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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高次元存在の調査開始

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剣のスキル

 薄暗い倉庫内で、起こしたリースと共に戦闘の準備をする。リースは黙って槍を組み立て、俺は腰に提げた彗星剣をいつでも鞘と剣の二刀流や、鞘に入れたままの打撃で戦えるように心構えをしていると、ミヤとビャクダイインジと携帯端末を見ながら話していたアンジェラがその光る画面を見ながら

「最上階まで4階層あって、2階にヘッドベヒーモス1人とベヒーモスが3人、3階にヘッドアークデーモンとアークデーモンが1人で……4階が1人で……あら、エンマ級居たっけ?」

不思議そうな顔をビャクダイインジに向け、彼女は苦笑いして

「元最高裁判事のゴウダイゴウさんだよ。知らないかい?二百年前に引退した。なんかね、気楽な引退生活を地上で送りたかったらしくて、三十年前くらいに自分から来た。魅了にもかかってない」

アンジェラは困った顔になり

「あー……ここは説得が必要かも」

俺がアンジェラに

「あの……エンマ級って始めて聞くんですけど……」

尋ねると深刻な表情を向けられ

「我々の国は、三権分立と言って、国会による立法、政府による行政、裁判所による司法は分けられていて、その司法の最高位に居るヒト達をエンマ級と言うの」

「……強いんですか?」

アンジェラは真顔で深く頷いた。ミヤが笑いながら

「大丈夫!ナラン超強いから!ほらピース!」

携帯端末を向けてきて、ピースサインを返すと

「ヨシッ!」

片足を上げた変なポーズで俺達をビシッと指差してきた。


 ビャクダイインジが倉庫の扉を開けると、薄暗い通路は人けも装飾もなく閑散としていた。アンジェラ達によるとここは地下一階らしい。ビャクダイインジとアンジェラ先頭で進んでいくと、下水道と同じような石階段が見えてきて2人は登ろうとして一旦止まり、俺の背後まで後退してきた。階段に何か居るらしい。俺が単独でゆっくりと上って行くと、踊り場で鉄の黒い塊をこちらに向け構えた黒服のヒト女性が「パスッ、パスッ」と気の抜けた様な音をと共に何かを撃ってきた。


 背後の壁が割れた音が微かに聞こえたが、俺は黙って女性の真横に距離を詰め、彗星剣の鞘で後ろ頭を突いた。女性が気絶するとアンジェラ達が駆け寄り、いつもの手帳を見ながら

「サトウウさーん、聞こえますかー国から救出に来ましたー」

とやり始めたので、俺が上って来たリースと階段の先を警戒していると、ミヤが携帯端末をアンジェラ達に向けながら近づいて来て

「ナラン、これ、銃だよ。知ってる?」

俺の足元に転がる鉄の黒い塊を見る。リースがサッと拾い上げると

「……これ、貰って良いかな?」

「どうかなー……凄い殺傷能力高いから、姉貴に聞いた方が良いよ」

アンジェラの方を俺達3人が見ると、正気に戻ったヒトへの聞き取りを一旦止めてこちらへ来ると

「ごめんね。国の規程で地上に残せないの。壊しておくわ」

リースから渡された鉄の塊を握ると、瞬時に鉄の砂へと変え、パラパラと振りまいた。リースは少し残念そうな表情になるが、ミヤはホッとしていた。


 正気に戻った黒服のサトウウという女性とビャクダイインジの案内で、一階端の人けの無い廊下を慎重に進んでいく。城内は広く、壁には古びた絵画が幾つも飾られているが、王族らしき男女の顔は全て黒塗りされ消されていて、不気味だ。ビャクダイインジが

「マリオンヌやルイジアネート、ピーチャフラ女王が描かれてるはずだけど、五十年前の最初から黒塗りだったねえ」

サトウウも頷く。


 不気味な廊下の先の階段を上るとシャンデリアが吊られたホールの左に出て、その奥には3階への階段が見えているが、階段の手前では筋肉質な女性のヒト達が、タンクトップとショートパンツ姿で腕立てや、腹筋をして身体を鍛えていた。肌色は赤青黄色に紫だ。ビャクダイインジとアンジェラは構わず近づいていく。


 2人が近づくと、女性のヒト達は4人は立ち上がり、黙ってこちらへと向かってくる。紫肌の小柄で黒髪女性が俺達を睨みつけながら

「侵入者か」

アンジェラは頷いて、黙ってビャクダイインジと共に俺の後ろまで下がる。俺は彗星剣を鞘に入れたまま両手持ちして腰を落とした。


 勝負は恐らくは一瞬だった。恐らくというのは俺には途方もなく長く感じたからだ。4人は上下左右の四方向から空を切る音をさせながら、かかと落とし、飛び蹴り、ストレートパンチ、まわし蹴りを正確に俺目掛けて打ち込んできた。俺は微かにバックステップして全て避けると、まずまわし蹴りしてきた大柄な黄色肌のヒトの頭を彗星剣の鞘部分で殴り、そのまま左回りに身体を回転させながら飛び蹴りで横を通り過ぎていった赤肌のヒトの身体に叩きつけ吹っ飛ばし、その回転した力を利用しながらグルグル回って、自然に手首を返すと小さな竜巻の様な不思議な剣筋が発生し、残りの2人を巻き込んで流れる様に何発も打撃を叩き込み、ダウンさせていた。


 俺が大きく息を吐くと、筋肉質なヒト女性達は全員床に倒れていて、リースが槍を持って突撃しようとして慌てて立ち止まる。アンジェラはビャクダイインジ、サトウウと共に倒れた4人に声かけを始めた。ミヤが携帯端末をそちらへ向けながら駆け寄ってきて

「凄かったよ!ハリケーン斬り!みたいな必殺技いつ作ったの!?」

「いや……自然と出てきた……剣のスキルじゃないのか?」

「すごー!ナラン強くなったね!リースちゃん!」

「そ、そうね」

俺はとりあえず、無傷だしリースが怪我がなかったので良かったと思う。

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