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8

 父に現場の写真を撮るよう言われ、送信すると、父は折り返して電話をかけてきた。

『面倒なことになった』

「?」

『その桐の箱は、とても厄介だ』

 卓上に転がる、桐の箱。

 サイズは煙草の箱くらい。

 高級そうな見た目から、私は茶葉ではないかと思っていた。


 黄色いカエルの意匠が施されている。


「あ」

 後ろで香織がつぶやいた。

「これ、奈緒子が言ってたやつだ」

「何?」

「思い出したの、蛇の夢について」

 顎に人差し指をあてて言う。

「どうして忘れてたんだろう? 奈緒子はね、友達になった仲良しの蛇が、道端で出会った黄色いカエルに睨まれて死んじゃう夢を見た、って言ってたの」


『その桐の箱の中身は、冬虫夏草』

「とうちゅう、かそう?」

『虫に寄生するキノコのことだ。滋養強壮の薬として、高価だが、普通に出回っている』

「へえ」

『だが、そのマークがあるものは危険。はっきり言って、別物だ』

「別物? っていうと……偽物ってこと?」

『いや、どちらかと言えば、()()()()だな』

「ホンモノ……」

『怪異の側に寄るのは、案外簡単なんだ』

 父が呟いて、こう続けた。

『ばあさんの髪と、その桐の箱をこっそり拝借して、今すぐそこを離れろ』

 そのとき、杉田宅の玄関のインターホンが鳴った。


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