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10年後に討伐される魔王   作者: うずまき
第1部 魔王就任編
25/103

第24章 カズマサとイオリ

カズマサ「(痛ぇ…こりゃもう凶器だな…)」


イオリ「これで決めるよ!!ストーム!ブレイカー!!!!」



膝をついた魔王に迫る風を纏った勇者の魔剣


直撃すれば冗談抜きで討伐まであったが


そんな魔王の耳に


側近の声が響き渡った。



マリー「魔王様!!まだ任期は9年と8ヶ月も残ってるんですよ!!もう討伐されちゃうんですか!!?」



シャッターの外から響き渡るマリーの声


まだダメージの残ってる彼女の苦しそうな叫びにカズマサの心は変わった。


既にこの闘いは勇者と魔王だけの問題ではなく


まだまだやるべき事が残っているのを思い出した。



イオリ「きゃっ!」



風の魔法剣を受け止める魔剣バルフォース


黒炎を纏った魔剣はその熱気でイオリを吹き飛ばし


形勢は完全に逆転していた。



イオリ「黒い…炎…」


カズマサ「勇者よ…冥土の土産に教えてやる…魔王には第2形態があるんだぜ…?」



黒炎を浴び損傷するイオリの騎士服


見せかけではない本物の黒炎は瞬く間に彼女の身体を蝕み


第2形態となった魔王は魔剣による猛攻で勇者を圧倒した。



イオリ「こ…このぉ…」


カズマサ「これにて終幕といこう…魔剣バルフォースよ…我が暗黒の炎を纏いて燃え盛れ!!」


イオリ「(ダメ…やられる…!?)」


カズマサ「暗黒の(ダークネス)魔炎斬(フレイムセイバー)!!!」



黒炎を纏った魔剣の一撃


それはアサミの技と同じく2つの属性を併せた1ランク上の奥義であり


その一撃はイオリの剣を弾き飛ばした。



イオリ「きゃあっ!!」



衝撃で握っていた手を痛めるイオリ


カズマサはそんな彼女の首を背後から絞めあげ


事実上勝敗は決した。


呼吸困難となり必死に口をパクパクとするイオリだったがその顔色はどんどん青白くなっていき


薄れていく意識の中で


彼女は必死に助けを求めた…



イオリ「助け…て…」


カズマサ「残念だが助けは来ないぜ…ここにはお前と俺しか居ないんだから…」


イオリ「助け…て…カズ…マサ…」


カズマサ「!!?」



イオリが口にした名前に動揺するカズマサ…


その言葉を最期に彼女の呼吸は止まってしまい


真っ青な顔で倒れたイオリの姿に


魔王であるはずのカズマサは泣き崩れた。



カズマサ「イオリ…俺…お前になんて事を…」



慌てて回復魔法をかけるカズマサだったが


彼女の受けたダメージは魔法のない世界ならば命を落としてもおかしくないものであり


何とか呼吸は戻ったものの


その意識はすぐには戻らなかった。



マリー「魔王様…彼女の看病は私がしますわ…女性同士の方が何かといいと思いますので…」


カズマサ「そうだな…」



イオリをマリーに任せて業務へ戻るカズマサ


マリーは彼女を客室のベッドへと運ぶと部屋の中に結界を発動した。


物理的に遮断されたと言っても過言ではない部屋で勇者と2人きりになるマリー


その嫉妬心と殺気は凄まじいものであり


命の危機を感じたイオリはベッドの上で意識を取り戻していた。



イオリ「な…なに…!?」



魔王ですら比較にならない殺気と威圧感


目を覚ましたイオリは恐怖のあまり目から涙が零れたが


マリーはあくまで看病をするつもりであり


彼女に危害を加える事はなかった。



マリー「勇者イオリ…貴女を殺せば魔王様は救われると思ってた…でもそれは違った…むしろ貴女は魔王様を救う為のキーパーソン…」


イオリ「魔王様…そうだ…魔王は…」


マリー「そうよ…魔王の名は夜神一優…貴女の幼馴染みにして最愛の人…」


イオリ「違うよ…確かに幼馴染みだけど…私とあいつはそんな関係じゃ…」



マリーの言う関係を否定するイオリ


イオリの封印されていた記憶は全て解放されており


そんな彼女にマリーは話を続けた。


勇者を殺すのでは無く

勇者の戦意を喪失させる


それがマリーの導きだした答えだった。



マリー「恋人でも友達でも今は関係ないわ…魔王は貴女を殺さなかった…殺せるタイミングはいくらでもあったのに…何故だかわかる…?」


イオリ「……」


マリー「彼は貴女が好きだから殺せなかった…彼は貴女に討たれる事を望んでいる…だから彼は…貴女を勇者に選んだ…!」



女神マミが彼女に隠してあるであろう情報を全て話すマリー


自分とカズマサの関係


そして悪役に憧れる彼を知る自分


イオリの中で全ての線が繋がった。



マリー「自己紹介がまだだったわね…私は堕天使マリー…いえ…同じ転生者として松江真理を名乗りましょう…」


イオリ「転生者…貴女も!?」


マリー「私は女神マミ…いえ…親友の青野麻美の手によって転生した…魔王軍のストッパーとして魔王を監視する側近…堕天使マリーとして…」



自分どころか女神であるマミの本名までバラしていくマリー


ここまで話されてはイオリも彼女の話を信じるしかなくなり


全てを話したマリーは結界を解除


マヤが囚われている地下牢へ移動すると


デビルズゲートを発動した。



マリー「勇者イオリ…このゲートの先は水の国タイダルのギルドへ繋がっているわ…この子を連れて行きなさい…」


イオリ「……」


マリー「私は魔王様を死なせたくないから…だから貴女達を解放するの…立場上は敵同士かも知れないけど…それだけはわかって…」



ゲートを通じて魔王城から脱出するイオリとマヤ


自分がやるべき事を終えたマリーは何食わぬ顔でカズマサの元へと戻り


彼に虚偽の報告を始めた。


全ては魔王であるカズマサを救う為だったが


最愛の魔王を騙す事にはまだ抵抗があった。



マリー「大変です魔王様!勇者イオリと武闘家のマヤに逃げられてしまいました!!」


カズマサ「何だと!?2人で逃げ出したのか!?」


マリー「いえ…恐らく仲間の盗賊が助けに来たのだと考えられます…」



自分が逃がした2人の逃走を報告


彼女は虚偽の報告で罪を盗賊ジャックになすりつけ


2人が安全である事を彼に伝えた。



安全である事を確認出来たカズマサはそれ以上マリーを責める事はなかったが


彼の中に1つの疑問が残ってしまった。



カズマサ「しかし…侵入者の警報が鳴らなかったのはどういう事なんだ…?」


マリー「し…侵入者の警報は生命力と魔力を感知して作動する仕組みなんです…きっとあの盗賊さんのステータスが低すぎて反応がなかったんだと思います!」


カズマサ「な…なんだと…ま…敗けた…」



警報が作動しなかった事について


あまりにも酷い理由を説明するマリー


謎の敗北感を味わう事になったカズマサだったが


数日後


それはあながち虚偽ではなかった事が発覚した。



ジャック「待ってくれ!確かに仲間を助けに来たんだが既に脱出した後だったんだ!俺は無実だぁ!!」


マリー「本当に警報が鳴らないなんて…恐ろしい盗賊がいたものね…」



時間差で魔王城へと侵入していたジャックは不運にもマリーと遭遇してしまい


強制送還となった


この4か月


魔王軍と勇者パーティ


そして風の国シュトゥルムと始まりの町ブラドゥークはそれぞれ壊滅的な打撃を受け


魔王軍の侵略はそのまま中断される事となった。



魔王軍の驚異が知れ渡った事で直接の侵略が無くても経済は回ったが


問題無かったのは最初の1年のみ


平和な日々が続けば景気が悪くなるのは当然の事であり


魔王としては見過ごせない問題となっていった。




カズマサ「そろそろ動かないとな…」



カズマサの魔王就任から丁度2年後の春


魔王軍は魔王カズマサの下再始動が始まり



世界にはまた闘いの日々が訪れる事となった。



次回より第2部がスタートします

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