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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
特定監視対象スキルの観察とデータ収集

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パレード

 アンジェラとヒト達が戻ってきて、割れ眼鏡をかけた男のヒトが

「ナラン君、だったね?」

「はい。頭、大丈夫ですか?すいません」

「石頭でね。気にしないでおくれ。目を覚まさせてくれてありがとう」

女のヒト2人も頭を下げて来て、次はサナーにも謝りに行っていた。リースがその様子を見ながら

「まともよね。仕事人って感じ」

「仕事で、たまたま来ただけで五十年拘束って大変だよな……」

「寿命が長いとは言え、私たちで言う10年くらい人生無駄にした感じかもね……」

などと話していると、サナーと亡者達が俺達の横を少し離れて通り過ぎていき、この荒野から見える山々の頂の明かりを目指し、再び進み始めた。少し距離を置いて付いていく。


 その後、荒野を大人数で行進していると、百人ほどの武装した男女亡者の大集団が襲いかかってきた。しかし奮闘するサナーと助けに入ったリースのお陰で、半時間も経たない内に全員殴られて腫れた顔で正座させられていて

「サナー大司教!奴隷の我らをよろしくにゃん!」

一斉に言わされていた。大司教とか勝手に名乗って大丈夫かよ……と思うが、もう好きにやらせようとも思う。ちなみに戦闘への俺の加勢はローウェルから止められた。上級職が3人も居るとレベル差がありすぎてボコりすぎて良くないらしい。


 不吉な荒野をガヤガヤと喋りながら歩いていく亡者達とスケルトンの群れ、そして雑談しながら歩くアンジェラ達ヒト族の背中を見ながらリースとダラダラ進んでいくと、突然、最後尾のローウェルが後方を振り返りながら

「よーし!予定通りだ!派手に動いてたら、暗黒地帯東部地方のボスが来やがったぞ!」

前方へと大声をかける。嫌な予感がしていると、体長三十メートル程はありそうな漆黒のドラゴンが

「ヴォオオオオオ!」

明らかに怒り狂った咆哮と共にこちらへと羽ばたきながら降下しようとしていた。


 ドラゴン……あんなデカいの見たの初めてだ。どうすんだよ……無事では済まないだろ……と思っているとローウェルが仕方なさげに

「アンジェラさんはヒト以外は大きな干渉は出来ない、他のヒト達も同様。ナラン達は戦ったばかり、亡者共は賑やかし……俺の出番だよな……ああ……めんどくせえ」

ブツブツと呟き

「えっと、企業秘密の戦法使うから広範囲に煙幕を張る!見えねえが無事だから心配すんな!全員!その場から動くんじゃねえぞ!」

そう言うと、口から大量の煙を噴き出し始め、辺りが真っ白になり何も見えなくなる。


 リースと手を握りあって周囲の気配を伺っていると、轟音と共に数メートル横に稲妻が落ちて冷や汗が流れ出る。直後に頭上を熱線が斜めに通り過ぎていき、遠くで亡者達が悲鳴を上げた直後サナーの

「動くな!」

という一喝が響き、ほぼ同時に上空で花火のようなド派手な閃光と爆裂が響き渡り、更に俺達の周囲に轟音と共にまた稲妻が連続で落ちてくる。なっ……何なんだよ!いくら何でも怖過ぎるって!ローウェルとドラゴンはどんな死闘を繰り広げてるんだよ!


 俺が震えながらリースに抱きついていると、後方十メートル向こうに轟音と共にドラゴンが落下して来ると、その風圧で煙幕が晴れていき、うつ伏せで気絶しているドラゴンの身体の上で汗まみれのローウェルが両腕を振りながら

「サナーちゃん!解呪しろ!こいつも呪われてる!」

遠くのサナーに叫び

「分かった!お前ら解呪タイムだああ!」

「ひゃっはー!」

「待ってましたあ!」

叫びながらサナーと130人以上の奴隷亡者軍団が一斉にこちらへと砂煙を上げて駆けてくる。もう何が何だか分からん……暗黒地帯征伐って今までで一番派手な冒険かも知れない。


 130人以上のサナー大軍団による盛大なポポンにゃんダンスに囲まれながら、漆黒の鱗のドラゴンは無事サナーに解呪され、目を開けると、大きな頭の前に立ったローウェルが

「ピポイルの息子のポポイルよ。俺はローウェル、こいつらは悪魔も含めて味方だ」

ドラゴンは伏せたまま、微かに口を開けると

「……ふむ……ジン・スカイストリートは無事ではないか……」

「残念ながらそうだ。我らの団体は暗黒地帯の解呪をして回っている。この小さき勇士サナーはアンチダークフィールド持ちの上、神聖なる覚悟持ちだ。意味は分かるな?」

ドラゴンは大きな両眼で、腕を組んで仁王立ちしているサナーを見つめると

「……女神のご意思か……」

ローウェルは頷くと

「そうだろうな。ポポイルよ。我らと共に行こう」

ドラゴンは少し炎が混ざったため息を鼻と口から噴き出すと

「良かろう。しかし翼の怪我が癒えるまでは歩くぞ?」

ローウェルは満足げに

「充分だ。ゆっくり行こう」

と言った。


 ズシーン……ズシーン……と地響きをさせながらゆっくり四つ足で歩くドラゴンの背中に、サナーとナズナ、そしてローウェルが乗っていて、その後方にガヤガヤと130人のサナー軍団が続き、更にその後方をアンジェラと4人のヒト達が雑談しながら続き、最後尾に俺とリースが付いて行くという、もはや何なのか分からない賑やかな行列が、不吉な荒野を進んでいく。……これ、何……?何のパレード……?俺……確か暗黒地帯の解放に来たよな?これで良いのか……どんどん賑やかになってない?なんか疑問が拭えない。

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