12話 俺の騎士
ガルスとアイクは学院の正門で明日以降の予定をもらい、スミスが馬車を呼んでくるのを待っていた。
「なぁなぁ、ホントにこれからどこ行くんだ?ちょっと話すだけだろ?馬車なんか乗る必要あるのか?」
「なんか質問ばかりだな。そうだな、これからお前と私は一緒にの私の部屋へ行くつもりだ。」
「ふぁっ!?」
つい変な声を出しちゃったよ。え、部屋?なにこいつまさかあっち系なのか…付いていって大丈夫なのか?
「おいおい、なんか変な勘違いしてるみたいだから言っておくけど、私はこれでも一応皇太子だからな、そこら辺の店にふらっと入るわけにもいかないのだよ。という事で部屋に行くんだ。分かったか?」
「お、おう。とりあえずは…」
そんなくだらないことをしていると、
「殿下~、お待たせ致しました。どうぞお乗りください。」
「うむ。おい、ガルス乗るぞ!」
「お、おじゃまします。」
「よし、出発だ。」
「かしこまりました。ハイヨッ!」
スミスは御者台で馬に鞭を打つ。
「ま、30分後ぐらいには王城に着くだろうからそれまで寛いでいてくれ。」
「わ、分かった。」
なんかすごいあっちのペースに乗せられてるな…まあ、最悪何かしてくるんだったら潰せば良いわけだしここはお言葉に甘えて寝ておくか。
俺は馬車に揺られながら眠りについていった。
「ガ…、…ルス!」
誰かに名前を呼ばれている気がする。
「おい、ガルス起きろ!着いたぞ!」
「お、わりぃ、着いたか。今降りるよ。」
久しぶりに寝こけてしまったようだ。こんな体たらくじゃ師匠に怒られてしまう…あの地獄の五年間ではこんな安全に寝れなかったからな。気を引き締めないと!
俺は馬車を降りるとそこにはこのバトリシア王国の象徴でもある王城がそびえ立っていた。やっぱ、城ってこうじゃなきゃな。
「アイクって本当に王太子なんだな~すげぇな。」
「お前…本当にってなんだ、本当にとは…」
アイクは呆れたようにいうと、その横ではスミスは苦笑を浮かべている。
「とりあえず、私の部屋に行くからしっかり付いてこいよ!迷子になられても困るからな。」
そういって、アイクは王城の中へ進んでいった。
王城の中には価値を測ることもできなそうな調度品が廊下に並べてありそこを見るだけでもなかなか時間を潰せそうだった。また、メイド姿の女の人がたくさん働いていたり騎士の人が見回りをしていたりと俺は今異世界にいるんだなと改めて実感していたりする。
しばらくアイクに付いて歩いていると、ある部屋の前で立ち止まった。
「ん?ここがアイクの部屋か?」
「そうだ、今開けるからな。」
そういって、部屋の扉が開かれた。
アイクの部屋には執務をするための机と椅子、ベッド、お茶をするためのテーブルなど必要なものしか置かないような部屋になっていた。
そして、アイクはスミスに茶の用意をさせ、俺とアイクはテーブルに対面して座った。
「それでだ。話ってのはなんなんだ?」
俺は単刀直入に聞いた。わざわざこんなところまで来たんだ。かなり大きい話なんじゃないかと思っている。
「ああ、話というのは………俺の騎士になってくれないか?」
やっぱり、こいつはあっち系なのか!?
俺の騎士って…なんか、えっ!?
「おい、まさかだと思うがまた誤解をしてないか?はぁ、もう一度言い直すぞ。俺直属の騎士になってくれないか?」
「というのは、お前の護衛をしろってことか?」
「まあ、そういうことになるな。」
「なんで、俺なんだ?お前にはスミスがいるだろ?それか騎士団みたいなのから引っ張ってくればいいじゃんか。」
「それがだな…スミス説明してくれ。」
なんだよ、自分のことは自分で説明すれば良いのに…
「はい、それでは私、スミスが説明させていただきます。確かに本来であれば騎士団や他の貴族の子供で腕の立つ者を付ければ良いのですが、条件としては殿下を守ること、つまり殿下より強い者を付けるのが望ましいのですが、なにゆえ殿下は他の貴族の子供たちより強いということもありダメなのです。また、他の条件としては、学院に滞在中も守れなければ騎士とは呼べません。なので、騎士団から選ぶとすると学院では守ることが出来ても、学院内では万全の体制を整えることは不可能なのです。以上の理由を持ちまして、殿下はガルス殿にこうやって頼んでいるわけです。また、私は一応雑務を行う執事的な立場だと思っておいてください。」
ふーん、アイクは他の子供たちよりは強いのか。このスミスもなかなかの強さに見えるけどな。
「それで、どうだ?引き受けてはくれないだろうか…」
アイクが聞いてくる。
うーん、別にダメな理由もないがちょっとめんどくさそうなんだよな。
「うーん別に引き受けるのは構わないが面倒くさいのはイヤだぞ。」
だって、礼儀とか知らんし。
「めんどくさいのは嫌か…何か面倒くさいことはあっただろうか?」
アイクはスミスに聞いてみる。
「いえ、学院内で護衛する分にはそこまでなにもないかと。ただ、他の貴族の子供たちがあまり良い顔はしないことが予想されます。」
むっ?それはイヤだぞ。確か…なんだっけ名前が出てこないな。とりあえずそういうやつらに絡まれるのは嫌だな。
とそういう旨をアイクに伝えると、
「そうか…ならいっそ父にこのことを話し、王命としてガルスを騎士として任命させてはどうだ?」
「そうですね。王命であれば、文句をつければ不敬罪ですからね。それは良い考えかもしれません!」
「そうか、なら今から父に話に行こう!」
えっ?アイクの父に話しに行く?父ってこの国の王ってことだよな。なんか話が急展開すぎてついていけないんだが…
「よし、そうと決まれば謁見の準備だ。誰か!父に取り次いでくれ。」
とそんな感じに俺の意見は全く聞かず王と謁見することになりました。
これってめんどくさそうなんだよな。騎士になるのやめようかな…
読んで頂きありがとうございます。
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なかなか話しが進まず申し訳ないです。
なんだか細かく書いてしまうんですよね(*_*)
次回、「王との謁見(の予定です)」
お楽しみに!