第7話「グミグミ感謝の六重段論法ですわ~!」
おはようございまーす、パートツーですわ~!
真夜中のおはようございまーすですわ~! 本日もわたくし、わが城を抜け出して夜の闇へ溶け込んでしまいますわ~!(おコンビニ・カイグイへの常套句ですの) 夜の道はお日様が出ている時と違って見えるのは何故なんですの~? 少しは夜の道に慣れてきた気もしますけれど、そんなこと全然ありませんでしたわ~! 普通に緊張ですの~! 現実は想像より奇なり、ですわ~!
「この夜に聞くピコパンポコパンという入店音も非日常への扉みたいで楽しいですわ~! あ、いらっしゃいましたですの~ごきげんよう~!」
いつもならここで自分のためのお菓子を選ぶところですが、本日のわたくしはひと味違いますわ~! 本日は最近仲良くなったオメグミさまへのお礼の日。オメグミさまにはお弁当のお裾分けだったりおいなりさんの差し入れだったり、たくさんお恵みを頂きましたので、お礼のお菓子を仕入れようという魂胆ですのよ~! お金もちょっとずつ貯まってきたし、ちょうどよいタイミングですわ~! お嬢様たるもの、お恵みを受けたらお礼することは当然でしてよ~!
「しかしどうしましょう……やはりここは新味のおいもさんでしょうか。あ、ヨウカンも探すべきかしら……いえでもやっぱり……ってびくぅ!」
びっくりしましたわ~! 夜中に肩を叩いてくるなんて暴漢か山賊かおゴブリンだと相場が決まっておりますわ~! ですが振り返った所にいらっしゃったのはおゴブリンではなく……
「ぱぱぱ、パッツンさま~! どうしたんですのこんな時間に~! もしかしてカイグイですの~!?」
お主もワルよのうですわ~! やっぱりおコンビニ好きなんですね~! しかしパッツンさま、お持ちになっているのは文房具のようでしたの~! 申し訳ございませ~ん! ワルなのはわたくしだけのようですわ~! 流石は真面目なパッツンさま、おみそれ~!
「いえ実は……コウコウコレコレですの。オメグミさまが何を好きかご存知でしょうか?」
パッツンさまとオメグミさまは旧知の仲のように存じましたのでお聞きしてみたら大正解でしたわ~! オメグミさまはどうやら小さなコロコロしたお菓子がお好きなようですの~! 可愛らしいですわ~! わたくし最初は、少々おヤンキーの方かと思っておりましたが反省ですわ~! 人は見かけによりませんのよ~! もっともわたくしは見た目も中身もお嬢様ですけれども~! ごめんあそばせ~!
「それじゃあこういうちょこんとしたチョコレートとか。……パッツンさま、これはなんですの? ……グミ?」
グミ、なんですのグミ! なんだか可愛らしいお名前ですわグミ! 目には入っていたかも知れませんが認識したのは初めてですわ~! あなた普段何をなされているのかしら~? グミ、気になってまいりましたわ~!
「でもグミいっぱい種類ございましてよグミ……。どうしましょうグミ。お味がいっぱいあるのねグミ……」
グミどうしましょうグミ……今のところわかるのは、言いたくなるそのお名前だけ! 食べたことがないとなると、選ぶ基準がわからなくなってしまいますわ~!
「むむむ、どうしましょう。……え? なるほど、……パッツンさま! 天才の発想ですわ~!」
わからないなら今ここで食べちまえ作戦ですわ~! 幸いにもいろんなおフルーツの味が入っている袋がありましたので、こちらをわたくしチョイスですわ~! わたくしおフルーツは大好きですの~! こちらを頂いて美味しかったおフルーツの味のものをオメグミさまにプレゼントフォーあそばせ~! 完璧ですわ~!
「やっぱり夜にお店の前で食べるのって緊張しますが……それでも我慢できませんいただきますですわ~!」
最初はぶどうの形をしたぶどう味のグミですの。こんなの誰が見たってどの味かわかる、きっとこちらのグミをお作りになった人は親切の権化ですわ~! これでりんご味でしたらきっとわたくし人というものを信じられなくなりますの~!
「え、なんですのこれ……面白い歯ごたえ……こ、これは――くっそうめえですわ~!(夜なので控えめに言っておりますわ。ご安心を)」
類を見ない食べ物ですわ~! 最初は固くてびっくりしますのに、かみかみしているうちにだんだんやわこくなって、お口の中に居場所を見つけたみたいに馴染んでまいりますわ~! も、もしかしてこの方、お口の中でグミグミするからグミと言うんですの~!? おネーミングのセンスや口当たりまでお可愛いのは反則ですわ~!
「続いてオレンジの形をしたオレンジのグミ……こ、これもうっめえですわ~! というかこの流れだとまずいものなんて存在しませんわ!」
おフルーツは美味しい。グミも美味しい。となるとおフルーツのグミは美味しくないわけない。 お嬢様三段論法と二重否定文、夢のコラボですわ~! こんなの六重段論法否定文ですわ~!
「決めましたわパッツンさま、わたくし一つに絞らずこのお味がたくさんのカラフルフルーツグミをプレゼントしますの。同じものを買ってまいりますわ~!」
即決ですわこんなの~! グミであれば、もはや消しゴム味でも美味しいのではなくって~!? でもよく考えたら消しゴムは美味しくないのでさきほどの論法は不成立ですわ~! 聞かなかったことにしてくださいまし~!
「お待ちいただいて嬉しいですわパッツンさま、買ってきましたの~! 明日オメグミさまにプレゼント致しますわ~!」
これ万事オーケーですわ~! パッツンさまのおかげで素敵なお買い物が出来ましたの。おコンビニはお高いですが、種類が豊富でごほうびに最適ですわ~! わたくしいつも頑張って参りましたので、これを「頑張った自分へのごほうび」として世に広めることを誓いますわ~!
翌朝ですの。
「おはようございますわ~! あくびもキュートなオメグミさまごきげんようですわ~!」
オメグミさま、相変わらず朝はお眠そうですわ~! そんな時にはこれ、ですわ! おバッグをまさぐりまさぐり。
「ふふふん、オメグミさま、じゃん!ですの! こちらオメグミさまにプレゼントですわ! 日頃の感謝を込めて、わたくししっかり選びましたの~! おいしいやつです~」
オメグミさまはおねむのまなこを少し見開いて、グミをひと粒つまんでぱくりとなさいましたわ~! そしたらすぐ、ぐっと一発サムズアップをくださいましたわ~! やりましたわ~! これは完全勝利ですの~!
「喜んでいただけて嬉しいですの~! あ、パッツンさま。ありがとうですの喜んでもらえましたわ~!」
ですがここで終わるのはあまりにお嬢様が不足ではなくって? うふふですの……。
「はい、こちらはパッツンさまの分ですわ~!」
わたくしが感謝すべきはオメグミさまだけじゃありませんわ~! 実はパッツンさまの分も買っていたんですの~! もちろんお味がたくさんカラフルフルーツグミ、味は折り紙付きですわ! なぜなら昨日も食べたし今朝も食べたんですもの~! これ以上の説得力はどこを探してもございませんわ~!
「気にしないでくださいましパッツンさま! むしろ、遅かったくらいですわ~! いつもありがとうございますですの~!」
おほほ、ごめんあそばせ~! そんなぺしぺし痛くないですわ~! でも喜んでいただけてわたくしも嬉しいですわ~! 初めてやりましたがおサプライズ、素敵なお心遣いですわ~!
さて、お二人に喜んでいただき万々歳――で終わりではございませんわ~! 実は昨日買ったグミ、わたくしも残りを持ってきたんですの~! これでご一緒に楽しめますわ~! あら空気の読めないキンコンカンコン。すぐ朝のホームルームが始まってしまいますわね……。
でしたら授業中にちょっとずつ食べちゃお~ですわ~! 我慢なんてお嬢様のやることではないんですのよ~! ……でも、こそっといただきますわ。それこそがお嬢様ですの。センセイに怒られたくありませんので~!




