第20話 移動輸送車にて
移動輸送車に揺られながら、レイドリーダーより作戦のレクチャーを受ける。
輸送車内部の正面には、
地域全体を見渡せる感じの地図と、各村の大まかな配置図があった。
リーダーは、2種類の地図を前にして、
「現在、我々のレイドの他に、2チームのレイドが参加の予定。
我々はここから。他のチームは、こことここから参加。」
それぞれ指差しながら説明する。
「今回のレイドの目的は『ゴブリンの殲滅』である!
現在、確認できるだけで、100~300匹のゴブリンが集結している。
この大きさだと、複数のゴブリンリーダーもいるだろう。」
「ゴブリンナイト以上の存在は、未確認。
ゴブリン以外のモンスターについては、通常範囲の頭数で、存在が確認されている。
よって、これらの存在にも留意して、討伐にあたってもらいたい。」
参加者の中の1人が挙手して、
「報酬はどうなってます?」
「報酬は、全体としては、生き残った人間の頭割り。遺言ある場合は、頭数に加算。
魔石についても、作戦終了後にまとめて回収、ギルドに戻って換金の後、分配する。
各ゴブリンが持っているアイテムについては、各自取得とする。
ただし、回収している間も気を抜くなよ。殺されても知らんぞ。」
リーダーは、ニヤッと嫌な笑いをする。
「各自、アイテム保管用の収納庫は持ってきてるな?
よし。後は自由時間にするから、各人休息をとれ。」
アイテム保管用の収納庫。
これについて、説明しておかないといけない。
『〇〇のポケット』じゃないが、結構な容量が入るマジックアイテムが、この世界にはあった。
値段と大きさはピンキリで、オレが今、持っているような、ほんの少ししか入らないポーチがあれば、クジラが丸ごと入れられるような箱状のものもある。
容量があって小型の入れ物は、それだけでものすごい金額がする。
入る理由は、アイテムを製作するギルドの秘密に属していて、明らかにされていない。
マジックアイテムは、所持中に死ねば、アイテムごと中身を盗られて、
財産丸ごと失うから、『取り扱いには注意!』っていうところだ。
オレは、実は『クジラの入るアイテムボックス』を持っている。
パウとポウが持っているポシェットの中にもあるし、自分用に1つある。
以前は、相当な金持ちだったということだろう。
自分用のを見せてもらったが、見るからにピカピカで、
『盗んでください!』という代物だった。
今付けていてるポーチは、自分のレベルに相応しい、貧相なものだ。
もちろん、クジラの入るアイテムボックスは入らない。
「こりゃ、獲るアイテムは、かなり選別しないと入らないなぁ。」
ポソッとつぶやいたら、
「まだ持ってもいないものを、どうするか考えるより、
どうやって戦うかを考えた方がいいぞ。」
マリベルに注意された。
確かに。すいません。
「オレは、ゴブリン殲滅戦は、初めてだよ。」
メルエルは、
「私は、小規模のものなら、何回かはあるよ。」
マリベルは、
「私は、ここのところ、ゴブリン退治ばかりだ。」
オレが、
「どんな感じ?」
と尋ねると、
「ただひたすら殺すだけだ。」
ウェッ! そいつはキツいなと思っていると、
「タンクがリスクを少なく稼ぐには、ゴブリンスレイヤーが、最適だからな。」
と、自嘲気味につぶやいた。
どうも、ソロばかりというのは本当のことらしい。
「まぁ、他にレイドチーム2つということだから、ケガと死なないことに注意して、効率よくいきますか。」
「バックアップは、まかせて♪」
「同じく。ヒールしながら、余裕あったら攻撃ということで。」
「期待しないで、期待しておく。」
マリベルが解んないことを言う。
予定地域まで、後2時間。とりあえず寝るとしよう。
『zzzz・・・』
マリベルは、ちらっとケンを見て、
「戦いを前にして、すぐ寝てしまうとはな。度胸があるんだか、バカなんだかw」
メルエルが、
「ケンは、いつもそうだよ。
今なら鼻つまんでも起きないけど、妙な気配感じると、すぐ起きるよ。」
「コレは、アンタの恋人か?」
「ハハッ。今の所は、まだ相棒。」
「一緒に住んでるのか?」
「相棒としてね。」
「忍んでは、こないのか?」
「こないね~。」
「ホウ。」
「相棒としては、信用できる人だよ。掃除・洗濯、自分でやるし、料理もまぁまぁ。
仕事は確実だし、甘い見込みも立てない。
冷たいところもあるけど、自主性を重んじてると思えば、腹も立たないし。」
「これは、少し期待できるかな?」
マリベルが言う。
メルエルはニヤッと笑って、
「期待しちゃって♪」




