パレード
真っ黒な空間に俺は立っていた。次の瞬間には目の間に照明が当てられ、自分そっくりな男が俺と同じように立っていた。彼は憎々しげに俺を見て
「ナラン、もう諦めろ。お前の冒険はここで終わりでいい」
俺は黙って前に出ると、男は怯えた表情で照明から一歩下がり、代わりに俺に明かりが当たる。逃げようとする男の右手を捕まえ、身体ごと引き寄せると
「クソッ……あと一歩だと言うのに」
男はそう憎々しげに吐き捨てながら、一瞬、顔も形も崩れた後、俺の身体に吸い込まれ、跡形もなく消えた。
……
目を覚ますと、ベッドの上だった。上半身を起こすと床に身をかがめジッと俺を見つめていた黒装束のサナーが驚いた表情で
「戻ったあああああ!」
俺に抱きついてきた。
「……戻った?」
サナーは嬉しそうに頷くと
「うん!中身がずっとナランじゃなかった!戻って良かったあ!」
「……そ、そうか」
すげえな……俺だったらサナーの中身が違っても絶対に分からない。サナーは涙ぐみながら
「あ、あのさ……金髪女は檻車の中だから、ちゃんと子作りしない?」
「……ノヴェナさんとやっただろ……」
現実世界に戻ったらいきなりこれですか!サナーは納得いかない顔で
「滅茶苦茶下手だったんだよ……ちっとも気持ちよくなくて、た、多分、子種も貰えてない……」
「……」
衝撃の真実がまた明かされてしまった。サナーの子供に転生するはずのシーネはどうなってるんだろうか……。
「教国に着いてから何日経った?」
サナーはいそいそと黒装束を脱ぎながら
「ちょうど1週間……パレードが、かったるくてさあ……明日、ようやく首都の教都なんちゃらってとこに着く。ここは宿泊所」
「そうか……」
全て脱いだサナーはベッドに仰向けになって、両足、両手を左右に広げ
「いつでも受け入れできるぞ!」
そう言ってきた。
謎ポーズをしているサナーを横目に考える。これは困ったことになった……ノヴェナが失敗していたとは思ってもみなかった。突然、頭の中で女神の声が
「子種を子宮にワープさせるわ!とりあえず抱き合ってあげて!」
などと無茶なことを言ってくるが、もはや俺の中で女神の信用度はゼロなので聞かなかったことにする。途方に暮れていると、扉が開いて目を閉じたリースが入ってくると、手に持った折り畳まれた厚紙で、サナーの頭を
「スパーンッ!」
小気味良い音で叩いた。そして目を閉じたまま自らも脱ぎだし、更に俺の服も手際よく脱がせると、ベッドに押し倒した。
な、なんだこれ……と思う暇もなかった。それからはリースが完全に俺達2人をリードする形で3人で絡み合い続け、俺は、別の生き物のように艶かしく蠢きながら連携してくる2人から容赦なく絞られまくり、朝になる頃には干からびるように意識を失っていた。
そこからはよく覚えていない。多分、朝にはリースはベッドに居なくて、頬を染め、やる気に満ちたサナーに手を引かれ、食堂らしき場所で朝食を取り、そして外へ出て、檻車の御者席に座った気がする。ローウェルが御者のアン王女の檻車と並んで、大通りに出ると大群衆が泥でなく、花や花びらを撒き、そこら中で、魔法の火花が打ち上げられるという大げさなパレードが始まった。
殆ど夢見心地で御者をしていると、後方に馬車に乗ったウィズ国王とミャーマ、そして黄金の近衛騎士団が並び、更にパレードは派手になるが、更に遅々として進まなくなった。俺はもはや何が何だか分からないので、ボーッした頭で馬の手綱を握っていた。




