第四話 忘れた絶望
現実の話目玉がないと直接の刺激がないと涙は出ないようです。
馬車の音も聞こえなくなり、人目も無くなったので、傷を全て治す。
絶望してる暇はない。すぐに復讐することは叶わなくなったけど、それでもここで生き残れば機会はあるはずだ……
手足をどうにか作ろうと魔力を動かしてみる。右腕から魔力を放出する感覚で。
っ……無理だ魔力が外に出た瞬間形になることなく霧散してしまう。
これは色々とやばい、目は未だ見えないし、手足は作れない。ここがどこだかわからないけど人はこなさそうだし、獣は来そう。身体強化していれば獣に食べられる可能性も低いけれど全身に一日中ずっと行うのは無理な話だ。私が飢えて死ぬよりも先に獣に食べられてしまう可能性の方が高い。気温は今は暑くもなく寒くもない。今は鈴虫が鳴いているから夕方か夜なのだろうか、虫の鳴いてる時間帯なんてしっかりと確認したことなどない。夜なら獣が活発になる。今がその時間なのか
大声で叫び続ければ誰か気づいてくれるだろうか、そもそもこんな森の中に人がいるのか。待ったって来ないかも知れない。寝たら終わりだ。獣に食べられるかもしれない。体力は温存したい。でも今ここで耐えてるだけじゃいづれ……
思考がネガティブな方向にどんどん動いていく、こんなところで終わりたくないのに。
拷問されて希望なんてなかった時を思い出す。どれだけの期間拷問に耐えたと思っているんだ。こんなことで絶望するなんて腑抜けたのか。そうだ、ここで諦めるなんてありえない。
とりあえずは視覚をどうにかしよう。魔力を外に出す、魔法として使えなくてもただ魔力として空気中に出す。まだ私はそれらを捉えることができるみたいだ。魔力が物体にあたると跳ね返る。その跳ね返りを見て、ここは木々一体で、私の右側は木々がない道だとわかる。左腕だけで這いずって道に出れた。視覚は魔力で補えたが、使う魔力量がすごく多い…魔力量には自信がある方だけど、ずっとは使えない。だけど一歩前進だ。
次だ。次は手足を形成しよう。何をどうすれば良いのかわからないけど…これまでみたいに、人の目なんてないんだからこれまで以上に、なんでも試せばいい。失敗しても諦めずにやろう。何か物音がしたらすぐに魔力を外に出して視覚の確保、獣だったら身体強化をしよう。とりあえずはこの方向で。
人が来るか、手足が形成できるか。どちらかでいいから体力が尽きる前に、上手くいって欲しい。
眠い。獣はどうにかなった。身体強化と治癒で難を逃れた。
森の中に引き摺り込まれそうになったが、左腕と体を使って木にしがみついた。
…今は何時だろう。魔力もなく。獣との意地の張り合いで体力も使った。緊張感で精神的疲労も溜まっている。もう、寝ていいかな。。獣に食べられたら痛みで気づけるかな…もう、ねむくて、無理…___________
「ーー!ーーー!」