表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/111

参政党の憲法草案を批評する

 参政党が憲法草案を出した。私は参政党はまったく支持しないが、憲法草案をちゃんと作って公開したのは、自民党以外には珍しい。

 私は、憲法改正は、かつてはかなり意欲があったが、自分の不見識を知り、いまは憲法改正をする必要はないという考えである。

 しかし、かつて、憲法改正を盛んに主張したことがあるので、せっかく公開された憲法草案を批評してみることにした。

 憲法草案の条文をいちいち書き写すのは、面倒でできなかったため、WEBで検索して、参政党の憲法草案を読んで照らし合わせていただければ幸いである。


 総評としては、とても政治家が作ったとは思えないほど、実行可能性のない憲法だということである。

 現行憲法は、教育の義務、勤労の義務、納税の義務の三大義務であるが、参政党の憲法は、国民は、教育の義務、国防の義務だけだが、国は、報道の義務、食料完全自給の義務、公共利益維持の義務など、たくさんの義務がある。


 題名「新日本憲法」。死を暗示する「新」ということばを使うべきではない。

 前文。

 「八百万の神」は、秘密事項。

 「天皇は……しらすこと悠久であり」。白州は罪人の居場所。国民が罪人っぽい。変な暗示と受け取れる文章だ。

 「天皇を……敬慕し」。天皇崇拝の強制でよくない。

 「不文の憲法秩序」。憲法が不文の内容にしばられている。

 「これが今もつづく日本の国體である」。国民全体が家族のように助け合って暮らすのは、我が国の国体ではない。国体に触れるべきではない。国体は隠すべき。

 「国歌」を君が代と定めるかには国内で議論があり、憲法にするべきではない。

 本文。

 第一条.「君民一体の国家である」。国家の作戦を限定させる。不必要。

 「天皇は国の伝統の祭祀を主催し」。おそらく、天皇は国の伝統の祭祀を主催していない。

 第二条.「三種の神器をもって」。三種の神器は隠す。国内で有名でも隠す。

 「皇位は……男系男子の皇嗣が継承する」。皇位継承は柔軟であるべき。憲法に詳細を書くべきではない。皇室典範の定めるところとするとしている現行憲法のが優れている。

 「皇族と宮家は……存続を確保しなければならない」。運用に柔軟性を欠く。

 第三条.天皇の仕事が増えている。天皇制の運営に柔軟性を欠く。

 第四条.「国は、主権を有し」。主権が国民にあるとする現行憲法より強圧的。

 「暦、および元号は、天皇がこれを定める」。天皇が定めるのは困難だ。

 第五条.国民の条件を法律に委ねず、憲法で定めている。法律で詳しく定める現行憲法の方が優れている。

 「国民は……日本を守る義務を負う」。国民の義務が増えている。負担がたいへんだ。

 第六条.「公共の利益を維持する義務を負う」。国の義務が増えて、負担がたいへんだ。この義務は、実行不可能だろう。

 第七条.「親は……子供の成長に責任を負い」。国民の責任が増えている。負担がたいへんだ。

 第八条.「すべて国民は主体的に生きる自由を有する」。憲法でこんなことを定めたら、司法の指導が困難になる。

 第九条.義務教育の内容を憲法で規定するのは、教育の現場の負担を大きくする。

 「国語と古典素読、歴史と神話、修身、武道及び政治参加の教育は必修とする」。極めてよくない条文。優秀なエンジニアの養成をさまたげる。

 第十条.食料の自給自足の完全充足を義務付ける条文。負担が大きく、柔軟性に欠けるうえに、実行不可能である。

 第十一条。医薬品の内容を公開できるわけがない。

 第十二条。人口政策を限定している。柔軟性に欠ける。

 第十三条。選挙権を十六歳とするのは早すぎる。被選挙権を十八歳とするのも早すぎる。このような年齢は、たくさんの事象の蓄積を見て決められているもので、一歳動かすのにも慎重でなければならない。

 第十五条。国防の方針は、国が決めているとは限らない。国防に迷惑な条文。

 第十六条。報道の義務をさらに増やしている。負担が大きいし、こんなことを強制してはいけない。

 第十七条。国が戦争のために経済を育てることをいっている。危険思想であり、平和思想に反する。

 第十八条。エネルギー政策を限定させ、柔軟性を減らす条文でよくない。

 第二十条。「自衛軍」という呼称は「自衛隊」と一文字ちがう。一文字を修正するのにたいへんな労力がかかるので、「自衛隊」のままの呼称のがよいだろう。

 第二十一条。「外国の軍隊は、国内に常駐させてはならない」。在日米軍を考えると、実行不可能である。在日米軍との衝突の原因になる。

 第二十三条。「政党の情報を提供しなければならない」。政治家の政治闘争を有利にするように憲法条文に入れている。こんなことを憲法で定めれば、政治は機能しなくなる。

 第二十九条。中央銀行は、国が監督するものではない第三機関である。この憲法を作った人は、経済学に詳しくないようだ。

 国の金融政策が国際機関の干渉を受けないようにするのは不可能である。実行不可能な憲法だ。

 第三十条。「財政は、通貨発行により資金を調達することを原則とする」。MMT経済政策に近い。税金を徴収しない国家のようだ。夢想国家であり、こんな国を運営できるかはかなりの賭けになる。中央政府だけで、毎年、120兆円の貨幣を発行することになり、貨幣政策は大きく歪み、ハイパーインフレになると思われる。

 以上。


追記。


 貨幣とは、労働の裏付けを持って初めて価値を持つのである。労働の裏付けを持たない貨幣は価値をもたない。参政党は、働く人の敵である。机上の空論で考えた現実性のない経済観をしているといえる。

 参政党は、無職のための政党なのだろうか。国民を全員、無職にするための憲法だといえる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ