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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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360/376

360 フォールとマールと食事

クロリナラドが、そっと口を開いた。


「私たちも、祖父上様と祖母上様がいてくだされば安心です。父上が、フォル、ジュスト、サンセールがヨーリアン帝国へ行く前に、祖父上様たちへ挨拶をさせたいと話していました。今は三人とも、卒業論文に必死ですよ」


「ああ……懐かしい。一番忙しい時期だな。楽しみに待っている」

フォールが嬉しそうに笑う。


「相変わらず厳しい学則なのかしら……。ルノアも週末には帰ってくるの?」


「はい。お父様が、週末には必ず帰りたくなると言っていました。ですが、入学してみれば分かる、とも聞いています」


「ああ……そうですね。私も必ず帰っていましたよ。入れば分かります。楽しみですね」

マールも懐かしそうに微笑んだ。


「はい。竜神様との面会もありますし、タスワンズ湖にも帰ってきますので、その時はまたヨーリアン帝国のお土産も探してきます」


「おお……それは楽しみだな! ルノア、美味しい食べ物を頼むぞ!」

フォールが嬉しそうに身を乗り出す。


全員が思わず苦笑した。


サライが合図をすると、皆で食事の準備を整え始めた。

大樹の下には、すでにたくさんの料理が並べられている。

タスワンズ湖で採れた魚や桃。

マクアリール領から届けられた肉料理に、焼きたてのパン。

そして、この季節だけの限定品である甘芋ダイフクも、皿いっぱいに用意されていた。


「今日は、少し多めに用意しました」

サライが笑顔で告げる。


「これだけあれば、ゆっくり話しながら食べられますね。いつもありがとう、サライ。サラロも、皆で食べましょう」

マールが嬉しそうに料理を見渡した。


「ああ。前はすまなかったな。ヤヌスのことで……。今日はゆっくり食べよう」

フォールも穏やかに笑う。


クロリナラドも頷き、フォルやジュスト、サンセールの話をしながら、祖父母との会話を楽しんでいた。

フォールもマールも、孫たちの話を聞くたびに嬉しそうに笑っている。


その隣では、ルノアが小さくなったネネの鱗を優しく撫でていた。

「本当に綺麗ね。ネネ、可愛いわ。ゆっくり、たくさん食べてね」

ルノアはネネの皿に料理を取り分け、最後には甘芋ダイフクをいくつも積み上げた。


「次は私が取るわ。ネネ、ほら。早く食べなさい」

今度はマールが嬉しそうに世話を焼く。


「子供ではありませんから……大丈夫です」

ネネが恥ずかしそうに答える。


「いいのよ。ネネは遠慮ばかりするんだから。果物はお父様がお茶の時間に出してくださるからね。甘芋ダイフクも、皆に譲らずに食べなさい」


「ほら、ノアも食べて」


「はい。ラド様も」


ルノアとクロリナラドが互いに料理を取り分ける。


その様子を見ていたフォールも、マールの皿へ料理を取り分け始めた。


「我もな。ルノアに言われてから、今までしてもらったことを、マールにするようにしたんだ。ほら、マール。先に食べなさい」


「はい。フォール、ありがとう。フォールもどうぞ」


マールも笑顔でフォールの皿へ料理を取り分ける。


「福ちゃんは何が食べたい? 桃だけでいいの?」

ルノアが福の皿を覗き込む。


「うん。もう朝からサラたちに、たくさん貰ったの。甘芋ダイフクも美味しいね。これなら売れそうだね」

福は嬉しそうに甘芋ダイフクを眺めた。

「魔術学園長のシェットにも、甘芋ダイフクを持っていってもいい? 甘いものが夫婦で大好きなんだ」


「ええ。先生方の分も一緒にお願いしてもいい?」

ルノアが嬉しそうに頷く。

「婚約のお祝いのお手紙も、イヤーカフの注文も、商会にたくさんいただいたの。お返事はすぐに出したんだけど……」


「うん。分かった。今日と明日はクロリナラドがいるから、あとでちょっと遊びに行ってくるね」

福がにこやかに答えた。


湖面には柔らかな光が揺らめき、穏やかな風が大樹の葉を静かに揺らしている。

タスワンズ湖で過ごす時間は、今日もゆっくりと流れていた。

二人はその光景をしばらく眺めたあと、皆に別れを告げ、公爵家へ戻っていった。


…ー…ー…ー…ー…ー…


公爵家へ戻ると、ルノアは筆を取った。

リオンブラン王国のルルへ、手紙を書くことにしたのだ。


タスワンズ湖でネネが皆と仲良く暮らしていること。

お父様とネネが、いつも一緒にお茶をしていること。

大きなネネも、小さなネネも、白蛇様と呼ばれ、マクアリール公爵家の皆にとって大切な癒しになっていること。

そして、期間限定の甘芋ダイフクが出来たので、一緒に送ること。

そんな微笑ましい近況を、一つひとつ丁寧に書き綴った。

書き終えると、ルノアは手紙と甘芋ダイフクを包み、習得したばかりの「移転」の魔法陣を展開した。

淡い光が二人の前で揺らめく。


「ルルも、安心してくれるかな」

ルノアが小さく呟く。


「きっと喜ぶよ」

クロリナラドが優しく答えた。


二人は顔を見合わせ、穏やかに微笑んだ。

タスワンズ湖の穏やかな日々と、そこに生まれた小さな幸せが、遠く離れたルルのもとへも届いていく。

そんな温かな余韻を残し、二人は静かに窓の外へ目を向けた。


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