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83話 まあ、そうことだよ

83話 まあ、そうことだよ


「えっ‥‥‥」


何が起きてるんだ。混乱する俺を余所目に悠木はなんか照れてるし。


‥‥‥訳が分からない。


しかも口にだ。海外の挨拶みたいに頬っぺにチューなんてもんじゃない。頬っぺたにされても流石にびっくりするんだけど。


俺はフランス人じゃないからな。


「まあ、そうことだよ」


「‥‥‥どうことだよ」


物凄く顔の赤い悠木が何かを俺に伝えようとしている。


麗奈にもルリさんにも言われたし、普通の人よりも俺は鈍感なんだろう。


でも、流石に悠木が俺に伝えたいことは分かった。


「私ね‥‥‥、圭太の事好きなんだ」


そう言うと顔を隠す悠木。顔もさっきより赤く染まっている。夕焼けに照らされているからか、なおさら赤く見えてしまう。


「‥‥‥そうなのか」


「急に言われても困るよね。私もこの気持ちを伝えるか迷ってたの」


困ることなんて‥‥‥。


「私ね、最初は水瀬さんから圭太を守ろうと思ってたの。それで色々圭太に絡みに行ったりして」


「そうだったのか?」


水瀬さんと悠木ってやっぱり仲良くは無かったんだな。水瀬さんも明らかに好戦的だったし。


「うん。私も圭太の事が好きって素直には思ってなかったの。でもね、私の知り合いっていうか、敵でもあり、友達でもあるのかな」


なんだそれ、どっちなんだよ。というか、俺もさっきの事で頭がいっぱいで悠木の話を聞くことで精一杯だ。


「その人がね、自分の気持ちに嘘を付くのは勝手だけど、圭太を困らせないでって」


そんな事言うやつがいたのか悠木に。


「‥‥‥ちなみに全然困ってはないからな。怪我したのは俺が勝手にしたことだしさ」


「でもそれが嬉しかったの。圭太が私を命を張って守ってくれたんだって。だけど、私のせいで圭太が怪我したって考えたら‥‥‥」


「まあ、無事退院も出来たしさ、さっきも言ったけど気にするなって」


「ほんとにありがとう」


「‥‥‥おう。どういたしまして」


やっぱり改めて言われると小恥ずかしいな。悠木の顔も真っ赤だし、多分俺も‥‥‥。


「でさ、私どうすればいいのか分からなくなってた時にさっきの事を言われたの。最初は‥‥‥あなたには言われたくないけどねって思ったんだけどさ」


悠木が笑いながらそう言った。


‥‥‥悠木はその人の事が嫌いなのか?、そんなアドバイスまでしてくれたのに、不思議だな。


というか、そいつは俺と水瀬さんの関係の事を知ってるってことじゃ‥‥‥。


「それって誰なんだ?、うちの学校のやつか?」


「んー‥‥‥、それは内緒。乙女の秘密ってやつかな」


「気になるな‥‥‥」


「そんなこと気にしないで」


「そんなことって‥‥‥」


俺がその相手が誰かを考えようとしたその時、また悠木がこちらに近づいた。


「‥‥‥」


俺はまたも不意を突かれた。そして恥ずかしさのあまり声も出なかった。


「今は私だけを見てよ。ほんとに好きなんだよ?、圭太の事」


「‥‥‥嬉しいよ」


ここまで言われて嬉しくない男なんていない。幼馴染だったとしても、悠木は誰から見てもすごく美人だ。


「今は返事要らないから。私負けず嫌いだし、まだまだこれからでしょ」


それは誰よりも俺が良く知ってる。昔はよく悠木が勝つまでゲームとか終わらせてくれなかったりしたし。


「水瀬さんには負けないから」


そう俺に伝えてくる悠木の顔は昔から良く知っている表情だった。負けたくないって悠木が真剣に思っている時の表情だ。


昔から変わらないんだよな、こんなに美人な高校生になっても。

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 「この後どうなるのっ‥‥‥?」


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