93話 ご乱心
93話 ご乱心
「落ち着かれてください悠木さん。俺の口が勝手に思ってもない事を言いやがって。くそ~こいつめ、後から締めときますわ」
ぷくぷく顔の悠木をなだめる。でも流石に突っ込まずにはいられなかった。
小さい頃は自認か弱い系乙女でした、は流石に無理がある。良いように言ってお転婆娘だ‥‥‥。
いや、ガキ大将の間違いやろがー、って言いたい気持ちをぐっと胸にしまう。人間とは日々成長する生き物なのだ。
「‥‥‥また変な事言って誤魔化そうとしてるじゃん。ひど過ぎないかな?、こんなに可愛い女の子に向かってさ」
完全にご乱心の様だ。口は災いの元ってこの事を言うんだろうな本当に。ことわざを作った人って、凄いな‥‥‥。
きっと俺の様に同じミスを繰り返した人が作ったんだろうな、ことわざって。
「圭太ってさ、水瀬さんと一緒にいるから分かんないかもしれないけど、私って結構モテるんだよ?」
うん、知ってる。俺が悠木と仲が良いという事で何度仲介を頼まれた事か。
‥‥‥めんどうで全部断ったけど。
それでも、悠木に告白して撃沈したっていう生徒は結構いた。そしてそれに少し安心している自分もいた。‥‥‥俺の独占欲が強い訳じゃ無いからね?
「そんな私に好きって言われてる圭太は幸せ者だね‥‥‥へへ」
可愛い‥‥‥。おっと、思わず好き~って言いそうになってしまった。悠木のこの表情でなにも感じない奴の方がおかしい。
「へへ‥‥‥」
「ニヤニヤしててキモイよ圭太」
「えっ‥‥‥」
急にキモイと言われて、自分がにやけていた事に気が付く。自分が恐ろしい。
「そんな褒めた後に落とすなよ。激甘のパンケーキ食べてたら、急に日本刀で刺されたみたいなダメージの食らい方しただろ。グエッーって感じだよ」
こんな可愛い女の子から食らうキモイはまるで刃物のようだった。それも業物級だ。
俺じゃなきゃ心の中で深いトラウマを残す事になっていただろう。生憎学校中から誹謗中傷をされてきたので慣れている。
「その例えは良く分かんないから、一回黙ってもらっていいかな」
「はい、黙ります」
「許してあげないことも無いけどね、条件付きでね」
「ありがとう。それで、なんでしょうか条件ってのは」
許してくれる気になったみたいだ。俺のごますり(逆効果)が効いたのか。
「‥‥‥え~っとね」
「なんだよ悠木。そんな勿体ぶらずに言ってくれよ。俺は今悠木になんでもしてあげたい気分なんだ」
今の俺は体が奉仕の精神で出来ているといっても過言ではないだろう。体は奉仕で出来ている。
「なんでもしてくれるの?」
「ああ、そうだ。どんと来い」
どんなお願いだろうと叶えて見せよう。パンツ一丁で街を走れと言われたら、遺言書を妹に渡してからならやってやるつもりだ。
そして、もじもじしながら悠木は言った。
「圭太から私にちゅーしてよ」
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