凄く忙しいの。


「・・・そんなに上まで行けるんですか?女性でも・・・」


今の執行役員部長も女性だよ?しかも独身だよ?


「あ、今どきだと・・・失言ですね。すみません。訂正してお詫びします」


まあ、世間的にはまだまだそういう認識ってことは分かっているからいいよ。訂正してお詫びできるだけ、トシちゃんはちゃんとしてるってことだし。

なんで、ウチは基本、定時で仕事は終わるけど、ピーク時は多少の残業もある。

あと、部長になると接待もあるから、そういうときは自宅でご飯を食べられないこともある。少ないけどね、ゼロじゃない。


「まあ・・・それは普通っちゃ普通ですね。ウチも残業は毎月20時間くらいありますから」


うちは普段はゼロなの。でもね、9時から5時半までは滅茶苦茶に忙しい。


「まあ、あれだけ稼いでいる会社ならそうでしょうね」


仮に、子供を生んだとしても、部長として復帰したら、子供が熱を出しても迎えに行けない可能性すらある。


「ああ、確かに・・・」


トシちゃんの会社では男性の育児休暇ってある?


「ありますけど・・・制度としては・・・実際に取ってる男性社員は、ウチの支社では見たことないですね」


まあ、そんなもんだよね。


「すみません」


トシちゃんがあやまることじゃないよ。適用一号になってみる?


「なるのは・・・挑戦してみてもいいですが・・・」


上司が認めるかどうかが不明って感じかな?


「はい・・・」


そんなの嫁にまかせときゃいいじゃんって言うタイプ?


「そうですね。そっち寄り・・・いや、ほぼそのタイプだと思います」


まあ、いざとなったら子連れ出社でもいいかもね。


「は?・・・できるんですか?そんなこと」


子連れ出社はこれを禁止するって規則はないからね。


「普通はないですよ・・・」


社長の娘はみんなで育てたんだから、前例もあるんだよ。


「ああ、あの子はそうだったんですね」


暴力ばかりが噂になってるけど、頭の良さは異常すぎるほどだよ?


「その噂も聞いてはいますが・・・あまりにも眉唾ものばかりで・・・さては理系男女がよってたかって教え込んだってわけですか?」


いやーーーー、アタシがインターンで卒業直前で面接したとき、小五だったと思うけど・・・修士論文の内容をフランス語で議論したときにさ、アタシより論文の内容を理解していたから・・・少なくともアタシは教え込んでないね。

少なくともその当時で語学では100%負けてたね。


「・・・冗談ですよね?」


まったく冗談じゃない。小五の時点で四卒どころか、そのヘンの修士卒より頭が良かった。


「・・・すると中央高の伝説の偉業は本当なんでしょうか・・・」


どんなテストでも満点しか取ったことない、なら、多分事実だね。


「伝説中の伝説、地獄の新歓テスト満点もでしょうか・・・あれ、見ても『オレには解けないってことだけは分かる』テストだそうですが・・・見たことあります?」


見せてもらったよ。コレを高一からやらせるってのはずいぶんと吹っ飛んだ高校だなって思ったのは覚えてる。あまりにも突き抜けすぎてて、ヘラヘラ笑うしかなかったなーー。


「本当にそういうレベルなんですね・・・ちなみになんか適当な比喩はあります?」


比喩?ああ、どの程度難しいかって意味?

うーーーん・・・数学の問題で、これは数学科以外の理系大学生、いや大学院生でも解けないよな?ってのは普通にあったね。あ、全問じゃないよ?全体から見たら一割くらい。それよりともかく量がハンパなく多い!!


「学力ピーク時の葵さんなら・・・例えば理数系のそのテストで100点とか取れそうでした?」


絶っっっっっっっ対、ムリ!!!!

アタシも数学科じゃないし!!

もし、問題が理解できたとしても、120分じゃ書き切れない!!

その一問だけで60分とか欲しいレベル!!

他の問題だって・・・高校レベルにしろ四卒レベルにしろ難易度が高いんだよ・・・


「僕もそんなに成績が良かったほうじゃないですが・・・走るのはそこそこ速かったですけどね・・・」


じゃあ、この街というか県じゃサッカー部?


「まじめなサッカー部員じゃなかったけどそうでした。まあ、だから当時は走れましたよ?」


そうね。そしたら比喩としては

『校内マラソン大会5kmって聞いてたから楽勝だろうと思って参加したら、素手で命綱無しで50mくらいの壁をロッククライミングしないと完走どころか折り返し地点まで行けないコースだった』

くらいでどうかな?


「なんですかそれは・・・まあ、途轍も無いレベルの高さってことは伝わってきますが・・・それより帰りに降りるところで死にそうなコースですね・・・」


そこでリアリティを感じるトシちゃんも素敵よ?

まあ、アタシとお付き合いすることを考えるんなら、アタシの仕事に関する考え方を尊重してくれるんじゃなきゃイヤよ?


「それは・・・婉曲な、お断りの言葉ってことじゃなくて、普通に、そのままに取っていいんですね?」


だって、一回飲みに来ただけじゃん。お断りもなにも判断できないよ?


「そうですが・・・次回もアリって期待はしていいんですか?」


してもいいけど・・・トシちゃんも並んでたじゃん。連絡先交換はしたから何件お誘いが来るかはまったく分かんないよ?


「そうでした!・・・失念してましたね・・・ライバルは多いですが、一歩出し抜けたということで今日は満足しておきます!」


           ・・・


みたいな感じで、こっちの、会社の地元に友人一号ができてしまったわけ。


「葵・・・そんなことしてたんだ・・・」


部長が言ったんだよ?


「まあ・・・言ったけど・・・そんなすぐにやるとは」


まだヤってない。


「そっちの意味じゃない!!」


まあ、でも、この会社の人、あまり地元経済への貢献が無くない?


「いや、そうでもないぞ?食材費だけでも月間で相当な額だろう?」


あー、居酒屋とか、服屋とか、そっちの話。


「うーん・・・まあ、居酒屋は行かないなぁ・・・寮の食堂が・・・夜はほぼ居酒屋だからな・・・。リルさんには感謝しかないが」


あれねーー。どうやってやってんだろって思うほどの神技だよね。


「寮費は高いけど・・・実質寮費以外の支出ゼロに出来ないことも無いからな」


服屋は、まあ、アタシだとファストファッションだとギリあることもあるけど選択肢はほぼ無い・・・リルさん以外は基本買うもんないからな・・・


「結果、行商の人が寮に来るっていう、いつの時代だよ的なことになってるからなぁ・・・」


まあ、合理的だよね。一応、あれは地元の業者さんなの?


「うん。この市じゃない業者もいるけど、この県なら間違いなく。それよりな、葵・・・」


なぁに?


「お前、通いで仕事できるのか? アタシもそうだけど・・・社会人生活=寮生活だろ? 掃除は当番で回ってくるからできるだろうし、料理もカンタンなものなら作れるのは見てるけど、お前、ツマミばっかり作ってるじゃん。家庭料理とかできんのか?」


それなーー・・・ちょっと自信ない・・・。


「だよなぁ・・・ここだと通勤手段が車しかないから、仕事あがってすぐ、一杯、ってのもできなくなるぞ?」


ああーー、そうなるねぇーー


「お前はちょっと多いほうだから減らすのは賛成だが・・・向こうの両親と同居となると飲んだくれているわけにもいかないだろう?」


それは一応考えた。まあ、いい機会だと思って減らせばいいかなって。


「そうか。まあ、でも、そんな一人目で上手く行くとも思えないし・・・例の件はそんなにスグ返事しなくてもいいよ」


わかりました。部長。


「素直だな?」


アタシだって、一人目からどうこうなろうなんて思ってないよ。

それに、連絡先交換したのに、トシちゃん以外からメッセ来てない時点で、アタシって需要ねーなーって失望しているところだもん。


「まあ・・・世間的にはデカすぎ女子だしな・・・あとは・・・当日、ゴージャス方面に振りすぎだったんじゃないか?」


他にやりようがないっしょ!!

この背格好で地味側に振ってもしょーがないし、露出度高めだって慣れすぎてるし!!

一応、メッセ交換の待ち行列くらいはできたんすよ?!!


「デカ女降臨記念ってやつかな?」


アタシら、夜の市街地に降りることないっすからね!!

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