表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン攻略JK配信者、配信の切り忘れに気づかず特級モンスターを一方的にボコった結果伝説となる  作者: Lunatic/夜桜カスミ
第一章 規格外JKの無双配信

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/30

雑談配信 その2

”いったい何を言っている???”

”どう見ても一本なのですが”

”ほら……めのっさんはその……ぽんこつなとこあるからさ”

”姫様……少し疲れてるんだよ”

”古参勢が急に憐れみだしてて草”

”姫乃さんの解せぬって顔可愛いけど、これは他リスナーに同意するわ”


「むっ。これは本当に七本の魔剣みたいなものなんですー。この剣の中に、七本の属性付与用の回路を七つ組み込んであって、このギミックを動かすことで属性制御用シリンダーを回転させて、それを増幅させて現象として発露させてるんですー。だからボクからすれば七属性分の魔剣なのー」


 順番で話すと、シリンダー部分に組み込んである魔力を属性魔術に変化させる術式とそれの増幅機能。そこから剣本体にあるそれぞれの属性に対応している付与用の回路にその属性魔力を流し、さらにそれを増幅。

 最後に、増幅された魔力を魔術という現象として現実世界に発露させ、それを攻撃に用いる。

 もっと詳しく話せばもっと色々組み込んであるが、大まかな流れはこんな感じだ。まだ改善の余地は多分にあり、最近追加した雷属性の試運転中に昨日のあのようなことが起きたわけだ。


「理想はこれに組み込んである七属性全部を組み合わせた複合属性をぶっぱすることだけど、これが中々難しいんだよねぇ。普通の魔術だったらできるんだけど、魔導兵装にするとなると術式の規模でかすぎてね」


”ようやく理解できたわ。要するに、各属性ごとに役割を分担させてるのか”

”それなら確かに、七属性分の魔剣を一本の形にした七つの魔導兵装っていう主張にも、少しは納得できるけどさぁ”

”そういう、機能をそれぞれ分担化させるっていうのって、普通一つの属性に使うものなんすよ。普通の発火魔術を、制御して強化して拡大化して最後にただの発火を爆撃に変える術式組み込んでってな感じで”

”これさ、もし仮にシリンダー部分が何か不調起こしたら、炎属性に対応している回路に雷属性が流れて暴発、とかしたりしない? 大丈夫?”

”ってか何気に、姫乃さんが魔導兵装を自分で作ってるっていう答え言ってて草”

”自分で作ってるってことはダンジョン資源なんだろうけど、未成年だよね? 大丈夫なの?”


「あ、これもちゃんと説明しないとね。確かにボクはダンジョン資源持ち出してるけど、ちゃんと許可もらってるから。えっと、未成年核石換金及び素材持ち出し許可証、だったっけ? この試験受かってるから素材は全部ボクの自由なんだ」


 未成年核石換金及び素材持ち出し許可証は、ギルドを介して国が発行している探索者限定国家資格だ。

 14歳から試験を受けることができ、年齢以外では特に大きな条件はないが、これに合格できるのは極一握りだ。

 かつて第二次世界大戦終戦直前にダンジョンが発生したばかりの頃は、希少で貴重なダンジョン資源は今以上の高値で取引されていた。何しろ、自衛隊や世界の軍ですら中層を突破できればいいほうで、探索者の数も今より少なくその分ダンジョン資源が出回っていなかった。

 新たな資源として注目を浴びており価値は常に高騰しており、どんな小さなものでも100万円単位で取引されていた時期があった。


 それに目を付けた人々は、戦後で国力も何もかもが疲弊しきっている中自分の腕だけで一攫千金を狙えるとして、かなり無茶をしてダンジョンに潜り、そして8割が生還できずにいた。

 その8割のみ生還者のうち6割ほどが未成年で、ただでさえ終戦直後で人手が足りていないのに、貴重な若手人材がダンジョンという未知の穴の中から帰ってこなかったので、政府は急遽ダンジョン関連の法整備を進めた。

 当時は未成年はダンジョンにすら潜れなかったが、ダンジョンに入りモンスターを倒すとなぜかやたら強くなって帰ってくることが判明したため、その制限は解除。それでもその時はまだ、未成年はダンジョン資源の一切の持ち出しを禁止していたという歴史がある。


 このような歴史があるため、無理をした未成年が死にかねないため筆記試験や実技試験は鬼のような難易度をしており、一部では合格させるつもりがないとまで言われている。

 姫乃はその試験にきっちりと合格しており、当時は14歳だったこともあって試験管やギルド職員に本気で驚かれたものだ。


”あの鬼試験受かってるの!?”

”魔導兵装の件もそうだけど、こっちも普通にやべぇ”

”あんな兵器作ってるくらいだし頭いいんだろうなと思ったら、想像以上だったわ”

”めのっさんって普通にインテリの部類なんだよな。たまに変なこと言うけど”

”昨日の戦いとか過去配信とかを見るにフィジカルもヤバいから、インテリな武闘派やんけ”

”頭は本当にいいから、たまにリスナーから勉強会配信してほしいって言われてたな”

”お姫様にしてもらう勉強会ははかどりそう”


「いやー、マジであの試験むずかった。過去問見た瞬間、一回やる気なくしかけたもん。あれ受からないと、生活結構苦しいから本気出して勉強したけど」


 その副作用かどうかはわからないが、その後の学校の成績はめちゃくちゃいい。効率的な勉強の仕方が、あの時に身に着いたのだろう。

 もしあの時あの試験に受かるための勉強をしていなかったら、果たしてどうなっていたことか。もしかしたら人として最低限の生活すらできずに、ひもじい思いをしていた可能性がある。

 成績優秀者として特待生で学費免除も勝ち取れたし、自分の実体験から配信に来ているリスターたちに、勉強は大事だからきちんとやるようにと言っておいた。


 その後も次々とくる質問コメントに答えまくる。


「事務所所属とかですか? 答えはNOだよー。ボクは完全ソロの個人勢なんだ。本当はクランに入ろうと思ったんだけど、今でこそ身長160センチくらいはあるけど、クランに入ろうと思った時ってまだ14歳で身長もっと低かったから、見た目ではじかれてたなー。事務所とかも、配信始めて半年後くらいにいくつか応募したけど、全滅だった」


”あんなやべーの作れる子を見た目だけで弾くとか、そのクランは大損したな”

”未成年含めた新人探索者の育成にめっちゃ力入れてるレッドドラグーンとかだったら、ワンチャン入れたかもしれないね”

”もはやどっかに所属するメリットなくなったし、このまま個人続ける感じかな”

”収益丸ごと自分のものになるのはでかい。来年くらいに地獄見そうだけど”

”来年……青色……うっ、頭が”


「すでに少し現実逃避してるから思い出させないで。……次は、本当に16歳なのか。もちろん現役JKだよ。ライセンス見せれば証明になるかな?」


 探索者ライセンスは国家資格。偽造等は一切できず、この世で非常に信用できる代物だ。

 個人情報の塊のようなものではあるので、取り出したライセンスに魔力を通し、見せてはいけないものは全て隠して、自分の名前と年齢だけを表示させる。


”マジで現役JKやん!”

”あんなヤバいの作っててまだ16なのか……”

”16にしては加工技術高すぎるし、シンプルに強すぎる”

”将来があまりにも有望な件”

”なんにせよやべー子だわ”


 自分で魔導兵装を色々と製造していることを説明して、自分の年齢だったり無所属であることなどを話し、それらが姫乃の口からきちんと説明されるたびにコメントが盛り上がる。

 特に、やはり女子高生であることを明かした時が一番盛り上がったように感じる。


 この雑談配信を始めてから1時間近くが経とうとしている。同接は始まった時からさらに増え、7万人という脅威の数値をたたき出している。

 とにかくたくさんの人が見に来てくれており、次から次へと質問が投げかけられてトークが止まらない。中には変なネタコメントもあり、それに反応してツッコミを入れるのが楽しくて仕方がない。

 いつも来てくれている常連リスナーたちも、姫乃が楽しそうにしているのを見て楽しそうにコメントをたくさん書きこんでいる。


 このまま二時間でも三時間でもずっとこの雑談を続けたいが、そうはいかない。

 基本二時間配信をしているし、休日の時はもっと長く配信することもある。だがここまで大量のリスナーと相手にすることは初めてで、普段と勝手が違うし緊張もしてかなり疲れるから、長くても一時間半程度にしておけと美雪に言われている。

 当初は一時間の予定だったが、配信が楽しくなりすぎてしまい予定時間を一時間半もオーバーして、あともう少しで二時間になろうというところでスマホのLAINEに美雪からお叱りメッセージが来たので、配信を切り上げることにした。


「はい、というわけで今日の配信はここまで! まっじで楽しかった! みんな来てくれてありがとー! 大好きー!」


”俺も大好きー!”

”美少女のめっちゃ可愛い声での大好きは破壊力ががががががg”

”懐っこい性格してそうやなぁ。トークも上手かったし、序盤はとんでも情報満載で引いたけどそれ以外は面白かったし、これは推せる”

”姫様ー! 次の配信はいつやるのー!?”


「次の配信はー……なんと! 明日やります! 基本ほぼ毎日配信してるからね。明日の配信は、皆さんお待ちかねのダンジョン攻略! このチャンネルのコンセプトでもある解説も同時にやっていくから、楽しみにしててねー」


 サーチ&デストロイではないのかというコメントが相次いだが、そもそもこのチャンネルは色んな武器を使える姫乃が色んな武器での立ち回りを解説するというものだ。

 一方的な殲滅は、自分にしかできない動きとかをしがちなので解説には向いていない。なので大量のモンスターが襲ってくる怪物災害のスタンピードや、大量のモンスターが一か所で大量発生するモンスターハウスとかじゃない限りはしない。

 そのことをしっかりと伝えるが、常連たち含めてなぜかあまり信用してもらえなかった。


「なーんか釈然としない感じぃ……。まあ、とりあえず改めて今日はここまで。最後までご視聴ありがとうございました! コメントもたくさんしてくれてありがとうねー。それじゃあ、次の配信でお会いしましょう! おつひめでしたー!」


”おつひめ!”

”乙ひめー”

”おつぷに”

”めのっさんおつひめー”

”なんか一人姫乃さんのことぷにのさんって呼んでるの何でだろう……”

”明日が楽しみだー!”


「……ふぅ。……いや本当に結構疲れた」


 配信は大成功に終わった。コメントは常に大賑わいで、同接は多少の増減はあれど、常に右肩上がりだった。

 初見さんもたくさん来てくれていたし、その初見さんがそのまま配信に残ってもくれた挙句登録までしてくれた。

 今まで、初見さんは来ても定着せずにいなくなったのは何だったのだろうかと首をかしげる。


「きちんと説明をしたつもりだけど、まだボクの魔導兵装のこととか半信半疑なところはある感じだったなぁ。まあ、それは明日の攻略解説配信で証明するしかないかな」


 想像以上の疲弊に驚きつつも、明日の予定を頭の中で組み立てる。予定といっても、ただひたすら魔導兵装でモンスターを倒しながら解説をしっかりと挟むだけなのだが。

 配信を終えたので姫騎士風衣装を脱ぎ、部屋に置いてある寝巻を取って一回のお風呂に向かう。

 当初は一時間の予定だったのが、予定よりも一時間近くも伸びてしまったため、21時に沸くようにしていたお風呂の温度が少し下がっていた。

 髪の毛や体を洗っている間に追い焚きをしておき、少し熱くなり過ぎたお湯に体を沈める。


 体をきっちり綺麗にして寝巻に着替え部屋に戻った姫乃は、真っ先にパソコンの前に再び座ってツウィーターを開く。

 ドキドキと胸を高鳴らせながら自分の名前を検索すると、大量の姫乃に関する投稿がされている。

 今までエゴサーチに引っかかりもしなかった自分の名前が、今や大量に引っかかる。一部変な奴がいるがどれもが好印象で、それに頬を緩ませる。


「今回の配信で、次の配信に人が来てくれるように誘導? できたし、これは明日は今まで以上に気合を入れないとね」


 ふんす、と気合を入れる。

 そうと決まれば、明日の配信に向けてきちっと休もうとパソコンをスリープにして、ベッドの中にもぐりこむ。

 そのまま寝る、のではなくスマホを開いてアワーチューブスタジオアプリを開いて、今回の配信の詳細を見る。

 高評価数は7万件、共有数も凄まじいことになっており総再生時間はこの配信だけで数万時間となっている。

 凄まじい成果ににやけが止まらず、いつの間にか申請中になっている収益化申請に、更ににやけてしまう。


「ほんと、ボクのことを見つけてくれた人に足を向けて寝られないや」


 スマホのアラームをセットして、画面を消して枕の近くに置く。

 目を閉じると浮かぶのは、あの大量のコメントたち。そして大量に流れるおつひめという、終わりのあいさつ。


「楽しかったなぁ」


 囁くようにポツリと零し、幸せと楽しさで胸をいっぱいにしながらゆっくりと眠りに入った。

 明日から本格的に攻略配信を始める。


 そしてこれが、逢坂姫乃の伝説の幕開けとなるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ