皇女とオリジン④
昼休憩をとってから三時間くらいだろうか?
日が傾きつつある中、こちらを囲うように森の中を移動する集団がいることに気がついた。
『主よ』
「ああ。ま、今回は騎士達の働きを見ようじゃないか」
「自信満々だったしね」
騎士達の中にも気が付いている者がいるようで、小声で他の人たちに教えていた。
集団、おそらく盗賊。彼らもこちらが騎士だとわかっているので、中々手を出してこない。
『上空より偵察して参りました。この先にある渓谷付近に人間23人確認』
「ありがとう」
『いえいえ、強者である主様のご命令はご褒──絶対なので喜んでやらせたいただきます!』
ちょっとした命令でもご褒美なのかー。そうかー。
「カプリス。ちょっと敵さんのレベル見てきて」
「あいさー」
スッと消えるカプリス。
彼女はアナライズが使えるので、相手のステータスを見る事が出来る。
それに、彼女は隠密も出来るスキル構成なので斥候としても中々凄い子だ。
しばらく待っていると、カプリスが帰って来た。
「おかえり」
「ただまー。レベルだけど1600平均だったよー」
「お、意外と強い」
「ね。でも騎士さん達は2000平均だしもーまんたいでしょ」
「ああ」
オリジン対策に呼ばれた勇者君たちより強い騎士達。勇者を呼んだ意味よ。
まぁ、勇者補整かなんかが掛かってることを祈っておこう。彼らのレベルだと盗賊にすら即殺される。
そうこうしている内に渓谷付近までやって来ていた。
横に追随してきていた集団は後ろへと下がっていた。挟み撃ちする気満々である。
先頭が森を抜けたところで足が止まる。
どうやら先頭が現れた野生の盗賊に足止めを食らったみたいだ。
俺達の足が止まった事で、後ろに待機してい盗賊達が森から出てくる。
前門の盗賊、後門の盗賊。
よく騎士を狙う気になりましたねー。
あー・・・いや、アルフがいるからか。王族を人質にして身代金とか? それにアルフは美人だから捕まったら・・・まぁ、うん。
王族の価値は計り知れんからな。色んな形で金儲けが出来る訳ですし。
さて、騎士さん達、出番ですよー。
騎士達は、俺達の前へ出ると守りの体勢に入る。戦法としては、あくまで守りに徹する感じかな。騎士達は防御高いし。
襲いかかる盗賊の攻撃を盾で弾き、持ち上がってがら空きとなる胴体へと剣を滑り込ませる。
また、連撃が得意なシーカーの盗賊に対しては、連撃中にシールドバッシュでぶっ飛ばして、そこにチャージして止めを刺す。
混戦の中、後ろで詠唱してい魔術師の攻撃が飛来する。それを前線の騎士が盾と盾スキルで防御し、後ろで待機していたランス持ちの騎士達が投擲して魔術師を射抜く。
いや、投擲スキルが高いからって安易に武器を投げるなよ。
魔術師を失ってからは早かった。騎士達が攻めに転じて一気に制圧。指揮がないのにこの統制。よく訓練されているようだ。
「うち達には出来ない戦い方だね」
「俺らのギルドは統制も糞もないからな」
それぞれ単騎特攻からの内側から外側から大暴れが基本戦術ですし。
ステータスでのゴリ押しは基本ですよ。当たり前じゃないですかやだー。
「各々好き勝手暴れるからフレンドリーファイアーとか日常茶飯事だったもんね」
「皆火力バカばっかだから当たれば致命傷で笑えんかった」
「回復役が居ないからマスターが戦場駆け回って回復してたのは笑った」
「俺が一番の火力なのにな」
GVGの時は、最終的にイラッとして自滅してくギルメン達ごと大規模魔術でぶっ飛ばしたのはいい思い出。
俺以外のプレイヤー全滅したからな。
「っとと、危ねー」
ボケーっと話してたら、アルフのいる馬車に向けて矢が飛んできたのですぐさま移動しキャッチする。
「うわ、爆裂矢じゃねーか!」
着弾数秒後に爆発する矢だったので、急いで投げ返す。
森の中からは爆裂音と共に「がああぁッ!!」と言う悲鳴が上がったので仕留められただろう。
「さっすがマスター! 反応速度も異常だねっ!」
「お前も動けたろうに」
「マスターが動いたからいいかなってねー」
「・・・はぁ」
極力動きたくはないんだがな。
『主よ。森の中にいた残党を連れてきた』
『私もです』
ギルターはくわえて、フィズリールは足で掴んで計四人の盗賊を持ってきた。息は無し。
先頭の方も終わったようで、戦闘音がしなくなった。
騎士達は馬車の周りに集まり、アルフに報告していた。
「・・・火葬の用意を」
「御意」
アルフの命令に騎士達はすぐに動きだした。
魔法陣を描き、その上に盗賊の死体を乗せ、魔術を起動させる。
業火は盗賊達を灰へと変えていく。その光景にアルフは手を顔の前で組み祈りを捧げていた。
俺達も手を合わせて祈っておこう。
盗賊とは言え、俺達と同じ人間だからな。
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