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輝く君へ  作者: P4rn0s


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15/15

また、もし、いつか、やっぱなんでもないよ

日が傾き、坂道には長い影が伸びていた。

今日も僕は、ひとりで坂を下る。

風が制服を揺らし、遠くから自転車のベルの音が届く。

前まで隣にいた彼女の笑い声は、もう届かない。


交差点に差し掛かる。

左右を見渡すけれど、彼女の姿はない。

その瞬間、胸の奥に小さな穴がぽっかりと開いたような感覚が走った。

けれど不思議と、泣き出したくなるほどの痛みではなかった。

ただ、静かに、確かに、何かが終わったことを感じた。


歩きながら思い出す。

彼女と並んで下った坂道、交差点で交わした何気ない言葉、手を振る仕草、ちょっとした笑い。

すべては甘く、あたたかく、だけど今となっては遠く霞んでいる。

その思い出は、胸の奥にそっと残されたまま。

いつまでも手の届かない場所で、僕だけが抱えている。


家の扉を開ける。

部屋は静かで、夕陽の光がほんのり机の上に差し込む。

ノートを開くけれど、言葉はなかなか出てこない。

それでも心の中で、彼女に話しかけるように小さく呟く。


──元気でいるかな。

──笑ってるかな。


答えは返ってこない。

けれど、この問いかけをやめることもできない。

それが、僕にとって最後に残された彼女との接点のように思えた。


夜が深くなり、窓の外の町の灯りが一つ、また一つと灯る。

僕は静かにノートを閉じ、ベッドに横たわる。

明日もまた、放課後に彼女がいるかどうか確かめたくなるだろう。

でも、その日が、もうないかもしれないということも、心の片隅で知っている。


そして眠りにつく前、最後に思う。

坂道を並んで歩いたあの日々は、きっと二度と戻らない。

けれど、確かに僕たちはそこにいて、笑い、話し、隣を歩いていた。

それだけで、十分に甘く、静かに胸を満たす日々だったのだと。


風の音だけが窓の外で揺れ、僕は静かに目を閉じる。

彼女の存在は、もう手の届かないところにあるけれど、

それでも、心の奥深くでずっと、たゆたうように残り続けるのだった。

ただ、一歩踏み出せば。

ただ、がむしゃらになれたら。

ただ、君をもっと好きでいたら。

また、未来は変わっていたのかもしれませんね。

いや、まだ届くのに手を伸ばさない。そんな彼にこんなことを考える資格はないのかもしれませんね。

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