表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/3

ep.3 ム仕返し

 暖かい季節、特に夏は身近に恐ろしい奴らが巣くっている。

 蒸し暑さに体力を奪われる中、ソイツは現れた。


 ーーブゥゥン。

 思わず振り向くと、開けっぱなしのドアの奥を小さな影が横ぎる。

 小さいと言っても耳元に寄っている奴じゃない。羽音もやや低かった。こうなるともう大変だ。


「今のなに? ハエ、まさか蜂じゃないだろうな」


 連中は素早い。不意打ちの一瞬で判別するのは不可能だ。

 ただ、明るい時間帯なのは幸いだった。毒持ち野郎てないことを祈りつつ対処に動く。嬉しいことに、ソイツは蜂ではなかった。


 後日、夜間に新たな刺客が現れる。

 数多の通り名をもつビックB。水を飲みにキッチンへ行き、灯りをつけた時だった。不覚にもかなりの接近を許してしまう。


「くそぅ、いつもいつも驚かせやがって」


 都合よく奴がいるのはシンクだ。逃げる気がないとは生意気な。

 頭にきて、殺虫剤を取りに行く時間を惜しみ、近くのポットから湯を得る。


「くたばれぇい」


 容赦なく上から湯をぶっかけた。これが驚くほどよく効くのだ。

 そんなこんなで、日々、人虫大戦を繰り広げていた。


 ある日のこと、見知らぬ森の中で目を覚ます。

 どうにも記憶が一部飛んでいる。なぜ、こんな所にいるのか。


「おいおい、誰が運んだんだよ」


 悪ふざけをしたバカはどこのドイツだ。

 文句を言ってやりたいが堪えて、帰り着くために森を歩く。


(これといって特徴のない森たなぁ)


 彷徨ううちに陽の光が弱まっていった。

 木々の間に居座る影が濃くなる。やがて完全に陽が落ちてしまう。

 ーーパキッと響いた音に肩が跳ねた。枝を踏んだらしい。


「困ったなぁ」


 うっかり暗くなるまで歩いてしまった。これでは火を起こすのも難しい。

 視界が悪く、道具もない。なぜか直前まで持っていた筈のスマホが消えていた。

 途方に暮れていた、その時ーー。


 ーーガサ、ガサガサ。

 何かが茂みの草葉を揺らす。しかも複数いるようだと音で知る。

 ポツポツと小さな光が見えてきた。青や緑、紫にオレンジと様々な光の群れが闇に蠢く。


 次の瞬間、パァと天から光が差す。

 目にした光景に鳥肌が立ち、総毛立つ。なぜならそこには、大小の虫が無数に獲物を睨んでいたのだから……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ