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再会

「苦しかった。鼻まで塞がなくても。」

 僕らは急いで外に出た。さえない新入社員のような僕に、細身で長い黒髪美女。どうみても、不釣合いな二人だ。

「まさか、ここでレイに会えるとはね。」

 彼女の声は先ほどまでと違い、女性特有の高いものになっていた。

「声を聞かなきゃ、マリだって解らなかったよ。」

 僕の頭は、混乱していた。昔の友人がまったく別人の格好で現れた。これで、冷静でいられるわけが無い。


「僕は、ここでロボット工学をしようと思ってね。」

 マリは再会を懐かしむように微笑んだ。僕は彼女とキャンパスの芝生脇にあるベンチに並んですわると、彼女を見たい衝動に駆られながらも、それに耐えながら空を見つめていた。

「レイが教師か。どんな先生になるんだろうね。」

 マリはまっすぐ僕のほうを向いて話しかけているのは横目ながらに感じた。

「僕は、なんとなく教育学部。まだ教師になるかどうかはわからない。」

 これからの日本。教師は減っていく。それに比べ、ロボットの分野は引く手あまた。どんな小さな大学でもロボットの研究はしてないところはないほどだ。


「お母さん、どうしてる?」

 知事選に落ちたのは知ってた。知っていながら触れないのは余計悪いと思った。

「なんだか、肩の荷が下りたって、スッキリしてた。県庁の元の職場に復帰した。県議の話もあったみただけど、知事を経験したら、対立する議員よりサポートする職員のほうがいいって。」

 マリに似て、さっぱりした人だ。あ、いや、マリが似ているのか。


 僕は学生寮に入っていた。教育学部はキャンパスの移動がない。安いからと言う理由。少し前までは、二人部屋だったというが、寮に入る学生もすっかり減ったので、いまではみな個室だ。しかも大半が外国人。マリは一人暮らしはNGということで、兄のところから通っているが、工学部の実験などの実験や演習が始まれば、さすがに通いはきつくなるので、下宿を交渉中のようだ。

「あ~あ、男だったらな。レイとシェアハウスできたのにな。レイが女になるってのもありか。」

 いや、なに勝手に物騒なこと言ってるの。

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