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依頼の完遂と次の目的

 フィズリールのお陰で、時間をかけずに王都へと帰ることができた。


「ありがとうフィズ。出来るなら小さくなってくれ」


 フィズリールから降りてそうお願いする。


『わかりました』


 通常なら真面目なフィズは、俺の願いに頷き小さくなると、ギルターの背にとまった。


『なぜ、俺の背に乗るのだ』

『常時飛んでいるのって疲れるのですよ。なので、地上での移動時はここを使わせていただきますね』

『ならば主の肩でいいじゃないか』

『主は上の存在。そのような方の上に乗るだなんてとんでもない』

『・・・そうか。勝手にしろ』


 納得したのか、諦めたのかはわからないがそれ以上は何も言わなくなったギルター。

 そんな彼らを横目に、まっすぐ城へと向かう。

 途中でカプリスに二匹を任せて一人で向かうことにした。


「頼んだぞ」

「ういうい」

「これで適当に食っとけ」


 三万シルバーが入った袋をカプリスに投げ渡す。


「さすがマスターっ! ギルちゃんフィズちゃんご飯食べよー」

『俺、飯、食う』

『久々に鶏肉食べたいですね』

「『えっ』」


 フィズリールの衝撃的な発言を背にその場を去った。

 鳥が鳥をね。

 まぁ、猛禽類とかはそうだし、割りと普通か。うん。


 門まで来ると、兵士の二人がお互い持っている槍を交差させ門を封鎖する。


「城に何か用がおありで?」


 二人のうち一人がそう問いかけてくる。


「陛下の依頼で来た。冒険者のノアが来たと伝えてくれ」

「少々お待ちを」


 そう言い、彼は後ろへ下がり、彼の代わりに控え室から一人出てきた。

 しばらく待っていると、控え室へ入ったいった最初の兵士が戻ってきて、他二人の兵士に槍を下ろせと命令した。


「確認が取れました、どうぞ中へ。扉の所に執事がいるので、その人に従ってください」

「わかった」


 頷いて門を潜り、真っ直ぐ道なりに進んだところにある扉まで歩いた。

 扉まで来ると、説明された通り燕尾服を身に纏う初老の男性が立っていた。

 彼に近づくと、胸に手をあてお辞儀をして来た。


「ようこそノア様。陛下よりお話は伺っております。早速ですが、陛下の私室にご案内いたします」

「わかりました」


 王の私室に直接かー。

 マジかよ。


 執事さんに付いていくこと五分。

 この城、広すぎだべ。と思っていたのだが、どうも違うらしい。

 UIからマップを表示させたところ、どうやら同じ道をグルグルと回っているみたいだ。

 何周かしたところで、ようやく違う通路へ進んだ。

 侵入者防止の為に、魔術か何かが掛かってたのだろうか?

 と、そんなことを考えていると、両開きの扉の前にたどり着いた。

 執事さんはノックをして声をかける。


「陛下、ノア様をお連れしました」

「ご苦労、通せ」

「失礼します。どうぞノア様」

「ありがとうございます」

「では、失礼します」


 執事さんはお辞儀をすると、扉を閉めた。

 おれは、ソファーで寛ぐ王の前まで行き跪こうとしたが、王に止められてしまう。


「ここは私の私室だ。堅苦しいのは無しでいい」

「わかりました」

「座ってくれ」

「失礼します」


 席を勧められたので、王と向かい合うようにソファーへ座る。


「私に会いに来たと言うことは依頼の件だな」

「はい。陛下の依頼、スカイフラワーを入手して参りました」

「些か早い気もするが、侵攻時の活躍ぶりからすると納得はできる・・・か。見せてもらえるか?」

「ええ、こちらです」


 アイテムボックスよりスカイフラワーを取り出す。


「確かにスカイフラワーだ。ありがたい。モーガン」

「失礼します。お呼びでしょうか?」


 王が呼ぶと、先程の執事さんが中に入ってきた。

 扉の前で待機していたのか。


「薬剤師にこれを」

「かしこまりました」


 モーガンさんはお辞儀をして、スカイフラワーを受けとり部屋をあとにした。

 フルポーションを作れる薬剤師もいるとは、さすが王宮だな。


「さて、あとはフルポーションが出来上がるのを待つだけだ。ノア、本当にありがとう。感謝してもしきれんよ」

「頭をあげてください。一介の冒険者に王が頭を下げるものではないですよ」

「この場で頭を下げないのは王以前に人としてダメだ。この借りは必ず返そう」

「そうですか」


 しっかりとした王様だな。


「そう言えばノア。お前には登城許可証を与えていただろう。なぜ使わなかった」

「・・・失念しておりました」

「はっは! そうか、失念していたか!」


 豪快に笑う王。

 一番の心配事であった王妃が治るのだ、幾分か気が楽になっているのだろうな。

 そこから薬剤師がフルポーションを持ってくるまでの間、王と話し込むことになった。この王、良く喋ること喋ること。

 王の私室から寝室へと移り、床に伏せている王妃の側に寄る。

 苦悶の表情を浮かべる王妃であったが、王が手を握るとその表情も少し和らぐ。


「クリスティー。薬だ」


 王妃の名はクリスティーか。

 王は王妃を抱き起こし、薬剤師からフルポーションを受けとり、王妃の口へと付ける。

 少しずつ飲ませていくと、辛そうであったその表情は穏やかなものとなり、顔色も良くなっていた。

 さすがフルポーション。良く効くねー。

 まだ目が覚めない彼女だが、全て飲んだのでもう大丈夫だろう。

 王は顔色の良くなった王妃を見てホッと一息吐き、再び彼女を寝かせた。

 起こさないよう、静かに部屋を後にしようとしたところで、後ろで動く気配がしたので振り返る。

 そこには目を覚ました王妃が体を起こしていた。


「クリスティーっ・・・!」


 王は起き上がった彼女を見て一目散に駆け出す。

 王妃の横まで行き、彼女を抱き寄せる彼の瞳には涙。

 俺とモーガンさんと薬剤師は、静かにその場を去る。俺は王の私室へと通され、王が戻ってくるのを待つことにした。

 待つこと三十分くらいして王は来た。

 目を赤くした王だったが何も言うまい。


「妃殿下のご様子は・・・?」

「ああ、まだ体力面がな。回復したばかりなので寝てもらったよ」


 王の表情は穏やかな笑み。


「そうですか。それを聞いて安心しました」

「ああ、本当にありがとう」

「お気になさらず」

「・・・ノアよ」

「はい?」

「やはり私の部下にならないか」

「ありがたいお言葉ですが、私には少々荷が重すぎます。私は冒険者。何かに縛られず自由に生きるのが一番合っておりますので」

「ふふ、そうか。・・・そうだな。引き留めてすまない。何かあれば登城してくれ。力になろう」

「その時はよろしくお願いします」

「モーガン。彼を送ってくれ」

「かしこまりました。ノア様、こちらへ」

「失礼します」

「ああ」


 モーガンさんに城門まで送ってもらい宿へと戻った。

 宿にてエンゲルバードをシルファに渡して、調理してもらう。

 その間、終始ご機嫌なギルターが尻尾をぶんぶん振っていたのがまた印象的だったな。


「お待たせしましたー」


 シルファが持ってきたエンゲルバードの料理の数々、香ばしい匂いにヨダレが・・・おっと。


「美味しそー!!」

『鶏肉、久々ですね』


 カプリスとフィズリールも目をキラキラさせていた。


「「いただきます!」」


 声を揃えて言い食べ始める。


「「うまっ!?」」


 今まで食べたどの鳥料理が霞んで見える程、その料理たちは美味かった。


「最高だシルファ! 料理上手なお前に会えてよかったよ」

「ありがとうございます」

「む、シルファさん! 私に料理教えてください!」

「あらあら、いいですよ。料理が上手な奥さんが欲しいってノアも言ってましたしね」

「いつの話だ」

「ずっと前の話です」


 覚えてねぇ。


「ところでノア? 貴方、次は何処に行くつもりですか?」

「原初の神殿だ」


 原初の神殿。

 次の目的であるオリジンヒューマンがいる神殿だ。

 以前話したとおり、エイブレイル神聖国の領地ないにある。 


「オリジンヒューマンがいる神殿ですね。またなぜ?」

「それは──」


 シルファに、俺達が呼び出された理由がわかったこと、またその内容を話した。

 彼女は「なるほど」と頷く。


「その話、レグルスには?」

「気が向いたら話に行くつもりだ」

「そうですか。・・・その魔物の件ですが、私の方でも調べておきますね」

「出来るのか?」

「これでも宿屋の女将ですよ? 顔は広いのです」

「それは心強い。助かるよ」

「ふふ、どういたしまして」


 その後は、今後の事を話しつつ料理を平らげ休むことにした。

 侵攻の時に比べて疲れてはいないが、休めるときはしっかり休んでおこう。

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