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狼?いえ、フェンリルです  作者: 嫌奈 舐め子
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二十七話 我、勇者から逃げる>>2

よしっ!よしよしよしっ!


俺は喜びを抑えきれず思わず小さくガッツポーズをした。


エレーナちゃんが逃げる宣言をしてから十数分後。兎に角全力で撒くことに意識を費やした結果、後ろには残念勇者一行の影も形も無くなっていた。


今いる場所は屋根だし、これならもう上から登場なんて事もない。やっと逃げ切れたっ!


「あ……あの。セン、様」


『む?あっ!す、すまぬ!』


首根っこを掴まれてされるがままに振り回されていたエレーナちゃんの顔色は、青を通り越して白色に近くなっていた。


さっきの事は半分以上この子のせいだが、元々の原因は俺とあのバカなのだ。申し訳ない。


『すまぬな。エレーナよ』


「!?」


あ、何気に彼女の名前呼んだのって初めてじゃね?っていうか呼び捨てにしちゃったよ。だめだ「え?馴れ馴れしいんですけど」って言われる未来しか見えない。


反抗期の娘を見守る父親の感情はこんなもんなのかと思いながら、さっきから無言を貫いているエレーナちゃんをじっと見つめる。


「き……」


はいっ!キモい頂きましたー!!もう立ち直れねぇわ。


「きゃぁああ!初めて名前呼ばれちゃったー!!」


あるぇ?


「ありがとうございますっ!元気出ましたっ!!早速ドルムさんの元へと向かいましょう!」


う、うん。元気が出てくれたならそれでいいけども。


『怒ってない……のか?』


「え?何で怒るんですか? 」


『その、だな。呼び捨てにした事』


「へ?」


『あ、いや。いいならいいのだ。うん』


ダメだ。対人コミュニケーションの経験値が圧倒的に足りない。この事を聞くのはもっと後でもいいや。


切り替えて、今度はエレーナちゃんを運びやすいように、米俵を持つ容量で持とうとした時だった。


足首に何か違和感を感じて、思わず見た。


そして後悔した。


そこには俺の足を掴んだ勇者の付き人Aがいたのだ。


『ギ、ギャァアアアア!!!??』


あかん。これはあかん。俺のメンタルを殺しにかかってきている。心臓が飛び出るかと思った。


なんとか手の呪縛から逃れ、充分過ぎるほど距離を取った。


すると、付き人Aはゆっくりと立ち上がり、焦点の定まってない視点で頭をゆらゆらと揺らしながらこっちに近付いてくる。


正直言ってかなり怖い。


動きがゾンビ映画のソレとほぼ同じなのだ。


何が彼女をここまで駆り立てるのかが本当に分からない。


「オマエ。コロス」


いや、お前さっきまでまともに喋れとったやろがい。言語能力何処やった?


そんな事より、これと殺り合うのは不味い。いや、俺が精神面で色々ヤバい。


『エレーナよ』


「は、はい」


『飛ぶぞ』


「は、はぃいいい!!?」


俺はエレーナちゃんを担ぎながら再び思いっ切り跳躍した。



……


………


よし。結構飛んだな。


そろそろ着地を……


すると突然、下から尋常じゃないくらいの危険信号が近付いて来るのが分かった。これは……


「センちゅわぁあああんっ!!」


バカ勇者だっ!!


下から思いっ切りジャンプしてきて俺の足にしがみついた勇者は、そのまま足の力を抜き、足にしがみつく事だけに全神経を集中させた。


おかげで片足に数十キロの重りを付けた状態になった俺はスピードが激減し、エレーナちゃんをなんとか屋根の上に放り投げ、そのまま落ちた。


何処ぞの巨人みたいな動きしやがって。


俺の頭の中には、そろそろこいつぶっ殺すか。という思考しか無くなっていた。


何故なら。


「センちゃんの足。ぺろぺろ」


こいつが俺の足を舐めてやがるからだ。


『死ね』


文字通りの人を舐めるという行為を何の恥ずかしげもなく実行する勇者の頭を蹴り飛ばし、そこら辺の納屋に頭から突っ込ませる。


木屑が粉にまで細かくなり、粉塵が舞い散る。


そろそろ終わったか?


そう思った瞬間。アホ勇者がムクリと起き上がり、満面の笑みを浮かべながらこう言った。


「我々の業界ではご褒美ですっ!」


俺は全力で地面を蹴った。

次からちょっと戦闘タイムです\(^o^)/


( ˊ̱˂˃ˋ̱ )なめこ

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