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ちゅうに探偵 赤名メイ  作者: 神有月ニヤ
44/53

⑭′′

《ちゅうに探偵 赤名メイ⑭′′》


「私は、いつものください」


赤川は席に座るなりマスターに注文をしていた。


いつもの?やっぱり赤川はここの常連なのか。


マスターは彼女の注文を受けると作り始めた。俺と同じタンブラーグラスに、瓶の表記からテキーラを入れたのは分かる。後は何か緑色のリキュールを入れ、ほんのり黄色掛かった液体を入れ、最後にパイナップルジュースを入れていた。


何だ、あのカクテルは・・・?


先程マスターに教えてもらった楽しさから、他のカクテルへの興味が沸いていた。そうこうしているうちに、赤川が注文したカクテルがコースターと共に目の前に出された。次いでお通しのナッツがカラカラと音を立てて置かれ、俺たちは乾杯をした。


『お疲れ様、乾杯』


キンッと甲高い音が店内に響き、俺は再び『エル・ディアブロ』を口に運んだ。


「赤川が注文したのってどんなカクテルなんだ?」


「ん?これは『エバ・グリーン』っていうカクテルよ。私が最初にこのお店に来た時にマスターにお任せで作ってもらってからずっと飲んでるの。美味しいわよ?」


と一口飲んだカクテルを俺に差し出した。俺の喉がゴクリと鳴った。それは赤川が口を付けたグラスだったからか、未知の味のカクテルを勧められたからかは分からないが、俺はタンブラーグラスを受け取った。


俺は中学生か。


とツッコミを入れながらも一口飲む。口の中に広がったのはミントの爽やかさ。パイナップルジュースの酸味と混ざり、何とも心地いい爽快感が鼻を抜けた。


これも美味い。女性が好きそうな清涼感だ。


一口味わい、赤川に返すと、嬉しそうにまたグラスを傾けた。


っと・・・、酒を飲み始めるとトイレが近いな。


俺は尿意に席を立とうとした。


「トイレ?その奥よ」


察してくれたのか、赤川は指を刺した。


「ん」


トイレに入ると、中はモダンな雰囲気が広がっていた。見惚れながらもほろ酔い加減で用を足そうとしていると、1つ思い出した事があった。


「そういえば・・・」


それは、ジャケットの内ポケットに入れられたボイスレコーダー。何か証拠を掴むためにピンクガーデンこと桃園から持たされた物だった。小さく、ボールペンの様な物で、一目見ただけだとそれとは分かりにくい。探偵の必須アイテムらしい。起動の仕方は、ノック式ボールペンみたいに頭のポッチをカチッと一押しするだけ。これで最長15時間の録音が可能だ。単4電池1本で、この小ささでの録音時間は満足できる。


これで良いんだよな?


俺はボイスレコーダーの頭部分を一回カチッと押した。どこかが光る、とか、音がする、とかは全くない。少し不審がりながら、用を足し終えると、再び俺は店内へと戻った。


「おかえり」


「ん〜」


俺は曖昧な返事をしながらも、内心緊張していた。そして切り出す。


「そういえば、俺に話したいことがあったんじゃないのか?」


俺の言葉に表情を暗くする赤川。余程の事なのか、タンブラーグラスを握る手が強くなるのを感じた。彼女は、少し言葉に詰まりながらも答えた。


「・・・ここ2、3日の事だと思うんだけど・・・。誰かに後を尾けられてると思うのよ」


ん?あれ、これって・・・。


「私が家を出た時から、家に帰るまで・・・。これって、ストーカー・・・なのかな・・・?」


ブラックサンダーの事だよなぁ・・・。バレてますよぉ・・・。


俺は落胆混じりに溜め息を吐いた。

昔から勘の良い方では無かったであろう幼馴染からの発言に、俺は探偵の大先輩に対して溜め息を吐いてしまった。


なんと言うべきか・・・。


考えた末に出した答えは、これだった。


「・・・気にしすぎじゃないのか?」


「そうなのかなぁ〜・・・」


赤川は肘をテーブルに乗せて溜め息を吐いた。何か待ってた答えと違ったのか、彼女はあからさまに不満そうな顔をしていた。ブスーッとする赤川を尻目にカクテルを口に運ぶ。相変わらず美味いままだった。


って、アレ・・・?


俺は体に起きた違和感にすぐ気付いた。が、気付いた瞬間には既に遅かった。そして横に座っている赤川を睨み付けた。


「お前・・・な、にを・・・」


強烈な睡魔に襲われ、俺の記憶はそこで途絶えた。



「・・・・・・・・・」


あれから何時間経ったのかは分からない。俺はコンクリートの冷たさで目が覚めた。


「ん・・・。あれ、ここは・・・、どこだ?」


見慣れない場所に、パニックを通り越して冷静になっていた。


《ちゅうに探偵 赤名メイ⑮′′》へ続く。

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