2.夜明姫
私は幼い頃より、読書に慣れ親しむ子どもでした。なぜならば、この世界にはテレビもネットもなく情報収集と言えば本を読むことだったからです。
ただ、両親は一日中部屋にこもって、本を読み漁る私を少し不思議には思っていたみたいです。しかし、来客の際には礼儀正しく挨拶をして、かなり聞き分けのいい子どもだったので多少本の虫となっていようが特に咎めたりはしませんでした。
そういった幼少期だったため、いつの間にか私には夜明姫というあだ名がつきました。なぜならば、王立図書館に夜明の開館とともに本をかりに来て次の日の夜明にまたその本を返しに来るくらいのスピードで本を読む、と言われていたからです。
将来悪役令嬢になる人間にまさかのゲームタイトル名が付くとは、世の中皮肉なものですね。
さて、私がそんなに本を熱心に読んでいたのは訳があります。
それはもちろん将来いかにして王子様を落とすのか、ではなくいかにしてその側近を自分に振り向かせるのか、ということに対する答えを考え出すためです。
しかしながら、この時はまだ「この世界では」会ったこともない男性の攻略方法を思いつくなんて不可能でした。
そんなことをしているうちに、物語の筋書き通り宰相の娘であった私はあれよあれよという間に王子様との婚約が決まったのでした。
◇◇◇
(明日から王立学園に入学か。出来れば入学前に飛び級をして卒業でもしてやろうかと考えたけれど、せっかくなので筋書き通りに悪役令嬢になってみせましょう)
私は明日から寮に入るための準備を整えながら、そんなことを考えていました。
夜明姫なんていう本来の物語ではなかった二つ名を持った私は、本を読み漁っていたおかげか既に学園で学ぶことに関しては習得済みでした。
(それにしても、ヒロイン視点からプレイしていた時は気付かなかったけれど王子様って以外とそっけないわよね。婚約者だというのにこれまでほとんど会ったことないわ)
私はそんなことを考えながら、これも私が悪役令嬢ポジションのために補正がかかり、王子様とあまり近づけないのかしら?なんて考えていたのでした。




