第一六節 家族
とりあえずここで一旦ここでの公開は終わりです。
直す前のプロトタイプと言える形式での掲載なので粗がありますが、直しを加えてkindleにて出版しております。
値段もかなり安く設定しております。
ここから先、直した後の作品はkindleにてご覧いただけますと幸いです。
タニアの上半身が地面に落ち、下半身から吹き出し撒き散らされた血が雨のように私に降りかかり、下半身がゆっくりと倒れる。
男は、さらに剣を振り上げた。
そして、それをタニアの上半身に振り下ろそうとする。
私は、その間に飛び込んだ。
タニアの上半身を抱きかかえ、きつく目を閉じる。
私はゆっくりと瞼を上げる。
長い時間がたったように思えた。
しかし、一瞬だったような気もする。
私がゆっくりと振り向くと、目の前に刃は迫っていた。
刃越しに見る男の表情は影になって窺うことはできない
「邪魔を…するな」
男は、聞くだけで身震いするような声で言った。
「彼女は…タニアは、私の家族よっ!」
私は叫んだ。
「違う…そいつはもう人間じゃぁねぇ」
男の目に赤い光が灯る。
「人間でなくても…タニアはタニアよっ」
私の言葉に、男は何かしらの感情の揺らぎを見せる。
しかし、やはりその表情は見ることができない。
「どけぇっ!」
男が叫ぶ
「どかないっ」
私は負けじと叫び返す。
「ゴフ…ゴホッ」
そのとき、タニアが咳き込む
「タニア!」
私は、タニアの顔を覗き込む。
タニアは口から大量の黒い液体を吐き出していた。
「ケ…イト」
「タニア、喋っちゃダメ!」
何かを話そうとするタニアを私は止めるが、タニアは話すのを止めなかった。
「ケイト…ごめん…ね」
タニアはそういうと、黒い霧になり、ゆっくりと空気に溶け消えていく。
私にかかったタニアの血も黒い霧となって立ちのぼる。
私は黒い霧が消えるまで何も言わず、地面に両膝をついて佇んでいた。
男も剣を肩に担ぎ、その様を見ている。
私は両手をじっと見る、さっきまでタニアを抱きかかえていた両手を。
その上に私の頬を伝って雫が落ちる。
「どうして…どうしてこんなことに…」
私は手を握り締めた。
あまりにも理不尽で、あまりにも理解を超えていた。
そして、あまりにも残酷すぎた。
「現実ってのはそんなもんだ、いつも突然に奪っていって俺達を嘲笑う」
私は男を睨み付ける。
「タニア…だっけか?、そいつは現実に負けたんだよ、死に背を向け、生からも逃げた…化け物に成り下がった負け犬だ」
私はカッと頭に血が上った
パァン
そして、気付いたときには立ち上がって男を平手で叩いていた
「あなたは…最低よ」
私は涙で滲む視界で男を睨み据えた。
手が痺れるように痛むが、そんなことはどうでもいい、私は言葉を吐き出す。
「あなたは、何で人を簡単に殺せるの!?、しかもあんな残酷に、楽しむようにっ!!」
私は叫んでいた。
凄まじい怒りで心が支配されていくのを感じた、だが止められない。
生まれてはじめて抱いた感情だった。
この男を殺してやりたい、タニアを殺したこの男を。
「敵を殺すのに、躊躇だの何だのなんざ必要ねぇだろ、ただぶち殺す…敵という言葉の意味ってのはそれだけのもんだ」
男は、まったく悪びれた風もなく言う。
口の片端を上げ、笑みすら浮かべている。
「あなたに…あなたに私達人間の気持ちは分からないっ、化け物はあなたよっ!」
パァン
私は男に言葉を投げつけ、もう一度男の頬を叩いた。




