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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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ここは何処だろう

 次の瞬間には俺は、怒号と金属の……恐らく鎧が擦れる音の中に放り込まれていた。厳つい男や女達、更には突撃してくる馬やら魔法の矢などを無防備のまま、目一杯浴びた挙句に倒れ、ぐちゃぐちゃに踏まれまくる。……しかし、ちょっとかゆいくらいで一切痛みがないのは、俺が超高レベルだからだろう……。今戦ったエアーもレベル100は余裕でありそうだったが、全然脅威でも何でもなかったもんな……というかここは何処だろう……容赦なく馬やら重装歩兵が次々俺を踏みつけていく。とりあえず起きるか……よっこらせ。


 重装歩兵達を数名吹っ飛ばしながら起きる。そして視界の邪魔なので周囲の兵士を投げ飛ばしまくりながら辺りを見回すと、どうやらここは戦場のようだ。そしてこの場所には見覚えがある。ウィズ王都のヘグムマレー邸の超広大な庭の中だ。遠くに見える大きな鉄門は入り口で、逆方向には煙が上がっている街と城のようなヘグムマレー邸も微かに見える。周囲の無数の兵士達は雪崩のようにそちらを目指し進軍しているのも分かった。


 どうすっかな……などと思いながら襲いかかってくる重装歩兵や騎兵を鎧をぶち壊しながら殴り飛ばし、投げ飛ばし槍や剣を折ったり、盾を割りつつ吹き飛ばしたりしていると、ヘグムマレー邸の方から高速で一人の女性騎士が駆けて来る。

「ナラン!!あたしとあの時の勝負の続きをしろ!」

またたく間に近づいてきたので、よく見ると虹色に鈍く光る鎧も、抜き身の彗星剣レプリカも全て血まみれのエアーだった。俺は何となく悲しくなってしまう。


 エアーは俺を剣で指すと

「フェニックスフレアを撃ったあと!お前はずっと行方不明だった!今度こそ逃げないであたしと勝負しろ!」

なんでだろう。血まみれのエアーを見ていると悲しみがあふれ出てくる。彼女は間違った……という考えが頭をグルグル回る。急に頭の中からボニアスの声が

「極大魔法のエネルギー放出を利用して、女神がお前をこの未来に強制時間移動させとる。その悲しみの感情は女神のもんじゃ。惑わされず目前の敵をボコボコにすればよい」

「……分かった」

何がわかったのかほぼ分かってないが、とりあえずエアーとの決着をつけよう。


 エアーは彗星剣レプリカを両手持ちすると腰を落として構え、凄まじい殺気を俺に向けてきた。先程戦った時より二十くらいレベルが上がっているようだが、脅威は全く感じない。エアーは全身を虹色に発光させ、深く踏み込むと空間を切り裂くような凄まじい斬撃を放ってきた。


 だが、俺は既にヌルリとエアーの左斜後ろに回り込んでいた。腰を落とし深呼吸して思いっきりエアーの虹色の鎧の背後に向け、ストレートパンチを叩き込む。エアーの鎧はひび割れ、そのまま冗談みたいに空の遥か彼方まで吹っ飛んで行った。

「……」

マジか……ちょっと本気出したらコレかよ……超高レベルの世界やべえな……。周囲で遠巻きに見ていた兵士達は固まって、大の大人が恐怖で大きく震えながら盛大に漏らしている者まで複数名見える。そりゃ、こんなモンスターが戦場に突然出現したら怖いよな……。またボニアスの声が

「この未来の!サナーちゃんとヘグムマレーのジジイを探すんじゃ!突っ立ってないでさっさと屋敷へ行け!」

急かしてきた。俺は頷いて走り出す。

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