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俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。  作者: 閃幽零×祝百万部
第二章 名字が……田中になる!

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20話 全部間違った。


 20話 全部間違った。


「う、そ、じゃ」


「……えぇ」


「どうやら、ぬしはまだ子供のようじゃのう……十代中盤といったところか? その若さで、それだけの力を得ておるとは、なんと末恐ろしい。もしかしたら、将来的に、ちんを殺せる男に成長するやもしれん。ああ、こわや、こわや」


「……ぜ、絶対の忠誠を――」


 俺は、藁にもすがる思いで、そう口にしかけた。

 けれど、


「信じぬよ。朕は愚者ではない。将来的な不安分子をわざわざ生かしておく道理はない。ここで確実に殺す。それ以外の道はありえぬ」


 迷いも容赦もない、あまりにも淡々とした死刑宣告。


「……筋が通ってるぜぇ……なんの文句も言えねぇ……」


 俺は、乾いた笑いをこぼすしかなかった。


 こうなってくると、もはや、初手で田中玉を撃ったのが、最大の悪手ともいえる。

 もし、俺が最初から、へこへこと媚びへつらって、雑魚のフリをしていたら……ゾーコも俺を配下……は難しいかもしれないが、『奴隷ぐらい』にと考えたかもしれない。


 最悪すぎる……

 全部、間違った……


「朕の提案を即座に受け入れたことから……ぬしの力は、すでに限界に達しているという予測がつく。あれだけの力じゃ。一発が限度と考えるのが自然。しかし、油断は禁物。二発撃てる可能性を考慮し、配下の提案をさせてもらったが……実に見事に引っ掛かってくれたのう」


「マジで、今回の俺は全部間違ったな……そんだけ強いのに、賢くて慎重って……無敵かよ……」


「そうでもなければ、1000を超える世界を束ねることなどできまいて。朕は事実として、多くの世界を支配下に置きし絶対の君主。全世界を見渡しても、朕以上の存在はどこにもおらぬ」


「でしょうね……会って数分ですけど……俺も、そんな気がします」


 もはや、強がる気力すら、湧いてこない。


い奴じゃ。できれば、配下にしたいところじゃが……先ほどの力は危険すぎる。アレはさすがに看過できん」


「はぁ……」


 俺は思わず天を仰いでため息をつく。

 これ、マジで、田中玉使わなければ、配下ルートあったんじゃねぇか?


 もう……

 もぉおお……


「さて、それでは、そろそろ征服を開始しようか。一瞬で終わらせるのはさすがに酷じゃな……ボンド、少し遊んであげなさい」


 ゾーコの言葉に、あの、隣に控えていた執事然とした男が、深々と一礼した。


「承知いたしました。この世で最も麗しき、ゾーコ陛下の勅命を賜りましたこと、心より光栄にございます」


 火の玉に麗しさもくそもないような……

 などと、つい、現実逃避から、どうでもいいことを考えてしまう。

 こんな状況で、そんなことを考えている場合じゃないのは、分かっているんだけど。


 命令を受けたボンドは、袖口を整えるような、

 やけに丁寧な仕草をしてから、ゆっくりとこちらに歩いてくる。


 黒い燕尾服に、艶やかな革靴。

 物腰だけは、どこまでも紳士的だった。


 レベル2万か……

 まあ、こっちにいるメンツの実力は、アダムの7000が一番上に見えるから、

 あいつだけでも勝てるとふんだんだろうなぁ……


 俺は、深呼吸を一つしてから、アダムに視線を向けた。


「昨日の作戦とは異なるが……あいつをぶっとばしてきてくれ。ただし殺すな。殺したら交渉できない」


「……承知しました」


 アダムは、迷いのない返事とともに、静かに一歩前へ出る。


 俺の命令を聞いていたボンドが、鼻で笑い、


「殺すな? たかがレベル7000程度のゴミに、この私が殺されるわけがなかろう」


 正直、こんな金魚のフンはどうだっていいんだ……


 問題なのはゾーコの方……

 俺は死んでいい……


 ゾーコにとって、危険なのは俺だけだ。

 アダムたちは有能な人材とみなされる可能性が高い。


 アダムたちの有能性を示し、俺が首をさしだせば……世界自体は救えるかもしれない……


 脳裏に、そんな計算が、勝手に組み上がっていく。



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― 新着の感想 ―
マジで今回の俺は全部間違ったなと頭を抱える姿が、 なんともリアルで切ないです。
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