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001魔法道具の祖

 ここはツーツレフモ王国。王国は商業を国是としており、国王も商人っぽい気質を持つ。国王は老練なツーツレフモ=キング=デルリン。主地方都市のひとつ、商業都ツレランデにあるデレルレ魔法専門学校。


 私の名前はここで校長をしている、チネリア=フォン=デレルレという。この魔法学校を創設した曾祖父から3代目の校長である。曾祖父は大魔法が使える大魔法使いだったのだが、魔法力は家系に連ならないので、私は小魔法しか使えない小魔法使いでしかない。だが小魔法しか使えなくても、校長という役職には運営力が大切なので校長を任せられる。名前に貴族である尊称であるフォンがついているのは曾祖父のおかげである。でも実際領地があるわけでもないので、名誉称号である。私の先祖に偉大な人がいたというのがわかる程度だ。わが息子たち、息子の子供たちはデレルケの名を継いでいることもあり、曾祖父は一族の誇りである。嫁に行ったわが娘たちも、デレルレの名が嫁ぎ先の名に代わっているが、誇りに思っていてもらいたい。

 その娘たちは実家である我が家を季節につれて訪れてくれる。それを非常に心待ちにしている。孫の顔はむろん、愛娘の顔を満つことも楽しみなのだ・・・・・・っう、ゴホン。話を戻そう。


 私の魔法使いとしての紹介をしよう。潜在魔法力が小さいため、小魔法しか使えない。曾祖父は護符魔法使いであり、曾祖父から護符魔法をみっちり仕込まれた。護符という魔法道具を利用しての魔法力を発揮している。

 ここ数年来、校長の仕事の傍ら研究にも取り組んでいる。研究内容は「魔法回路のパターンの単純化と複雑化」というものだ。私の護符魔法師として特徴を利用して、この護符の改良を研究している。

 最近ようやくものになりそうなデータが集まってきた。というのも魔法学校のパトロンの一人が国王の覚えがめでたくなり、その伝手で最近王立図書館の魔法図書を閲覧できる機会に恵まれた。朝から晩まで図書を読みあかし数多くの文献を読むことができた。いろんな地方いろんな魔法流派の呪文を記した書物の中に、呪文の中に「丸と四角」とか「丸に三角」とか唱える流派があった。普通そこに意味不明な詠唱を入れない。なぜかこの呪文部分が気になりそこを主題にして研究を推し進めた。


 護符に書き込む図形の魔法式が発動できるまでの改良に2年。成功するものもあれば、無反応なものもある。そして成功した図形を並べたところ、類似点があるのがわかった。

 ①円内にもう一つの図形が入ってること。

 ②円ともう一つの図形が接していること。

 ③円周にもう一つの図形の角が重なっていること。

 大きく3種に分かれた。再度まとめて再実験し、魔法発生速度・魔法種・魔法力・魔法精度を比較検討することにした。そうすると魔法規模が③の「円ともう一つの図形の頂点が重なる」も、のが魔法が大きかった。それらを調べると、魔法発生のロスが少なく、確実に魔法力が発現するのがわかった。それを「護符魔法陣」と名付けた。

 次はもう一つの図形の発展形を研究した。さらに発展形の図形をいろいろ作り出して、角形からペンタクルまで、20面体を接弦させた図形をそれぞれ護符魔法陣として完成させ、それらも順に実験していった。発現するものをあれば全く反応のないものもある。そうしていろんな魔法種が護符魔法陣に加えることになった。


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 わが校は魔法専門学校である。生徒は多く、彼らに教授する十数人の教員がいる。彼ら彼女らは研究者でもある。全員が魔法における何かしら研究をしている。毎年収穫の始める初秋に、スポンサーの方々にまとまった研究発表会が行われる。今年は私がようやく成果を出すことができたので、いよいよ披露する番になった。


 「・・・・・・・チネリア=フォン=デレルレです。私の専門は護符魔法です。護符魔法の発展を願うべく研究してきました。研究が発展したきっかけはスポンサーの方々による図書館の開放でした。貴重な文献を読み漁った中にアイデアがありました。それを発展したものがこれです。」

 私は襟元から数枚の護符を取り出した。

「護符に書く図形で、魔法種を限定できるというのが今回の成果です。これらの護符には炎・水・風・光の特性を付与しています。今ここで、これらの護符に魔法力を流し込み、順に発動させます。」

4枚の護符を4つのテーブルに並べ、右からその護符に指を置き、

「魔法宣誓!!」

無言にて魔力を護符に流し込む。護符が炎に変化し、やけどしないように指を引く。

次のテーブルに移動し、護符に魔力を流し込む。護符がパシャッという音とともに水に変化しテーブルを濡らす。

テーブルを移動し、護符に魔法力を流し込む、護符が散りじりになり、部屋の中に風が舞う。

テーブルを移動し、護符に魔法力を流し込む、護符が霧散し、太陽のごとき白き光が、薄暗い部屋を照らす。

「これらが研究内容です。」


正面に座る王、キング=デルリンが言った。

「この研究成果が我が国のどこに役立つものか?」


「産業として成り立つかと思います。

 私は護符魔法師なので、護符がそのたびに焼失しますが、この護符を焼失しない道具にできれば、魔法に慣れていない人々は、誰でも簡単に魔法にふれれるようになります。価格によっては爆発的に人気な商品になります。そうなればこれらの特性を持つ商品として、国内に国外に流通させることができます。

 さらに一つの道具に一つの特性を付与すれば、着火道具に、水を発生させる道具に、火おこしの、物や体を乾かす道具として、暗闇を照らす道具として、人々は必要と思う組み合わせの道具をそれぞれ購入し、さらなる購入を促進できるでしょう。 指環などの装身具にできれば、落としにくいですし、見た目もよく購入が促進しやすくなるでしょう。

 莫大な収益が見込めると思います。」


これが魔法道具製造ギルドの立ち上げになった。


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