第13話 α-36での生活
仕事の合間見て投稿。チョイ遅れました。
α-36は辺境都市といっても、内陸に近い分、β-124より大きかった。
当然仕事も多い訳で、便利屋としても扱われてしまう開拓者は、
地震の跡片付けやら、原料の調達やらで、大忙しだった。
ただ、インフレがひどい割に1つ1つの仕事は報酬が少なく、蓄えは溜まらなかった。
ある程度したら、他のβ都市へ移動しようかなと考える余地は、充分あった。
2週間経って、やっと宿屋へ移動することができた。
納屋でも寝起きはできるが、さすがに洗濯や入浴に苦労していた。
オレが苦労してると思うくらいだから、メルは、さぞかし苦労していたことだろう。
ただし、問題が1つ。
狭い部屋が1つしか確保できなかったのである。
「メル、君が1人で入るか?」
「冗談! 今の宿代じゃ、すぐ蓄えがなくなっちゃうよ。 2人じゃなきゃムリ。」
「ベッドが1つしかないぜ?」
「私は一緒に寝ても、いいけどぉ~?」
「オレが困るがなw」
ニヤニヤしながら、
「あれぇ? ケンちゃんは、メルさんと一緒に寝るのが嫌なのかなぁ?」
コイツ、からかってやがるw
「実際問題、オレが床で寝るから、メルはベッドで寝ろ。」
「私は床でも平気だけど?」
オレは苦笑しながら、
「バカタレ。 少しは男に、痩せ我慢させろw」
『フフッ♪』
メルは笑いながら、
「ホントに一緒に寝てもいいんだよ? ケンは、そういう所、すごく堅いし。
寝相悪いけど、抱き着くくらいなら、まぁ許容範囲だし。」
アホ、こっちが困るっていうの。
毎晩、局部充血させて、寝不足になっちまうw
「とにかく! オレは床で寝るから!」
「リョーカイ♪」
そんな感じで、共同生活が始まったのである。
β-124には無くて、α-36にはあるもの。
それは、各種訓練施設だ。
魔法・剣士・錬金術等々、様々なものがあった。
まずは、武術を習うことする。
パウは、「ぼちぼち先生について習っても、いいんじゃない?」
と言ってくれた。
魔法使いだからと言って、後衛にいれば安全という訳じゃない。
前衛が崩れれば、だだ逃げるだけじゃ殺される。
習うのは、レイピアに決めた。
レイピアは攻撃用の武器ではない。基本は護身用だ。
重量が軽く、押しに弱い分、テクニックで補える。
ギルドで紹介してくれた先生は、
防御用の短剣を左手に持つ、実践的な使用法を指導してくれた。
そのほか、中級以上のポーション製作のため、錬金術も習う。
錬金術のテキストは、ハモンの持っていたテキストでは、かなり難解で、
これは独学では理解できないと思った。
こちらは授業料が、かなり高額で、値段交渉で粘りに粘って、
なんとか納得できる値段に納めることができた。
魔法については、今さらなのでパス。
マズい魔法使った場合は、「自己流!」で、言い通すことに決めた。
大体、効果のある魔法を「素性が解るかもだから、封印!」なんてやってたら、
オレのレベルじゃ、すぐ死んじまう。
このほかに、現在独学で挑んでいるのが『マジックアイテムの置換』である。
魔法使いの基本装備は、杖かワンドだ。
正直、打撃武器としては、かなり微妙。
おまけにうっかり手放したり壊してしまうと、途端に威力が弱まった。
最初、剣や槍に機能を装着できないかと考えたが、
『属性』で引っかかって無理。
次に『杖やワンドをアクセサリーに改造できないか?』と考えた。
こうすれば、他の武器での攻撃と、魔法攻撃が同時にできる。
ただ、言う易し、行うは難し。
どう改造すればいいか、全然わからない。
ハモン手持ちの文献を探ったのだか、お目当ての項目は、発見はできなかった。
「う~ん。初心者が扱う分野じゃないな。」
「何やってるの?」
メルが肩越しに、のぞき込んできた。
「ちょっと考え中。」
「へ~。」
「これは、しばらくヤメ。」
ハモンが持っていた文献は、まだいっぱいある。焦らずに読んでいこう。
そのうち何か、発見はあるさ。
メルは、オレの肩にアゴを乗せて、ニコニコして、
「晩ごはん、なにがいい?」
そうだ。今晩は、メルを誘って外食することにしよう。
オレが奢ればいいし。
外は夕暮れ。
さぁ、仕事を終わって二人で出掛けよう。
メルの手をとって、立ち上がって、オレはカッコつけて一礼して、
「それでは、お嬢様。ご一緒に、街でディナーなどは、如何でしょうか?」
彼女はクスクスしながら、
「エスコートは、して頂けるのですか?」
「それは、当然。」
「では、行きましょう。」
この時間が続く限り、オレは、どこまでもがんばっていける気がした。




