89話 有名人
89話 有名人
「なに食べる?、やっぱり焼きゲソかな、それともきゅうりの一本漬け?」
「なんでそんな候補が全部おじさんみたいなんだよ。晩酌でもするのかよ」
「はあ~?、なに言ってるの、ぴちぴちの女子高生なんですけど」
ぴちぴちの女子高生はきゅうりの一本漬けは食わんだろ、偏見だけど。
「あ、悠木ちゃんじゃん。なにしてるの~って‥‥‥そういうことね」
突然悠木が話しかけられた。どうやら悠木の友達が居たようだ。俺の事を見るとなにかに納得した様子だった。絶対変な事を考えている事だけは分かる。
「おー来てたんだ。今日は‥‥‥」
「牧野圭太君だよね」
「ああ、そうです」
「牧野君有名人だからすぐ分かったよ~」
有名人ってなんですかね。勝手に人の事を有名にするのやめてください。
「この子はバスケ部の同級生だよ」
「そうなんだ」
友達同士の会話の邪魔をするのは良くないから、ここはどいておこう。
「俺あっちでりんご飴買ってくるから話してなよ」
「分かった。気を付けてね」
気を付けてって高校生だぞ。まあいいか。
「りんご飴ってかわいいね牧野君」
「いやいやそれほどでもないです」
「圭太、今のは褒めてないからね?」
「悠木ちゃん嫉妬しないでよ~」
「ち、違うからね」
照れてる悠木可愛い‥‥‥って危ない。
「分かってるって。じゃあ行ってくるわ」
「いってらっしゃ~い牧野君」
そして俺は一人りんご飴を買いに行った。
‥‥‥りんご飴って可愛いのか。
◇◇◆◇◇
りんご飴二つも買っちゃった。
悠木にあげよう。りんご飴って可愛いから。
「んーいないぞ」
これじゃあ、りんご飴を二つも持った変人になってしまう。りんご飴を二つも食べるやつなんて見たことない。可愛いが渋滞している。
さっきいた場所に悠木が居なくなっていた。迷子なのかな、まったく困った奴だな~。
‥‥‥そろそろ出てきてくれないかな。
「おっ‥‥‥」
人混みの中に悠木の後ろ姿を見つけた‥‥‥のはいいんだけど変な男二人組に絡まれていた。完全にヤリラフィーの二人組だ。
「朝日奈さん今日一人なの?」
「違いますけど」
悠木の話し方的に先輩っぽいな。仲の良い先輩なのかな、それだったら邪魔したら悪いか?
‥‥‥ヤンキーが怖いなんてことは無いからね。
「朝日奈さん可愛いって2、3年の間でも有名だよ」
「そうですか‥‥‥」
清楚お嬢さまの水瀬さんに、スポーツ美女の朝日奈さんで1年二大巨頭なんて呼ばれてるって聞いたことがある。誰だよそんな対立構造を演出してる奴は。
「今日は彼氏と来てるの?」
「彼氏は居ないです」
「え、じゃあさ一緒に花火見ようよ」
黙って見てたけど、これはナンパですね完全に。
「一緒に来てる人がいるので遠慮しておきますね」
「今ちょうど居ないんだよね?、もう花火始まっちゃうからさ、一緒に見よう」
その先輩はそう言うと、悠木の手を触ろうとした‥‥‥。
「あの、悠木は俺と来てますからすみません」
「えっ、圭太!」
気が付くと俺は、咄嗟に間に割って入っていた。
‥‥‥やば。
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